たけちゃん先生のお天気実験教室
このように天気を左右する雲ですが、実は身近なもので簡単につくることができるんです!
今回はそんな雲のつくり方やヒミツについて、気象予報士の資格を持つ「たけちゃん先生」こと、
加藤 毅(かとうたけし)さんに教えていただきました。
実験!雲をつくってみよう!
準備するもの
・炭酸飲料のペットボトル(500ml)
・消毒用アルコールスプレー
・炭酸キーパー(ポンプ式のもの)
※炭酸キーパーは、ホームセンターやキッチングッズのあるお店などで購入できます。
※今回は、水のかわりに気体になりやすいアルコールを使います。
さっそく雲をつくってみよう!
① ペットボトルの中にアルコールスプレーを1~2回吹き入れます。
② 炭酸キーパーを取り付け、ペットボトルが固くなるまでポンプを押して空気を圧縮します。
★圧縮しすぎると危険なので、ペットボトルが膨らんだり、固くなりすぎる前にポンプを止めてください。
③ 炭酸キーパーの留め具を外すと…
一瞬でペットボトルの中が 真っ白に!! これが雲のできる仕組みと同じなんです。
どうして雲ができたの?
みなさんは、雲が何でできているか知っていますか?
実は、水や氷のつぶが集まってできているんです!
海や地面の水は太陽の熱で温められると蒸発し、水蒸気になります。その水蒸気と空気中の小さなちりが、温かい空気にのって上空へと運ばれて行きます。
上空は地上よりも空気が冷たいため、冷やされた水蒸気がちりへと集まり、水や氷のつぶを作ります。
このつぶがたくさん集まってできたものが雲として目に見えるようになります。
では、なぜペットボトルでも同じように雲ができたのでしょうか。
炭酸キーパーを使って、密閉されたペットボトルの空気を圧縮すると、中の空気のつぶがおしくらまんじゅうのように押し合う状態になり、中の温度が上がっていきます。
この状態で、炭酸キーパーの留め具を外すと、ペットボトルの中に一気に空気が入り、圧縮されていた空気が解放されて、中の温度が下がります。
温度が急に下がったことで中の水蒸気も冷やされ、一部の水蒸気が水のつぶへと変化することで、即席の雲ができあがるのです。
こちらはペコペコとペットボトルをへこませることで、中の空気が温まったり冷えたりを繰り返し、それにより中の水分と煙が変化して同じように雲ができるという実験になります。
どちらの実験でも、雲を実際につくることができるので、ぜひ試してみてください!
実験!手を触れずに缶がへこむ?
…というのは冗談なのですが、天気に詳しくなると楽しい実験ができるようになります。
次は、その「手を触れずに缶がへこむ」実験をやってみましょう!
準備するもの
・蓋つきのアルミ缶(350ml以上のものがおすすめ!)
・お湯(90℃くらいのもの)
・軍手やタオル(熱くなった缶を触るため、火傷防止用として)
※実験の中で、熱湯を使用しますので火傷をしないようくれぐれも注意して行ってください。
さっそく実験スタート!
① 缶の中にお湯を少し注ぎます。
② 缶を温めるように少し缶を振ったら、お湯を捨てて、すぐに蓋を閉めます。
※缶が熱くなりますので、火傷しないように持つ部分を変えながら行ってください。
③ そのまま待つこと数秒…
手を触れていないのに、缶がどんどんベコベコに!!
ただ置いておくだけで缶がへこんでしまいました。
目には見えない「押す力」
私たちが生活する中で、目には見えないけれど、いつも働いている力というものがたくさんあります。
今回の実験で使われたのはその力の1つ、「圧力」です。
では、その圧力がどのように缶をへこませたのか詳しく解説します。
通常は缶の中も外も環境が同じ状態のため、何も起こりません。
ですが、缶の中にお湯を入れ少し振ることで、中の空気が湯気(水蒸気)により外へと押し出されます。
中のお湯を捨て、すぐに缶の蓋を閉めると缶の中はほとんど水蒸気で満たされている状態になります。
中と外で環境が違う状態にはなりますが、外の空気が押す力と中の水蒸気の押す力が均等なうちは、缶には何の変化も起こりません。
ですが、時間を置くことで、缶が冷え、中の水蒸気も冷えることで水へと変化していきます。すると、中の水蒸気の押す力が弱まっていくため、外の空気の押す力に負けて缶はへこんでしまいます。
この時の押す力を「圧力」と言い、空気が押す力のことを「気圧」と言います。
気圧は山のふもとのように標高が低いところでは高く、山の頂上のように標高が高いところでは低くなります。
また、標高が高くなればなるほど地面から放出される熱も届きにくくなるため、気温も低くなります。
この気圧と気温の低い環境がそろうことで、雲は上空にできるのです。
雲図鑑をつくろう!
今回は身近なもので雲を作りましたが、空には実際にどんな雲があるか知っていますか?
ここでは代表的な雲をいくつか紹介しますので、
ぜひ自由研究に「雲図鑑」をつくってみてください!
雲は大きく10種類に分けられ、できる高さや形で呼び名が変わります。
はけで書いたような薄い雲。
空の高い所に秋から冬によく見られるため、夏は意外と見るのが難しい。
小さな雲がきれいに並んで見える雲。
秋によく見られ、夏には意外に見るのが難しい。
薄いベールのような雲。
春や秋ごろの空の高い所に見られる。夏は見つけるのが難しい。
小さな雲の集まりが羊の群れの様に見える雲。
巻積雲よりも雲のかたまりが大きめで、低い所に出ている。
空を覆うように薄く広がる光を通しにくい雲。
春や秋ごろに見えやすく、夏に見るのは意外と難しい。
空を広範囲に細長く広がり、どんよりと曇っている時の雲。
空の低い所に出ていて、雲の下の色がグレーに見える。
グレーが濃く、雲が厚いために空を暗く曇らせ、長くしとしとと雨を降らせる雲。
静かに雨が降るのが特徴。
低い空に薄く広がる雲。
雨上がりの山の方に出ている。夏にこの雲を見つけるのが最も難しい。
綿のようにもこもことした雲。また、積乱雲に発達することもある。
夏によく出ており、見つけやすい。
垂直に高く発達していく雲。
夕立ちの時などのように、激しい雨や雷が起こることがあり、そのため災害をもたらすこともある。
夏の代表的な雲。
正式名よりも、別名の方が聞き覚えがあるかもしれません。
季節によって観察できる雲の様子も変わりますし、できる雲により見た目や特徴も違うので、空を見上げた時に「あれは何雲だろう?」と考えながら撮影し、雲の記録をつけましょう。
この2つのポイントを押さえれば、きっといいオリジナルの雲図鑑ができますよ!
今回行った実験は天気の仕組みのほんの一部しか紹介していませんが、
その他にも雨や雪、台風など、天気には不思議なことや面白いことがたくさんあります!
もし興味を持ったら、ぜひいろいろ調べてみてくださいね!
★夏限定 雲のレア度表はこちら★
※こちらに書かれたレア度はあくまで目安となります。環境や季節により多少異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
【 注意 】
★ 実験は必ず大人の人と行いましょう。
★ 火を使う時は燃えやすいものを周りには置かず、実験後は必ず火を消し、後始末を忘れず行ってください。
★ 実験で熱いものを触る際には、軍手やタオルなどを使い、火傷には十分注意してください。