vol.21 それ、「さかさま」ですから

vol.21 それ、「さかさま」ですから

絵本の紹介でお馴染み「からすのほんや」店主 からすちゃんと、嘉麻市在住のイラストレーター maruikoちゃんの「むかし子どもだったあなたへ」


フリースクール「みんなのおうち」の子どもたちが教えてくれる、子どもとのくらしのヒントを、スクール代表のからすちゃんと一児のママmaruikoちゃんがお届けします。


最近、私が運営しているフリースクールでは、学校に戻っていった子が多くて、ちょっぴり寂しい日々です。心も体もエネルギーをたっぷり蓄えて、徐々に学校に行くようになる頃、よく子どもたちがこんなことを言ってきます。

「な~んか、さかさまっていうか、逆なんですよね~」

どういうことかというと、子どもたちが学校に行くのを渋り始めた頃は、途中でもう苦しくて家に帰りたいと思っていると、周囲の大人に「もう1時間だけがんばってみない?」と言われていたそうです。他にも「ちょっと教室に行ってみようよ。」と先生がクラスの子を伴って来たり、「明日もがんばろうね。」と言われることもしばしば。これを断るのが申し訳なくて、我慢するのが「苦しかった」と話す子も多くいます。


逆に、登校を再開すると「無理しなくていいよ。」「まだ帰らなくていい?」と優しく声をかけてくれる。「まだまだ、がんばれそう!」とか「保健室じゃなくて、教室に行ってみようかな?」と思っていても、「学校や教室へは行かない方がいいのかな?」と考える子も少なくありません。


じゃあ、応援している周囲の人は、一体どう声かけすればいいんだよ~!!って思っちゃいますよね。「そんな時は、子どもたちがどうしたいのか、耳を澄まして心の声を…」なんて、聞こえるはずもなく…。ですから、子どもたちが意思表示できる方法を模索します。今回添付している付録のカードは、実際に私たちが使っているものです。(今回はmaruikoちゃんがかわいく作ってくれました。)このカード、小学生だけでなく中学生もよく使います。なので、制服の胸ポケットに入るサイズです。

意思表示券

card.pdf (480 KB)


「帰りたい」も「もう少し居たい」も、応援してくださる皆さんに申し訳なくて言えない子どもたち。カードを出して意思表示をしてくれたら「わかったよ」「伝わったよ」と笑顔で受け取ってください。伝わったという経験が重なると、子どもたちはいつの間にかカードの存在を忘れて、言葉に出して意思表示できるようになってくるものです。誰かに気持ちが伝わるって、何だかあったかい気持ちがしますものね。

profile

芳野仁子(よしののりこ)さん

嘉麻市生まれ。子どもの本とおもちゃの専門店「からすのほんや」店主。雑誌や新聞で絵本や子育てに関するコラムを執筆するほか、子育てに関する講座の講師も務める。
小学生対象のフリースクール「みんなのおうち」、考える力を楽しく養うキッズスクール「ひみつの国語塾」を運営。「一般社団法人 家庭教育研究機構」代表理事。
からすのほんやホームページ
http://karasubook.com/


maruikoさん

イラストレーター。福岡県嘉麻市出身・在住。展覧会などで作品を発表する他、さまざまな媒体のイラストやデザインを手がける。山に囲まれた小さな住宅街の小さな家で日々暮らしている。まるやまももこ名義で音楽活動も行っている。2015年に息子が生まれ現在子育て中。
ホームページ:
https://marumomo48.wixsite.com/maruiko

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