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vol.22 先生からの手紙
絵本の紹介でお馴染み「からすのほんや」店主 からすちゃんと、嘉麻市在住のイラストレーター maruikoちゃんの「むかし子どもだったあなたへ」
フリースクール「みんなのおうち」の子どもたちが教えてくれる、子どもとのくらしのヒントを、スクール代表のからすちゃんと一児のママmaruikoちゃんがお届けします。
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これは、私にとって暗黒時代だった中学校2年生の時に、担任の先生からいただいたお手紙。14歳の誕生日。はっきりとは覚えていないのですが、この日もきっと学校には行けなかったのでしょうね。先生がお祝いのメッセージをくださいました。先生は、中学時代の3年間の担任で、私が所属していた部活の顧問でもありました。
お手紙の中の言葉は、どれもやわらかくて、自分の中にゆっくりと染みてきます。
「十四歳のお誕生日おめでとう。ご気分はいかがかしら?少し世の中が変わって見えますか?」と始まります。私は、お友達とのことで悩んでいたころで、この手紙には、さまざまな苦しみや問題を、隠したりごまかしたりせず、一緒に、まっすぐに向き合いたいという先生の気持ちが綴られていました。最後に「私の大好きな、小ちゃな同志へ」とも書いてありました。
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このお手紙の中には一度も「学校においで」とか「待っているよ」という直接的な言葉は書かれていません。そこには「人生のお医者様」のたとえ話が書いてあって、その話を通して、先生が私を待っていてくれることや、一緒に問題に向き合ってくれる気持ちでいること、私には自分で考えていく力があると信じてくれているということが伝わってきました。その後もいろいろありましたが、私が最後まで社会に身を置くことを諦めずにいたのは、先生がくださった言葉の数々のおかげだったのではないかと思います。
先生はこの手紙の中で「生徒」や「子ども」という枠ではなく、同じ時代に生きるひとりの人、「同志」として、私に「寄り添う」だけでなく、「向き合う」姿勢でいてくださいました。気づけば、先生と同じ大学に進学し、同じように教職課程を修了した私の中に、先生のマインドが自然と繋がって、今があるように感じています。
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便利な世の中ですから、アプリケーションを使って、無料で即座にメッセージを送ることができるし、プリントに付箋を貼って伝えることもできます。けれど、封筒に入った手書きのメッセージから伝わる温度のようなもの。そういうものを味わってみるのも、たまには良いのかもしれません。
先日、若い男性の先生が「かわいい便箋とか使ったほうがいいのかなぁ…と思うんですけど…」と話していらっしゃったので、今回付録でmaruikoさんにレターセットを作っていただきました。良かったら、みなさんも大切な誰かを想いながら、この便箋に言葉を紡いでいただけたら何よりです。
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芳野仁子(よしののりこ)さん
嘉麻市生まれ。子どもの本とおもちゃの専門店「からすのほんや」店主。雑誌や新聞で絵本や子育てに関するコラムを執筆するほか、子育てに関する講座の講師も務める。
小学生対象のフリースクール「みんなのおうち」、考える力を楽しく養うキッズスクール「ひみつの国語塾」を運営。「一般社団法人 家庭教育研究機構」代表理事。
からすのほんやホームページ
http://karasubook.com/
maruikoさん
イラストレーター。福岡県嘉麻市出身・在住。展覧会などで作品を発表する他、さまざまな媒体のイラストやデザインを手がける。山に囲まれた小さな住宅街の小さな家で日々暮らしている。まるやまももこ名義で音楽活動も行っている。2015年に息子が生まれ現在子育て中。
ホームページ:
https://marumomo48.wixsite.com/maruiko