けんちゃん先生のくだもの知恵袋[りんご]

けんちゃん先生のくだもの知恵袋[りんご]

管理栄養士のけんちゃん先生こと嘉村健志(かむらけんし)さんが、果物の豆知識を教えてくれる「くだもの知恵袋」。今回は「りんご」についてあれこれ聞いてみました。それでは、けんちゃん先生お願いしま~す!

※「くだもの知恵袋」では、一般的にくだものと認識されている果実的野菜も対象としています。


はいは~い!
みなさん、こんにちは~♪ 前回の「洋梨」編、参考になりました~? 見てない方は、こちらからチェック💛 さて、今回ご紹介するのは…

秋から冬にかけて旬を迎えるりんご。甘酸っぱくてシャキシャキとした食感が特長です。ふじ、つがる、紅玉、王林など、品種がとても多く日本では約2,000種類、世界ではなんと約15,000種類が栽培されているそう〜! すごい数じゃないですか? りんごの魅力、無限大♪ 今回はそんなりんごの豆知識をた〜っぷりお伝えします。

りんごの選び方(目利き)

●ハリとツヤがあって色付きがいいもの
果皮にハリがあって、全体的に赤色でツヤがいいものを選ぶようにしましょう。りんごはたっぷり太陽光を浴びることで赤く着色し、糖度も高くなるため、下(おしり)の部分まで色付きがいいものがGOOD♪
青りんごの場合もツヤとハリがあって色付きがいいものを見極めて💛 品種にもよりますが、黄色みがかっている方が酸味が少なく甘い傾向にあります!

●軸が太くて重みがあるもの
“栄養の通り道”である軸が太いりんごは、成長に必要な栄養の吸収が良いと言われています。また、重みがあるものは果汁が多く、ジューシーなりんごの可能性大です💛 上下のくぼみが深いりんごを選ぶのも、ちょっとしたポイント。りんごってしっかり成長するほど、くぼみが深〜くなるんです♪

りんごの保存方法

りんごはなるべく温度の低い場所で保存が基本! 低温多湿を好むため、冷蔵室や野菜室に入らない場合は、廊下や玄関など家の中でも温度が低いところに置きましょう。



より長持ちさせたい場合は、りんごを新聞紙やキッチンペーパーで包み、密封袋に入れて冷蔵室や野菜室で保存を!りんごから出るエチレンガスの影響が、他の野菜や果物に出ないようにするために“密閉”することが大事♪

●冷凍してまた違った食感を楽しむのも◎

食感は少し柔らかくなりますが、りんごは冷凍保存もできます。カットしたりんごを食べる量ずつラップで包み、密封袋に入れて冷凍室へ! 食べるときは半解凍でシャーベット状を楽しんでもいいですし、電子レンジで加熱するとコンポートのような柔らか食感に♪ 冷凍のままバターでソテーすれば焼きりんごにも♪ いろいろな食べ方が楽しめますよ〜💛
※りんご半分なら電子レンジ600Wで30〜60秒が目安。柔らかさはお好みで調整を!

りんごのうれしい栄養

●強力な抗酸化力を持つプロシアニジンに注目
りんごには、カリウムやビタミンC、ポリフェノール、食物繊維、リンゴ酸などが含まれています。特にりんごに含まれるポリフェノールの6割以上がプロシアニジンという成分! プロシアニジンとは、強力な抗酸化力を持つポリフェノールで、通称リンゴポリフェノールと呼ばれています。ポリフェノールは熱に弱いので、加熱する場合も短時間にして、できるだけ生で食べましょう〜♪
また“リンゴ酸”は、その名の通りりんごから発見された成分で、有機酸の一つ。体に溜まった疲労の解消や貧血予防の効果が期待できます。
りんごの皮には食物繊維、カリウム、ポリフェノール(プロシアニジン)が豊富なので、皮ごと食べるのがおすすめです♪

