たけちゃん先生のお天気実験教室 第2弾
前回は雲や気圧についてお届けしましたが、第2弾となる今回は「竜巻」について、
気象予報士の資格を持つ「たけちゃん先生」こと、加藤 毅(かとう たけし)さんに教えていただきましたよ~。
おうちで竜巻を作ってみよう!
【準備するもの】
・牛乳パック(1000ml)…1パック
・黒画用紙(B4サイズ)…2枚
・透明なフィルム…1枚
・ハンディ扇風機…1台
・加湿器(できれば40ml/h以上のもの)…1台
・両面テープ
・ガムテープ
・カッターやはさみ
・定規
※今回の実験の材料は、100円均一ショップで揃えられるものを使用しています。
※はさみやカッターナイフを使用する場合は、取り扱いに十分ご注意ください。
まずは装置を作りましょう!
1. 牛乳パックを切り開き、注ぎ口の部分は切り取る。
2. パッケージが印刷されている面にガムテープを貼り、補強する。
3. (2)の反対面に両面テープを貼り、黒画用紙を貼り付ける。牛乳パックからはみ出た分はカットする。
4. のぞき窓、通気口、蒸気口を画像のようにカットする。
5. カットできたら、箱を元の形に戻しガムテープで貼り合わせる。
6. のぞき窓になる部分のフチに両面テープを貼り、フィルムを貼り付けたら余分な部分をカットする。
★のぞき窓のフィルムは、観察しやすいようになるべくピンッと貼るようにしましょう。
これで、竜巻を発生させる装置の完成です!
さっそく竜巻を作ってみよう!
装置が完成したら、蒸気口を加湿器の噴出口にセットします。
加湿器の電源を入れ、水蒸気が発生したら、ハンディ扇風機の正面を上に向けた状態で、装置の上部に当てます。
ハンディ扇風機の電源を入れると…
写真では分かりにくいですが、水蒸気が渦を巻きながら下から上へと伸びる様子が観察できます。
どうして竜巻ができたの?
竜巻の発生装置の中で、どんなことが起こったのかというと…
ハンディ扇風機を使っていない状態では、装置の中に水蒸気が溜まるだけで、装置内に納まりきらなかった水蒸気は左右の通気口から出ていってしまいます。
ハンディ扇風機の電源を入れると、まず装置の中の空気が上へと吸い上げられていきます。
その時、左右の通気口から装置の外の空気が中へと吸い込まれていくのですが、通気口を対角線上に作ったことで、向きが異なる風が装置内で発生します。
この風と一緒に中の空気が吸い上げられることで、装置の中で風が回りながら上へと流れていくため、竜巻のように水蒸気が渦を巻きながら上がっていく様子が観察できるようになります。
実際の竜巻はどうやって起こるの?
竜巻は発達した積乱雲により発生する激しい渦巻のことを言い、積乱雲が強い上昇気流をもつことで発生すると言われています。
たけちゃん先生が実際に目撃した竜巻
積乱雲が発生する条件の一つに、「暖かく湿った空気」があります。
地表の暖かく軽い空気は、上空の冷たく重い空気と入れ替わろうとするのですが、この動きのことを上昇気流と言い、地表と上空の寒暖差が激しいと上昇気流の力も強くなります。
上昇気流により縦長に雲が伸びた積乱雲の様子
積乱雲が発生するような天気の場合、寒暖差が激しい場合が多く、暖かい空気に寒冷前線や寒気がぶつかると、ときに気流の乱れを発生させることがあります。
気流が乱れることで、さまざまな方向へと風が吹いたり、風同士がぶつかり合うことで渦が起こり、渦が発達して強い上昇気流と結びつくといった条件が揃うことで、竜巻が発生すると言われています。
今回の実験に当てはめて考えると、ハンディ扇風機は上昇気流、左右の通気口から入ってくる風は気流の乱れ、水蒸気は暖かく湿った空気ということになります。
ここまで竜巻について語ってきましたが、実は竜巻は観測できること自体が少なく、詳しいメカニズムははっきりしていません。そのため、今回のお話も一説にすぎません。
また、竜巻の発生条件が確立されていないため、現在の技術で予測することは難しいと言われています。
予測が難しいからこそ、事前の対策が立てられず、その規模から被害が大きくなりやすいのが恐ろしいところですね。
竜巻とつむじ風の違いって?
よく「運動会でつむじ風が発生!」といったニュースとともに、砂ぼこりが巻き上げらたり、テントが飛ばされる様子を見たことがありませんか?
竜巻もつむじ風も、どちらも空気が渦巻き状になるという点で、似たもののように感じる方や、もしかしたら、「つむじ風が大きく発達すると竜巻になる」と思っている方もいるかもしれません。
結論から言うと、「竜巻とつむじ風は全くの別物」です。特に大きく違う点として、「雲を伴うかどうか」があります。
竜巻は「積乱雲」に伴って発生しますが、つむじ風は雲がなくても発生します。では、その他にはどのような違いがあるのか、それぞれ見比べてみましょう!
竜巻とつむじ風は似ている部分もありますが、比べてみるとこんなにも違いがあるんです。
天気って知れば知るほど、不思議なことが多くて面白いんですよ。
危険な竜巻から身を守ろう!
では、いざ竜巻が間近に迫ってきたら、どのように行動したらよいか。
あらかじめ知っておくことで、自分や家族の身の安全を確保することにつながります。
今回は、竜巻から身を守る方法をお伝えしますので、ぜひ参考にしてくださいね。
《屋外では》
・物置や車庫、仮設建築物などは竜巻に巻き込まれることがあるため、危険!
・電柱や高い樹木は、倒壊する恐れがあるので、近づかないように注意!
・屋外の場合には、頑丈な建物の陰に入って、身を小さくしましょう!
《屋内では》
・なるべく窓がない部屋へ避難しましょう。
・窓がある部屋しかない場合は、窓やカーテンはしっかりと閉め、なるべく窓から離れましょう!
!ガラスが割れた時に窓の近くにいると、飛び散ったガラスでけがをする恐れがあり危険です!
・部屋の中でも、机などの下に避難し、なるべく身を小さくして頭を守る姿勢をとりましょう!
興味本位で、竜巻を撮影しようとしたり、近くで見ようとするのは大変危険です!
「どうせ大したことない」「家の中だから大丈夫!」と過信せず、竜巻が迫ってきた時にはすぐに身を守る行動をとるようにしましょう!
自由研究におすすめ!
今回は竜巻を作ってみましたが、竜巻にも関係のある気温について観察してみると、天気のことをより深く知ることができますよ!
《おすすめの研究内容》
◆晴れた日と、そうではない天気の日では気温はどう違う?
毎日の天気の記録と合わせて、気温が天気によってどう変わるのか調べてみると面白いですよ!
観察していくと、どんな天気の時に気温が変化しやすいのか分かってきます。
◆1日のうち一番暑い時間と一番涼しい時間はいつ?
外の直射日光が当たらない所(外の日かげ)に温度計を置き、1時間ごとに気温を記録してみると、1日のうち気温が高い時間と低い時間が分かります。1日だけではなく、何日か記録をつけてみると、より正確に気温の変化を記録できるので、ぜひ挑戦してみてくださいね。
私たちの生活と身近な関係でもある天気ですが、まだ解明されていない不思議な現象がたくさんあります。
季節によって見られる現象も変わりますので、色んな視点で観察してみてくださいね。
【 注意 】
★実験は必ず大人の人と行いましょう。
★はさみやカッターを使う際には、なるべく大人の方が行い、けがには十分に注意してください。