vol.23 気持ちをかたちに

vol.23 気持ちをかたちに

絵本の紹介でお馴染み「からすのほんや」店主 からすちゃんと、嘉麻市在住のイラストレーター maruikoちゃんの「むかし子どもだったあなたへ」


フリースクール「みんなのおうち」の子どもたちが教えてくれる、子どもとのくらしのヒントを、スクール代表のからすちゃんと一児のママmaruikoちゃんがお届けします。

芝生を張ったフリースクールのグラウンド


私が運営しているフリースクールのグラウンドを子どもたちが裸足で走れるようにしようと、がんばった春。「梅雨に入る前に」と、灼熱の太陽の下で丸一日作業をした翌日。とうとう私は動けなくなってしまいました。
元気印の私が休んだ日。偶然にも調理のスタッフも体調が悪くなりお休み。子どもたちは他のスタッフと一緒に自分たちで昼食を作り、何とかその日を凌ぎました。

すると翌日から子どもたちの様子に大きな変化が見られました。お互いに「これやっとくね。」「ありがとう。」という声かけが始まったのです。そしてさらには、ほぼ全員が、懲りずに芝張りを続ける私のところにやってきて「どうやったらいいですか?」と言って、手伝ってくれました。
スタッフに「いったい何をしたの?」と聞くと、私が休んだ日に、子どもたちといろいろな話をして、「思っているだけでは伝わらない」ということに、みんなが気付いたのだそうです。「暑いだろうな」「きつくないかな?」みんな心では思っていても、言葉にしていなかったこと、行動にうつさなかったこと、何をしたらよいのかをどう聞いたらよいかわからなかった、などたくさんの気付きがあったようです。


日々を重ねる大切さや、誰かの幸せのために力を尽くすことを、自分の背中から感じてもらえればいいと思ってきた私。子どもたちはきっとそれを感じながらも、言葉や行動という形にする方法がわからなかったのでしょう。
数日後、再び芝生張りをしている私に、「お茶飲んだ方がいいですよ。」とペットボトルを渡してくれた中学生。「ありがとう」と受け取った私。「目に砂が入ったよ」と言いながらこっそり涙を拭いて続けるグラウンド整備は、最高に幸せだったりもするのだ。

profile

芳野仁子(よしののりこ)さん

嘉麻市生まれ。子どもの本とおもちゃの専門店「からすのほんや」店主。雑誌や新聞で絵本や子育てに関するコラムを執筆するほか、子育てに関する講座の講師も務める。
小学生対象のフリースクール「みんなのおうち」、考える力を楽しく養うキッズスクール「ひみつの国語塾」を運営。「一般社団法人 家庭教育研究機構」代表理事。
からすのほんやホームページ
http://karasubook.com/


maruikoさん

イラストレーター。福岡県嘉麻市出身・在住。展覧会などで作品を発表する他、さまざまな媒体のイラストやデザインを手がける。山に囲まれた小さな住宅街の小さな家で日々暮らしている。まるやまももこ名義で音楽活動も行っている。2015年に息子が生まれ現在子育て中。
ホームページ:
https://marumomo48.wixsite.com/maruiko

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