知っているようで知らない“蜜入り”りんご

蜜入りりんごは甘いイメージがあると思いますが、りんごの蜜自体は、まわりの果肉よりも甘いわけではないんです!
りんごは、葉で光合成が行われてソルビトール(糖アルコールの一種)が作られ、果実の中で果糖などの糖に変換されます。その糖が飽和状態になってりんごの細胞内に入りきらなくなると、細胞と細胞の間に、糖に変換されないままのソルビトールが溢れてきて、これが蜜になるんです〜! そのため、蜜自体が特別に甘いわけではないですが、葉からの栄養をたっぷり吸収し、果肉が糖分で満たされることで蜜入りになることから、“蜜入りりんごはおいしい”と言われているんですよ♪
参考:農林水産省HPより https://www.maff.go.jp/j/heya/sodan/1612/02.html

●蜜入りりんごの見分け方
蜜入りの可能性が高いりんごの特徴は…
・同じ大きさのものでも重みがある
・軸が太くてしっかりしている
・おしり側が少し透き通ったような黄色みをおびている


品種によって蜜が入りやすいものと入りにくいものもあるので要チェック!
蜜が入りやすい品種…「ふじ」「スターキング」「デリシャス」「北斗」など
蜜が入りにくい品種…「ゴールデンデリシャス」「つがる」「王林」など

●蜜はだんだん見えなくなっちゃう!
一般的にりんごの蜜は収穫して日数が経つと、だんだんなくなっていきます。同じりんごでも、当初は蜜が多かったのに時間が経って食べるとほとんど蜜が見当たらないことも! 蜜が消えてもりんごの甘さは基本的に変わりませんが、置いておくと褐変と言って蜜の部分が変色する場合もあるので、できるだけ新鮮なうちに食べてくださいね♪
褐変について詳しくはこちらをチェック!https://cheerdays.fcoop.or.jp/serial/くらしのへぇ〜/Mollw

りんごの「ヘぇ〜」な豆知識

●赤くなるりんごと赤くならないりんごの差って?
赤りんごと青りんご、品種の違いとは言え、なぜ果皮の色に差が出るのか知っていますか? じつは赤りんごでも幼果(ようか)は緑色をしています。この緑色は葉緑素によるもの。秋になって果実が成熟するにつれてだんだん壊れていきます。その代わりに、果実が熟し始めて糖分が増えると、赤色のもとになるアントシアニンという色素が、皮の細胞の中で作られます。このアントシアニンが作られるには太陽の光と低温が必要で、品種によっては葉緑素が分解しにくいものもあったり、アントシアニンが作られなかったりするため、成熟しても黄緑色か黄色のものがあるんですよ〜!

●りんごの表面がピカピカしているのってなぜ?
店頭に並んでいるりんごの中には、果皮がピカピカ・つやつやに光っているものがあります。その光沢が人工的に作られたワックスと誤解している人もいるようですが、国産りんごに人工的なワックスは使われていません! その正体は、りんご自体が持つ自然のろう物質(天然のワックス)。これはパラフィンやアルコール、飽和脂肪酸でできていて、鮮度を保つためのものなので食べても安全です。

また、ジョナゴールドやつがるなどはピカピカを通り越して、ベタベタしていることもありませんか? これは「油上がり(あぶらあがり)」と言われる現象です。脂肪酸であるリノール酸やオレイン酸が表面に出てきているだけなので、口にして問題ありません! 油上がりは熟すにつれて現れるため、りんごがおいしくなった証拠と言えますよ〜♪

profile

嘉村健志(かむらけんし)さん

嘉村健志(かむらけんし)さん

管理栄養士・料理研究家。「料理で色褪せない思い出を」をテーマに、福岡市と山口市で初心者向け料理教室を主宰。“けんちゃん先生”として、テレビ番組や食育イベントでも活躍している。
http://neowing-ht.com/
〈Instagram〉
https://www.instagram.com/kenshikamura/?hl=ja