【筑前町】若き特攻隊員たちを見送った飛行場跡から、“平和への情報”を発信!「大刀洗平和記念館」
かつて、朝倉郡三輪町(現・筑前町)は、陸軍の航空拠点「大刀洗飛行場」を中心に栄えた“軍都”であったことを、ご存じですか? 同時に、少年飛行兵の養成拠点でもあり、大戦末期には、多くの若い特攻隊員の出撃を見送った土地でもあります。今回チアちゃん・デイズくんと訪れた「筑前町立大刀洗平和記念館」は、大刀洗と戦争にまつわる歴史を知ることができる“平和への情報発信基地”。特攻隊員たちが残した手紙や、戦闘機の実機といった貴重な展示を通して、平和の大切さについて考えるきっかけをくれる施設です。
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【目次】
●飛行場跡の一画に立つ平和記念館
●「B-29」の大きさを体感
●「震電」実物大模型が!
●戦時中の暮らしを知る
●特攻隊の記録に触れる
●シアターや図書閲覧コーナーも
●オリジナルグッズをチェック
●施設詳細・アクセス
飛行場跡の一画に立つ平和記念館
かつて、“東洋一”とも形容された「大刀洗飛行場」。1919年に完成し、1945年の大空襲によって壊滅的な被害を受けるまで、多くの関連施設とともに、西日本における陸軍の航空拠点としての役割を果たしていました。
今回訪れた大刀洗平和記念館は、2009年、広大な大刀洗飛行場跡の一画に開館した町営の施設。屋外に展示された日本初の純国産ヘリコプター「MH2000」の実機を見ながら、入口へと進みます。
エントランススペースには、大きなレリーフが飾られています。こちらは、大刀洗飛行場から直接出撃した特攻機「さくら弾機」に搭乗していた4人の若い特攻隊員の肖像なのだそうです。
その横には、広島・平和記念公園に立つ「原爆の子の像」のモデルとなった佐々木禎子さんが折った折り鶴も展示されていました。禎子さんの兄・雅弘さんからの寄贈品で、非常に貴重なものなのだそう。
「B-29」の大きさを体感
エントランスを抜けたら、まずは一階の展示スペースへ。高い天井を見上げると、米軍機「B-29」をかたどった実物大のパイプの骨組みを見ることができます。
大きすぎて尾翼部分しか見えない
B-29といえば、日本本土への爆撃にも使用された、全長30メートルほどのアメリカ軍の大型爆撃機。実際の大きさを目の当たりにすると、テレビや映画で見てイメージするものよりも、はるかに大きい!こんなにスケールの大きな戦闘機が自分の住む町に飛来すると想像するだけで、恐怖を覚えます。
「震電(しんでん)」実物大模型が!
さて、展示スペースでは、大刀洗飛行場の歴史の流れに沿って、資料が配置されています。大刀洗飛行場が誕生した1919年は、ライト兄弟による初飛行の成功からわずか16年後。当初飛来していたのは輸入機ばかりでしたが、早くも1920年代には日本の航空機製造技術は極めて高いレベルに達し、福岡の空にも、多くの国産飛行機が飛び交うようになったそうです。
国産戦闘機の模型も多数展示
展示物からは、当時の国産飛行機の活況がうかがえます。九州でも多くの革新的な飛行機が製作されたそうですが、なかでも特に有名なのが、B-29撃破の最後の切り札と言われた「震電」。なんと、館内には、その「震電」の実物大模型が常設展示されているんです!
