教えて井手先生！産後のギモン・お悩みQ&A⑦ ～赤ちゃんとの毎日がつらいです。母親失格でしょうか

長年、地域の助産師として産後ママの体と心のケアにあたってきた「ベビーフェリス井手」の井手敬子（いできょうこ）さんが、ママたちから寄せられた疑問や悩みにお答えします。うまくいかないことの連続でヘトヘトになった産後ママたちの心と体が、少しでも軽くなりますように。

来る日も来る日も、赤ちゃんと二人きり…つらいです。そう思ってしまう私は、母親失格でしょうか。

母親失格ではないですよ。大丈夫です。
家に、しゃべれない赤ちゃんと二人きりでいると、経験したことのないような孤独感と、この生活が永遠に続くのではないかという不安に押しつぶされそうになりますよね。その気持ち、とてもわかりますよ。

赤ちゃんが泣くことを恐怖に感じてしまうというのも、よく聞く話です。赤ちゃんが泣くと自分も泣いてしまうお母さんも多いものですよ。
私も助産師として新生児のいるお宅を訪問する機会があるのですが、玄関のドアを開けると、赤ちゃんを抱いたお母さんが、私の顔を見るなり涙をこぼされることも多いです。
そして、「自分ひとりで、今日1日この子の命を守れるだろうか」「泣き止まなかったらどうしよう」「今日も家事ができなかった。ご飯もまともに食べられなかった」など、たくさんの不安を口にされます。

私がまずお伝えしたいのは、「とにかく今日まで赤ちゃんの命をよく守ってくれましたね。それはとてもすごいことですよ」ということ。育児はやはり初めの１カ月が一番大変です。まず、その１カ月を乗り越えてください。そこを過ぎたら、少し楽になるはずです。
「赤ちゃんが泣き止まない。寝ても布団に置くと泣く」というお悩みは、こちらの記事もチェックしてみてください。

お母さんたちはよく「最初の１カ月のことは必死だったので覚えていません」と言われます。そうですよね。
それでも３カ月経つと、赤ちゃんとの生活にだんだん慣れてきますし、赤ちゃんもお母さんを見て笑ってくれるようになり、毎日の苦労も報われるようになります。
そして６カ月になる頃には愛おしさが増していき、1歳頃になると、かわいくてたまらなくなります。
大丈夫、お母さんたちはこうやって３カ月ごとにバージョンアップするんです。毎日いろいろありますが、赤ちゃんの成長とともに、お母さんも「母親」へと成長していますよ。

ただ、一人で不安であれば、抱え込まずに誰かに相談してください。私たち地域の助産師も頼ってくださいね。助産師会のホームぺージを見てもらうと、お近くの助産師が探せます。
お住まいの市町村の保健センターにも、頼りになる保健師がいます。電話で話を聞いてもらうこともできますよ。ぜひ相談してくださいね。