アレルギーっ子の子育て 第13話:同じ悩みを抱える友人との集まり

アレルギーっ子の子育て 第13話:同じ悩みを抱える友人との集まり

小麦と卵の食物アレルギーとアトピー性皮膚炎にぜんそく。3つのアレルギー症状を抱えた息子を育てあげたお母さんの奮闘記と先輩ママとしてのアドバイスです。


息子が食物負荷試験を病院で受けている時に、同じ境遇の親たちと仲良くなった。主治医のすすめもあり、みんなで「アレルギーを持つ子の親の会(以下、親の会)」として月に1回集まることにした。同じ境遇の親どうしだ。集まって話すだけで、日頃のストレスが発散できた。

主治医の紹介で、アレルギーで悩んでいる他のお母さんも「親の会」に参加するようになった。会では、新しく参加した方が話す悩みを、みんなで聞く時間を設けていた。
周りに重症児がいないと、孤独を感じることが多い。この会は重症児がいるお母さんたちの集まりだったので、話しやすかったのだろう。新しく参加した方が、子育て中に感じたつらいことを話しているだけで、涙をあふれさせることが何度もあった。
話を聞いてもらえるだけで、涙が流れる。その気持ちは、痛いほどわかる。私も息子が乳幼児の時は、先が見えないので本当に不安だった。幼稚園や保育園に入ったら、また新たな悩みに直面する。そんな悩みを会の誰もが抱えていたから、この時間は心から話せる貴重なものだった。

「親の会」では、いろいろなことに取り組んだ。アレルギーっ子への対応が学校によって違うし、地域によっても違うので、いい所や悪い所などの情報交換も行った。病院のそばで集まっていたので、診療中にはなかなか質問できないことなどをまとめて主治医に聞いて、それに回答してもらう時間もあった。中でも、アレルギーに配慮した商品に関する情報の交換は重要だった。
今はエフコープのお店でアレルギーに配慮した食品のコーナーがあるし、カタログでも頼むことができる。しかし、当時はそういったお店はあまりなくて、専門店に送料を払って送ってもらったり、遠くのお店に買いに行ったりしていた。特に、お菓子はアレルギー対応のものが少なく、小麦と卵を使っていないクッキーなどは、まず売っていなかった。
私の息子が食べることができたのは、10枚入りで400円の低アレルゲンの小麦で作ったクッキーだけだった。それは、病院の売店で売っていたので、病院に行くたびにそれを買っていた。
そのような状況だったから、「親の会」では、さまざまなアレルギー対応食品の試食を行った。米粉パンもあまり流通してなかったので、自分でお米を使ってパンを作ったり、除去食で栄養満点のお菓子を作ったり。メンバーは、みんな努力していた。

この会で、精神的に助けられたお母さんがたくさんいた。私たちも、子どもが小学校にあがって、いろいろな経験をしてきたからこそ、乳幼児のアレルギーっ子がいるお母さんたちへのアドバイスもできるようになっていた。
定期的に集まっていたので、エフコープの「エフクラブ」※1に登録した。クラブに登録することで活動費をもらえたので、いろいろな場所から足を運ぶメンバーの交通費の補助にあてたり、アレルギー対応食品を購入して試食したりすることもできた。
※1 エフコープの組合員3人からつくることができるクラブ。エフコープの基本理念に沿っており、生協および生協商品に関する学習活動や、自分の興味・関心のあるテーマについて活動するもの。登録人数に応じて活動費の援助があります。

企画費※2を使って、主治医によるアレルギーの学習会を企画したこともあった。アレルギーで悩んでいる親がたくさん集まって、真剣に先生の話を聞いた。学習会は大成功だった。
学習会開催の際は、チラシや書類の作成、託児の手配、受付、進行などを親どうしで役割分担した。メンバーはみんな「アレルギーに悩む親の力になろう」という気持ちで、積極的に動いていた。頼りがいがあるメンバーと協力して企画できたことはうれしかったし、主治医も「みんな頑張ったね」と褒めてくださった。
※2 地域やより多くの組合員を対象に参加を呼びかける学習会や交流会などを行う際に、エフコープが援助する費用のこと。

アレルギーっ子の子育てをしていく中で、定期的に集まって話す仲間がいたことは本当にありがたいことだった。
アレルギーに限らず、悩み事を友人と共有できたら気持ちが楽になることもある。一人で抱え込まないで、同じ状況の人たちが集まる場に出掛けたり相談したりして、つらい時期を乗り越えてほしい。一生懸命育児をしているお母さんを見ると、いつもそう思う。

●「アレルギーっ子の子育て」第14話(最終話)はこちら

profile

篠澤真喜子(しのざわまきこ)さん

篠澤真喜子(しのざわまきこ)さん

20代の娘と息子を持つ母。乳児のころから食物アレルギーとアトピー性皮膚炎とぜんそくを患っていた息子を育て上げた経験を持つ。その経験を生かして、エフコープの店舗で年4回開催される「食物アレルギー交流会」などで、アレルギーっ子ママの先輩として、今悩んでいるお母さんたちのサポートなどを行っている。