アレルギーっ子の子育て 第14話:最終話 支えになった存在

アレルギーっ子の子育て 第14話:最終話 支えになった存在

小麦と卵の食物アレルギーとアトピー性皮膚炎にぜんそく。3つのアレルギー症状を抱えた息子を育て上げたお母さんの奮闘記と先輩ママとしてのアドバイスです。


重症の喘息、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーのある子どもを育てた経験談を、これまでさまざまな場で話したり、こうやってコラムに書かせてもらったりしてきた。
振り返ると、息子が入退院を繰り返していた時期は、夫の両親との同居も始まり、引っ越したばかりで周りに知り合いもいなかった。娘の幼稚園の集まりにも行けず、今みたいにLINEもなく、長電話もできなかったので孤独だった。

そんな時期にエフコープに入り、班で集まるのが近所の人と話す唯一の機会だった。地区担当さんも親切で、配達の日は楽しみだった。生協商品というだけで安心感はあったのだけれど、当時はカタログに特定原材料7品目の表示がなく、アレルギー対応の食品もほとんどなかったので、息子の分は専門店で買ったり、宅配で頼んだりしていた。“卵不使用”と大きく書かれたアイスをエフコープのカタログで見つけた時は、うれしくて支所に電話でお礼を言ったことがあった。

ここ数年の、エフコープでのアレルギーに対するとりくみには、熱意を感じている。私自身、アレルギーっ子の親どうしで「エフクラブ」※1をつくって、組合員活動をしていたこともあり、エフコープの店舗でレジスタッフに向けた学習会をしてほしいと相談を受けた。アレルギー患者は何を悩んでいるのか、店舗でどういったことができるのか、スタッフさんは私の話に真剣に耳を傾けてくれた。結果的に、10回ほど開催した。その後も店舗では、エフクラブに所属するアレルギーっ子のお母さんたちを集めて、私たちの声や要望を聞いてくれるようになった。
※1…エフコープの組合員3人からつくることができるクラブ。エフコープの基本理念に沿っており、生協および生協商品に関する学習活動や、自分の興味・関心のあるテーマについて活動するもの。登録人数に応じて活動費の援助があります。

6年ほど前、花畑店でエフコープ店舗支援部が事務局となり、商品の企画担当やカタログ担当が集まってアレルギーっ子のお母さんたちとの交流会をすることになった。私も、アレルギーっ子を育てた親としてサポートさせてもらった。
その交流を機に、エフコープの全店舗に「アレルギーに配慮した商品コーナー」が設置されることになったのだ。これは画期的なことだった。花畑店と大野城店、新宮店では冷蔵品のコーナーも設けられた。卵が入っていないプリンや、乳・卵が入っていないちくわやハムなどが並んでいる。普通のスーパーだったらありえない並びだが、食物アレルギーの患者さんが買いやすいように、という視点でまとめて置いてくれているのだ。

店舗にこのコーナーができたことで、熊本地震の時にもアレルギー対応食品をすぐ集めて、
アレルギーのNPO法人を通じて被災地へ送ることができた。

アレルギー交流会はもう6年以上も続いているが、今では花畑店だけでなく他の店舗でも開催され、近くに住む方にも参加してもらえるようになった。
カタログ「すくすくスマイル」の担当者も参加し、交流会での要望や組合員さんから寄せられる声を聞いて、できるだけアレルギーに配慮した商品をそろえる努力をしてくれている。

以前はクリスマス予約の時だけだったアレルギー対応ケーキ※2が、毎週頼めるようになったこともすごくうれしい出来事だった。クリスマスだけでなく誕生日ケーキにも毎年悩まされていて、アレルギーに対応してくれる専門のケーキ屋さんに、送料を含めるとかなり高い金額でケーキを頼んだりしていた。それがエフコープのカタログで毎週いつでも頼めるようになるなんて、飛び上がるほどうれしかった。
※2…卵・乳・小麦不使用の冷凍ケーキ『すこやかフルーツケーキ』は「すくすくスマイル」で毎月企画されています。

最近では、特定原材料7品目を使っていないコープ商品「SMILE DISH(スマイルディッシュ)」シリーズも登場して、食物アレルギーへの理解をありがたく感じている。

「SMILE DISH(スマイルディッシュ)」シリーズの商品一例。
現在はカタログ「すくすくスマイル」で企画されている。

昨年、エフコープの「食物アレルギーサポートBOOK」という冊子もできた。“アレルギーっ子のお母さんたちの役に立ちたい”という思いから作られたものだ。初めは、主に店舗や配達で配るために作られたものだったが、今では病院や薬局にも置いてもらえるようになったそうだ。

「食物アレルギーサポートBOOK」は店舗などで無料配布されている。

食物アレルギーの悩みだけでなく、人それぞれに悩みはあるが、その悩みに誰かが寄り添ってくれると感じるだけで救われた気持ちになれるものだ。

息子が食物アレルギーと診断され、「これから何を食べさせていけばいいのか…」と絶望した時期もあったが、今はその気持ちも救われて、子どもも元気に過ごしている。これまで、家族や友達、病院や学校の先生など、たくさんの人に助けてもらった。子育てする中で、つらい思い出以上に、心から人へ感謝することを学べた気がする。
孤独な子育てをしていた時期からエフコープにはたくさん助けてもらったし、今もさまざまな活動ができることに感謝している。


「食物アレルギーで悩んでいる方の役に立てれば」。そんな思いで、14回にわたってコラムを書いてきました。今、アレルギーっ子の子育てで大変な思いをされている方にこのコラムが届いていれば、何よりうれしいです。

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篠澤真喜子(しのざわまきこ)

篠澤真喜子(しのざわまきこ)

娘(27歳)と息子(24歳)の母。乳児のころから食物アレルギーとアトピー性皮膚炎とぜんそくを患っていた息子を育て上げた経験を持つ。その経験を生かして、エフコープの店舗で年4回開催される「食物アレルギー交流会」などで、アレルギーっ子ママの先輩として、今悩んでいるお母さんたちのサポートなどを行っている。