vol.19 絶賛!反抗期
絵本の紹介でお馴染み「からすのほんや」店主 からすちゃんと、嘉麻市在住のイラストレーター maruikoちゃんの「むかし子どもだったあなたへ」
フリースクール「みんなのおうち」の子どもたちが教えてくれる、子どもとのくらしのヒントを、スクール代表のからすちゃんと一児のママmaruikoちゃんがお届けします。
フリースクールにやってくる子どもたちのほとんどが、小学校高学年から中学生。ということは、絶賛「反抗期」ってわけで、「反抗期」の子どもたちでいっぱいです。
だからと言って、何か特別な対応をしているわけではないのですが、「反抗期」だと強く感じることは、あまりありません。子どもとスタッフがぶつかることは、本当に稀です。おうちだとまた違うのかもしれませんが。
イライラしたり、素直になれなかったりすることは、大人にもありますよね。子どもから大人になっていくこの「反抗期」という時期は、思い通りにならなかったり、心に余裕がなかったりしているものだと思うのです。
しかしながら、誰かの心や体を傷つけたり、人として間違っていることについては、大人が勇気を出して伝えなければならない場面があります。ところが、伝えたものの、そっぽを向いて無視されたり、厳しい言葉で言い返されたりすることも。私も人の子、辛いなぁと思う日もあります。世のお母さん方も、きっとそうですよね…?
フリースクールにやってくる子どもと小さな衝突があったある日、帰りの送迎車の中で「反抗期」を終えたばかりの男子生徒が、こんなことを話してくれました。
「思春期」とか「反抗期」とかそういうのはなんかよくわかんないですけど、自分は「自分だけが正しい」みたいな気がしていて、誰に何を言われてもイライラした時期が1年くらいあったんですよね~。だけど、あるときスカーッとそこから抜け出したんです。みんなのおうち(フリースクール)に来始めてから、いろんな「正しい」があるんだってわかったんですよねー。ってことで、お疲れっした。
そう言って、彼は爽やかな笑顔で車を降りました。颯爽と歩く彼の後姿を見ながら、今の言葉はきっと、私への励ましだったんだと思いました。
随分激しい反抗期で、もがきまくった彼。自分の通り過ぎた道を客観的に振り返りながら、周囲を見ているのですね。「反抗期」があってこその、この成長っぷり。子どもたちは、まだまだ成長の途中。むかし中学生だった頃の自分を思い出しながら、子どもと向き合ってみるのも良いかもしれないなぁ。そう思いながら潤む目で見た空は、澄んだ水色でした。
profile
芳野仁子(よしののりこ)さん
嘉麻市生まれ。子どもの本とおもちゃの専門店「からすのほんや」店主。雑誌や新聞で絵本や子育てに関するコラムを執筆するほか、子育てに関する講座の講師も務める。
小学生対象のフリースクール「みんなのおうち」、考える力を楽しく養うキッズスクール「ひみつの国語塾」を運営。「一般社団法人 家庭教育研究機構」代表理事。
からすのほんやホームページ
http://karasubook.com/
maruikoさん
イラストレーター。福岡県嘉麻市出身・在住。展覧会などで作品を発表する他、さまざまな媒体のイラストやデザインを手がける。山に囲まれた小さな住宅街の小さな家で日々暮らしている。まるやまももこ名義で音楽活動も行っている。2015年に息子が生まれ現在子育て中。
ホームページ:
https://marumomo48.wixsite.com/maruiko