教えて井手先生!産後のギモン・お悩みQ&A⑧ ~新生児の子育て、どうしたらいいかわかりません
長年、地域の助産師として産後ママの体と心のケアにあたってきた「ベビーフェリス井手」の井手敬子(いできょうこ)さんが、ママたちから寄せられた疑問や悩みにお答えします。うまくいかないことの連続でヘトヘトになった産後ママたちの心と体が、少しでも軽くなりますように。
出産した病院には助産師さんがいたので、安心して赤ちゃんの世話をすることができました。でもうちに帰ってきた今、どうしたらいいかわかりません。
泣く赤ちゃんを前に、途方に暮れてしまいます。
新生児訪問で、助産師として赤ちゃんのいるおうちに行くと、育児に戸惑っているお母さんとしょっちゅうお会いします。助産師の存在に安心するのか、「帰らないで、赤ちゃんと2人きりは怖い」と、目で不安を訴えてくるお母さんも多いです。
このような育児に対する不安や恐怖感は、抱っこのしかたや寝かせ方といった具体的な「育児手技(いくじしゅぎ)」の知識を得ることで、解消できる場合があります。
だから私は、新生児訪問の際に、2時間ほどかけて育児手技を教えるようにしています。お父さんがいらっしゃれば、一緒に聞いてもらいます。
するとみなさんずいぶんラクになるようで、悩んでいたお母さんが後日、笑顔で育児相談に来てくれたりするんですよ。
理想としてはやっぱり、出産前から赤ちゃんとの生活を具体的にイメージして、育児手技を学んでおくことも大切だと思っています。
妊娠中、出産について勉強することはあっても、出産後のくらしまではなかなか想像できませんよね。育児って、はたから見ているだけではわからない部分が多いものです。
おなかいっぱいになって気持ちよさそうに寝ている赤ちゃんしか知らなければ、「赤ちゃんは、抱っこして、歩いたり揺れたりしないと泣くもの」だなんて、想像もつかないでしょう。出産後に戸惑い、不安になるのも当然です。
出産はゴールではありません。ですから妊娠中の方は、できれば今のうちにお住まいの地域の助産師を探して、訪ねてみてください。そうして「かかりつけ助産師」「マイ助産師」を見つけておけば、いざ、退院の日を迎えて、心細くなったとしても、その足ですぐ相談に行けます。
もちろん、産んでからでも遅くはありません。不安があれば、ためらわずに助産師を頼ってくださいね。
profile
井手敬子(いできょうこ)さん
助産師、母乳育児相談室「ベビーフェリス井手」代表、国際中医薬膳管理師。母乳と育児に関するよろず相談を受け付ける。母乳マッサージや授乳レッスンも実施。
<ベビーフェリス井手 母乳育児相談室>
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