アレルギーっ子の子育て 第11話:大変だった日々

アレルギーっ子の子育て 第11話:大変だった日々

小麦と卵の食物アレルギーとアトピー性皮膚炎にぜんそく。3つのアレルギー症状を抱えた息子を育てあげたお母さんの奮闘記と先輩ママとしてのアドバイスです。


これまで、息子の食物アレルギーについて話をしてきたが、今回は、ぜんそくとアトピー性皮膚炎について書こうと思う。
どちらもアレルギー体質であることが起因しているので、食物アレルギーのある人は、ぜんそくやアトピー性皮膚炎であることが多い。

もともとぜんそくが重症だった息子。生後4カ月から入院し始め、0歳から2歳にかけては年間100日ほど入院する生活を送っていた。
薬と吸入は欠かさなかったのだが、いつもぜん鳴(ぜいぜい、ひゅうひゅうという呼吸音)が聞こえていた。かなりの重症だったので、急に大発作が起きて病院に時間外で駆け込むことも多かった。

0歳児で入院した時の発作は、非常に大きいものだった。母乳を飲むこともできなくなって、親子で酸素テント※に入り、一晩中吸入をしていたこともあった。私自身、自覚がなかったのだが、息子が良くなってから医師に「命の危険があったんですよ」と言われたほどだった。
※患者にビニール製のテントをかぶせ、中に酸素を送り込んで、酸素濃度の高い空気を吸入させる装置

吸入器を購入して、発作が起こると家で吸入していたのだが、それでも発作が治まらないと病院へ行く。病院に着くと安心して吸入と点滴で落ち着くことも多かったが、最低1週間は入院が必要だった。ひどい発作の時は「車で来ないで救急車で来なさい」と注意される時もあった。

入院時は、親も同じベッドに寝て、ずっと付き添いが必要だった。「また入院かな…」と不安な気持ちで病院に連れて行く時は、必ず入院セットを持参していた。

入院中は、病院がアレルギー除去食を作ってくれる。入院はつらいことではあるのだが、私にとっては、食事作りなどから解放されるひとときでもあった。ステロイドの点滴もするので、アトピー性皮膚炎の状態も良くなるし、息子の世話だけをすればいい生活だったので、入院生活はそんなに嫌ではなかった。

入院していると息子の症状も落ち着くので、私は日頃の寝不足を解消するかのように、息子と同じベッドでずっと寝ていた。
その分、幼稚園児の娘にはつらい思いをさせたと思う。同居の義父母に面倒をみてもらったり、実家に連れて行ったりしていた。

入院することが多かったので、医師や看護師さんともすっかり顔なじみで、息子のことをとてもかわいがってくれた。
病室は6人部屋で、みんな親子で入院していた。同じ環境の親どうし、よく話して情報交換をすることができた。
子どもによって、ぜんそくと食物アレルギーとアトピー性皮膚炎の重症度が違っていて、それぞれの経験や苦労をおしゃべりしていた。

入院することは多かったけれど、今では「休息にもなっていたのかな」とも思える。日頃、大変そうにしている私を見て、息子が「お母さん、きつそうだからそろそろ入院した方がいい」と思ったのではないかと考えたこともあった。

アトピー性皮膚炎は、ぜんそくが落ち着き始めたらひどくなった。湿疹は、顔と頭にはできてなかったのだが、首から手や足の先までできていた。息子を抱っこしていたら、知らない人から「いい温泉がありますよ」「いい薬がありますよ」と声を掛けられることが多かった。いろいろなことが押し寄せて必死に子育てをしていた時期だったので、「大変そうに思われて、同情されているんだなあ」と思うと、かなりつらく感じた。

ぜんそくは、命の危険にさらされることもあるが、入院すれば「助かった」と安心できた。しかし、アトピー性皮膚炎は終わりがみえない。今思うと、それが一番つらかったように思う。
息子は毎日かゆがって、全身をかきむしった。シーツは血液と皮膚のカスだらけで、毎日洗濯しなければならなかった。

夜はなかなか寝ないので、吸入しながら寝かせたり、ずっと体中をさすってあげたりしていた。「やっと寝た」と思っても、1時間くらいしたら身体が温まり、かゆがって起きる。かゆいから、またずっと朝方まで寝ないで泣き続ける。これが毎日続いていた。

食事に気をつけて、毎日洗濯をして、掃除をきちんとしていても、良くなる気配はなかった。かきむしるので、アトピー用の手袋を買って着けるなど、いいと思われるものはいろいろ試した。主治医にアドバイスを受け、愚痴も聞いてもらいながら、かなりひどい時期を1年半ほど過ごした。
その頃は、私の精神状態もかなり悪かったのだと思う。きれいな肌になった息子を抱っこする夢を見て、朝目覚めて「夢だったか…」とがっかりすることが何回もあった。

振り返ると「時が解決してくれる」としか言えないが、息子も身体中に湿疹が出て、かゆくて痛くて本当にかわいそうだった。

息子が食物アレルギーで何でも食べられるわけではないし、ぜんそくでいつ発作がひどくなって入院するかわからないし、いつもかゆがっているという厳しい状態から、少しでもよくなってほしいという気持ちでいっぱいだった。

息子が大きく成長した姿を見ることができた今となっては、あの大変だった日々は「無我夢中でつらかった」というより「よく頑張ったなあ」と思う。アレルギーっ子の子育て真っ最中で大変な思いをしているお母さんには、「今はつらいかもしれないけれど、そんなこともあったねと話せるようになるよ」と言ってあげたい。

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篠澤真喜子(しのざわまきこ)

篠澤真喜子(しのざわまきこ)

娘(26歳)と息子(23歳)の母。乳児のころから食物アレルギーとアトピー性皮膚炎とぜんそくを患っていた息子を育て上げた経験を持つ。その経験を生かして、エフコープの店舗で年4回開催される「食物アレルギー交流会」などで、アレルギーっ子ママの先輩として、今悩んでいるお母さんたちのサポートなどを行っている。