vol.25 あなたは社会の話題について行けますか?

vol.25 あなたは社会の話題について行けますか?

絵本の紹介でお馴染み「からすのほんや」店主 からすちゃんと、嘉麻市在住のイラストレーター maruikoちゃんの「むかし子どもだったあなたへ」


フリースクール「みんなのおうち」の子どもたちが教えてくれる、子どもとのくらしのヒントを、スクール代表のからすちゃんと一児のママmaruikoちゃんがお届けします。


私の運営するフリースクールでは、毎月テーマを決めて、学ぶ時間があります。1学期に取り組んだテーマに「私たちのくらしと政治」というものがありました。自分たちの中に湧いてくる疑問や興味について探求する。本や新聞、インターネットなどの2次資料だけでなく、実際に議会や委員会を見学する1次資料も活用して学びを深めています。


また、毎週、新聞記事をもとに情報を獲得すること、そこから発生する自分の考えなどを活字にして表現することにも取り組んでいます。こういうことを繰り返していると、子どもたちは本当に豊かに成長していきます。
例えば、子どもたちのランチタイムの話題は「某党の総裁選は誰が選ばれそうだ」とか、「議会の議論の方法」「世界情勢」「国内で発生している事件」だったりもします。大人顔負けです。


家ではいつもタブレットで動画を見ている、という中学生が、急におもしろいテレビCMについて話しかけてきたことがありました。「あれ? 珍しくテレビの話?」と思って聞いてみると、最近ニュースを見ているとのこと。そして、そのことについてお父さんと話したりしているとも言っていました。その中学生は、自分の進路についてずっと迷いがありました。でも、社会について家族で話す機会が増えたことで考えがまとまってきたのか、しばらくすると、将来への道筋が見える瞬間が訪れました。


冒頭で「子どもたちがテレビCMを知らない」というエピソードを紹介しました。
現代の家庭では、みんなでテレビを見るよりも、各々がスマートフォンなどを触っている時間の方が多いのかもしれません。すると、家族が共通のテーマで会話をする機会も少なくなってしまいます。
子どもに「あなたは世の中と繋がっていて、誰かと関わりながら生きているんだよ」ってことを感じてもらうのは、言葉を尽くしても難しいことが多い。けれど、新聞やニュースなどのメディアを通して感じたことを、身近な大人と会話する。こんなささやかなことが可能にするんだと、中学生に教えられたできごとでした。

大人のあなた。最近、新聞を読んでいますか? うかうかしていると、子どもたちに置いてけぼりにされちゃうかもしれませんよ。

profile

芳野仁子(よしののりこ)さん

嘉麻市生まれ。子どもの本とおもちゃの専門店「からすのほんや」店主。雑誌や新聞で絵本や子育てに関するコラムを執筆するほか、子育てに関する講座の講師も務める。
小学生対象のフリースクール「みんなのおうち」、考える力を楽しく養うキッズスクール「ひみつの国語塾」を運営。「一般社団法人 家庭教育研究機構」代表理事。
からすのほんやホームページ
http://karasubook.com/


maruikoさん

イラストレーター。福岡県嘉麻市出身・在住。展覧会などで作品を発表する他、さまざまな媒体のイラストやデザインを手がける。山に囲まれた小さな住宅街の小さな家で日々暮らしている。まるやまももこ名義で音楽活動も行っている。2015年に息子が生まれ現在子育て中。
ホームページ:
https://marumomo48.wixsite.com/maruiko

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