産後うつを乗り越えて 第2話

産後うつを乗り越えて 第2話

今から20年ほど前、長男を出産後に3年間に及ぶ重度の産後うつを経験した、美収納コンシェルジュの園藤(えんどう)ふみさん。第1話では、うつ状態で苦しんでいた頃のご本人の状態や当時の生活、家族のことなどについてお話を伺いました。第2話では、体調が快方に向かいはじめてから完治に至り、その後現在までのインタビューです。

夫からのひと言が、回復への大きな起爆剤に

現在の美しく整理された部屋からは、とても散らかっていた様子は想像できません。

実は、園藤さんが産後うつで苦しんでいる間、家の中は足の踏み場もないほど散らかり放題でした。

園藤さん:
「体調が上向きになりはじめた頃、夫が私に言った『家の中を、最低限生活できるように片づけてほしい』というひと言が、今思えば快方へと向かう大きなきっかっけにもなったような気がします。『家の中をとことんきれいにして、夫をぎゃふんと言わせたい!』という強い感情が、体調を取り戻し始めていた私にふつふつと湧いてきまして…。家の中を片付けられるようになったのは、確かに回復への一つのバロメーターでしたね。

結局、私のうつの原因は未だにわからないままです。一般的に、産後うつはホルモンバランスの乱れが原因で起こるとも言われていましたが、そうではないという話もあるようですし。いずれにしても、出産という大きな出来事が、私のメンタルには必ずしもポジティブに影響しなかったんだろうと今は考えています」

その後は2人目の子どもも無事に出産


ともあれ、そこからは回復への道のりを一気に駆け上がっていった園藤さん。完治から約1年が経ち、2人目を身ごもりました。

園藤さん:
「もともと、できれば子どもは2人ほしいと思っていたんです。でも当然、2人目を産む際も不安はありました。私の壮絶な産後うつを目の当たりにした夫や両親も2人目を生むことには反対でしたし…。

うつの再発はもちろん、一人目を産んだ時のように出血による緊急輸血が必要になるのではないかと心配もしました。でも、幸いにして1人目の時と同じ医師に担当していただけたこともあり、万全の備えで出産できましたし、うつの再発もありませんでした」

2人目の育児で、子どもを育てる喜びを実感

子育て真っ最中のころの様子。今はお子さんたちは、大学生と中学生になっています。

2人目の子どもの育児では、1人目の時には感じられなかった大きな喜びや楽しみを感じることができたと語る園藤さん。

園藤さん:
「2人目を産んだ時に初めて出産の喜びを知りましたし、『子どもってかわいい!』と心から思えました。ちなみに1人目は男の子、2人目は女の子です。

赤ちゃんの頃の大切な時期にほとんど何もしてあげられなかった息子には本当に申し訳なかったと感じていますが、でもその分、娘の子育ては一生懸命やりましたし、同時に長男にも精いっぱいの愛情を注いだつもりです。口には出しませんが、今は息子も、当時の私の病を理解してくれているのでは、と」

産後うつは誰にでも起こり得る病気


産後うつを乗り越えて、現在は美収納コンシェルジュとして活躍中の園藤さん。当時を振り返り、産後うつについてどのように考えているでしょうか。

園藤さん:
「産後うつは決して特別な病ではありません。今はインターネットなどで比較的手軽に情報を得ることができますので、出産を控えている方は、ぜひ事前に『そういったこともあり得るんだ』と知っておいていただきたいですね。夫とも情報を共有してほしい。そしたら少なくとも私の時のように原因も何もわからず、ひたすら悶々と苦しむような事態にはならないと思います」

苦しくても、出口は必ず見つかります


園藤さん:

「あの時の私は、28歳で結婚して、その年にすぐ息子を授かったんです。傍から見ても幸せな時期ですよね。私自身もうつで苦しんでいた時は、『結婚して子どももできて、女として私は幸せの絶頂にいるはず、不安になる要素なんてひとつもない。だからうつやノイローゼに私がなるはずがない』と常に考えていて、うつ状態にある自分を受け入れられず、否定し続けていました。だからこれほど症状が長引いたのかもしれません。

結婚や出産といった、本来なら喜ばしいことも、人生における大きな変化です。幸せなことでもその変化は人によってはストレスになるということを最近聞くようになり、自分の経験に照らし合わせると、確かになるほどと思えるようになりました。幸せなことだと語られがちな出産も、女性にとっては命がけの大仕事なんですから。

育児は思い通りにはいきません。育児ノイローゼや産後うつは誰にでも起こり得ることです。理想を追い求めすぎず、現実をきちんと把握しておくことも大切だとつくづく実感しています。

産後うつで苦しんでいる人に軽々しいことは言えませんが、克服した私が確信を持ってお伝えしたいのは、『今は苦しくても、出口は必ず見つかりますよ』ということです」

「とてもつらかったけれど、産後うつを経験したことで人間的にも幅ができ、結果的に今の仕事にもつながった」と語る園藤さん。ご自身が現在、幅広く手がけている整理・収納術についても次回、詳しくご紹介します。

profile

園藤ふみ(えんどうふみ)さん

園藤ふみ(えんどうふみ)さん

美収納コンシェルジュ、片付けメンタルコーチ。3年間にわたる産後うつの経験を経て、整理収納アドバイザーの資格を取得。現在は福岡を中心に個人宅で整理や収納、行政や企業での講演会やセミナーを手がける他、テレビやラジオ、雑誌などのさまざまなメディアで活躍。著書に「男前収納でキレイになる片づけのコツ」(きずな出版)。
https://www.bisyuno.jp