手前が「震電」模型、奥が「零戦」実機
実はこの模型は、2023年に公開された大ヒット映画『ゴジラ-1.0』の撮影に使われたもの。エンジンとプロペラが後方にある独特な形状は模型とはいえ迫力満点です。
「震電」の奥には、日本の主力戦闘機であった「零戦(零式艦上戦闘機)」の実機も展示されています。零戦の中でも「二三型」という機種で、マーシャル諸島のタロア島のジャングルに眠っていた機体なのだそう。
機体の横には階段が設置されていて、操縦席の上から機体を観察することができますよ。
本物の戦争遺物を間近で見ることができる、貴重な場所です。操縦桿(そうじゅうかん)を握るパイロットの姿を想像すると、戦争は、決して、自分とは関りのない遠い昔の出来事ではないのだと感じさせられます。
戦時中の暮らしを知る
その先には、大刀洗飛行場とともに発展していった街の様子や、戦時下での人々の暮らしを紹介するコーナーが広がっています。
人家もまばらだった大刀洗に道や鉄道が整備され、一大軍都へと変貌していった歴史を垣間見ることができますよ。
同時に、千人針や防空頭巾といった展示品からは、戦争が人々の暮らしに及ぼした影響についても知ることができます。
映像資料のほか、クイズ形式の展示もあるので、親子で挑戦してみては。
特攻隊の記録に触れる
次のエリアでは、時代がさらに下り、特攻隊について深く知ることができます。「特攻(特別攻撃)」とは、広く知られている通り、爆弾を装備した飛行機などで乗務員ごと敵に体当たりをする命をかけた攻撃のことです。
大刀洗飛行場関連施設のひとつ「大刀洗陸軍飛行学校」は、軍の花形であるパイロット志望の優秀な若者たちが集まるエリート校でした。しかし、戦局が悪化してパイロットが不足してくると、少年たちをごく短期間で教育して前線や特攻へと送り出す、少年飛行兵の養成機関としての性格を強めていったそうです。
博多湾から引き揚げられた九七式戦闘機
館内では、特攻のための移動中、エンジントラブルで博多湾に不時着した特攻機を見ることができます。この機を操縦していたパイロットは救助されたそうですが、8日後、特攻隊として出撃し、帰らぬ人となりました。
また、出撃した特攻隊員たちが家族に宛てて書いた手紙や遺書を読むことができるコーナーもあります。死を覚悟した若者が大切な人に残したメッセージは見る人の心を打ち、改めて、戦争の不条理と平和の尊さを痛感しました。なお、メインの展示コーナーを見終わったあと、新館に立ち寄れば、特攻隊のことをより深く知ることができます。
新館は、エントランスから、右に伸びる渡り廊下でつながっています。
鹿児島の海で引き揚げられた零戦21型と52型の残骸
説明パネルや特攻による戦死者リスト、戦争残骸、特攻隊員の遺品などを通して、特攻隊について、さらに理解を深めることができます。
シアターや図書閲覧コーナーも
大刀洗飛行場は、終戦に先立つ1945年3月に起こった2度の「大刀洗大空襲」によって壊滅的な被害を受けています。
館内の「語りの部屋」では、大刀洗大空襲と、立石国民学校(現・立石小学校)の児童31名が誤爆により命を失った「頓田の森の悲劇」をテーマとしたシアター映像を視聴することができます。30分に一度の上映なので、時間を合わせて、ぜひ、親子で視聴を。シアターでは毎週日曜日、ボランティアによる朗読も行われています。
また、記念館には2階もあり、展示スペース全体を見渡すことができます。
2階の一画には「図書閲覧コーナー」も。
戦史や航空技術に関する蔵書を、自由に読むことができます。
「企画展示コーナー」では、戦争や平和に関するさまざまな企画展が開催されています。スケジュールは公式サイトで確認できるので、事前にチェックして出かけてみては。
オリジナルグッズも充実
エントランスのインフォメーション前に、オリジナルグッズの販売コーナーを発見! ちょっと覗いてみましょう。
こちらは、包装紙がおしゃれな「ゼロ戦サブレー」。
戦闘機をあしらった手ぬぐい。
ピンバッジもありました!来館記念に集めたくなりますね。
「大刀洗平和記念館」の展示や映像を通して見聞きした体験は、きっと子どもたちにとって平和の大切さを改めて考えるきっかけになるはず。次世代に戦争の記憶を継承していくためにも、ぜひ、親子でを訪れてみてはいかがでしょうか。
施設情報・アクセス
施設情報
筑前町立 大刀洗平和記念館
福岡県朝倉郡筑前町高田2561-1
TEL:0946-23-1227
営業時間/9:00〜17:00(入館は16:30まで)
休館日/年末のみ(12月26日〜12月31日)
入館料/大人(大学生以上) 600円、高校生500円、小学生・中学生400円、障がい者(大人)400円(※小学生未満は無料。また、15名以上はそれぞれ団体料金あり)
駐車場/約80台
アクセス/(電車)甘木鉄道「太刀洗駅」すぐ、(車)大分自動車道 筑後小郡IC・甘木ICから約10分
●ホームページはこちら
http://tachiarai-heiwa.jp/
✔︎こどもとお出かけ DATA
◎多目的トイレ/あり
◎おむつ替えシート/あり
◎売店・飲食店/なし(土産物販売コーナーはあり)
◎授乳室/あり
◎ベビールーム/なし
◎ベビーカー貸し出し/あり(2台)
◎コインロッカー/あり
平和な世界を次世代へつないでいくために
平和・国際交流|イベント・活動|エフコープ生活協同組合
平和は当たり前にあるものではなく、私たち一人ひとりが思いをもってつくりあげていくものです。エフコープではそのために平和や命の尊さ、戦争の悲惨さと被爆の実相を学び、発信し続けています。詳しくはホームページをご覧ください。