どうすればうまくいく? 子育てママの社会復帰 第3話
再就職を考えている子育て中のママに、勇気を持ってその一歩を踏み出してほしい。そんな思いを込めて、働くママのサポートを行う“超子育てアドバイザー”・中山淳子(なかやまじゅんこ)さんにお話をお聞きしています。
再就職に向けたノウハウをご紹介した2話に続き、3話では、実際に働き始めてからのママが、子どもや夫とスムーズに接するためにはどうすればいいかについて、育児と仕事を両立させてきた中山さんからのとっておきのアドバイスです。
★第1話はこちらから。
★第2話はこちらから。
子どもが25歳になった時を想像してみる
まずは、育児と仕事を両立するための子育ての考え方についてお聞きしました。
中山さん:
「私も10歳の息子を育てながら働いていますが、実は子育てが大変だと思ったことはあまりないんです。子どもに対して心配や不安を抱きそうになっても、『これは長く続くことではないから大丈夫』と自分に言い聞かせられたから。それができたのは仕事柄、幼児教育の現場でたくさんの親子と出会い、子育てに対するいろいろなロールモデルを見てきたからです。
『うちの子は○○ができない』『言うことを聞かない』など、子どもへの悩みは尽きないもの。でも、そのほとんどは一時的なことですから、心配はいりません。
私は、講演会でママに『25歳になった子どもを想像してください』と伝えています。
25歳になった時、子どもがたくさんの笑顔で『仕事が、毎日が楽しい』と語れるようになっていたら、親にとってそれは最高の幸せではないでしょうか。子育てでめざすのは、子どもが前向きに自分の足で歩いて行けるようになることです。だったら今が少々大変だったとしても、それは子どもが成長する過程でのことに過ぎない。そう思えてきませんか?」
子育ては「いい(良い)加減」で
中山さん:
「子育てはぜひ『いい加減』で。『いい』は『良い』と捉えてくださいね。
今のママはネットや雑誌などの情報に振りまわされて、どんどんストレスを溜め込んでしまっています。『こんなしつけをすべきだ』とか、『こんな食事を与えるべきだ』とか、あふれる情報にがんじがらめになっていませんか?
栄養を考えた食事を毎日作らなくても、仕事が忙しい時には手を抜いたって構いません。時間に追われてバタバタ作った夕食をイライラしながら子どもに食べさせるより、スーパーやコンビニで買ったお惣菜を、親子で『おいしいね』と笑顔で言い合いながら食べる食事の方が、子どもにとっても、もちろんママにとっても、どれだけ幸せなことだろうと思います」
子どもには具体的な指示を
中山さん:
「ママは子どもに声掛けする時、ただただ『早く』『もう少し待ちなさい』『ちゃんとして』などと抽象的にものを言いがちです。でも、それだけ言われても、子どもはなぜ早くしなければならないのか、『もう少し』って一体どのくらいなのかがわかりません。そういう言葉で叱っても言うことを聞かないのは、ママが言っていることの意味をきちんと理解できていないからかも。
子どもに何かを伝える時は『なぜ』早くしなければならないのか、『もう少し』がどのくらいなのかを、できるだけ具体的に伝えるようにしましょう。
例えば、『早く起きなさい』を『もう7時になるよ』に。『もう少し待って』を『あと30分してからね』に。こんなふうに具体的に伝えれば、子どもはママが言っていることが理解できるし、『それなら何時までに何をしなければいけない』と、おのずと自分で時間の管理もできるようにもなります」
「今日の出来事」はママから先に話す
中山さん:
「保育園や学校が終わった後、多くのママが子どもにかける言葉が『今日どうだった?』です。でも、ほとんどの子どもは『どうだった?』と聞かれても、どういうふうに答えればいいのかがわからないようです。だから『普通』とか『別に』といった返事になってしまいます。
私は、息子が本当に幼い時から、保育園から帰る途中に必ずその日の仕事上の出来事を私の方から息子に話して聞かせていました。子どもに仕事の話をしても理解できないなんて思わずに、今日こんなことがあった、こんな人に会ったと話をしてみてください。その際、必ず『楽しかった』『大変だった』など、自分の感情も合わせて伝えます。で、その後に『あなたはどうだった?』と子どもに話を振るんです。
そうやって、まずはママの方から話のお手本をみせると、子どもも同じように話してくれるようになります。息子には、そのような会話のコミュニケーションを幼い頃から習慣づけているので、今でも学校での出来事などをよく話してくれます」
夫の家事をしっかり褒める
「夫も航希も、できることは手伝ってくれるようになりました」と中山さん。
一方で、夫とのコミュニケーションについても、中山さんのお話しはとても興味深いものがありました。
中山さん:
「私よりも年上で、一人っ子で育ったうちの夫は、典型的な“昭和男子”。基本的には、男は外で働いて女は家庭を守るという考えです。私の仕事には理解を示してくれていましたが、家事はほぼできません。
ですから、わが家では夫と完璧な家事分担はできないのですが、簡単な家事は手伝ってもらうようにしています。
そんな中で私が徹底しているのは、夫が家事を手伝ってくれたら、とにかくしっかり褒めて、お礼を忘れないこと。お米をといだだけでも、花に水をやっただけでも、とにかく『ありがとう!』『助かったよ!』と大げさなくらいに言います(笑)。そうすると夫も悪い気はしませんから、嫌がらずに多少は家のことを手伝ってくれるようになりました。
もちろん、やってほしかったレベルまでできていないこともあれば、『やって当たり前のことに、なんでお礼を言わなくちゃいけないの!』と思うこともあるかもしれません。だけど、あくまでも目的は『家事をしてもらう』という目的を達成すること(笑)。だから、何て言えば動いてもらえるか…を考えるといいと思います。
もう一つのメリットは、そのようなやりとりをしていると、いつの間にか夫も私に対してよく『ありがとう』と言ってくれるようになったことですね」
ママの再就職に恵まれている福岡
最後に中山さんが力説するのは、福岡はママの再就職にとても恵まれた環境にあるということでした。
中山さん:
「IT企業が増えている分、人材が不足していたり、行政がスタートアップ企業を誘致していたりと、福岡は全国的に見てもママの再就職に恵まれている環境だと思います。特に最近の新しい企業は、常駐のスタッフが必要なわけではなく、『繁忙期だけサポートしてほしい』『週のうちの何日間かだけ働いてほしい』といった要望も多いんです。実は、そういう雇用形態って主婦の方にピッタリ! 企業にとってもフルタイムで働くのが厳しいママにとっても、ありがたいのではないでしょうか。
インターネットの発達によってこれからはテレワークなども増え、フルタイムやパートタイムだけではない、さまざまな形の働き方ができるようになるでしょう。
自分でお金を稼ぐこと、つまり自らの経済力を身につけることは、今後生きていく上での大きな自信になることは間違いありません。ですから、ママたちも諦めずにぜひ頑張ってほしいです!」
エネルギッシュで常にポジティブな中山さんは、働くママの頼れる応援団。今回の特集を参考に、ぜひ、社会復帰への一歩を踏み出してみてください。NPO法人「ママワーク研究所」では、ママの仕事に関する情報や各種講演会などの情報を発信しています。
profile
中山淳子(なかやまじゅんこ)さん
NPO法人ママワーク研究所理事、Domani代表、コメンテーター。20年にわたって七田チャイルドアカデミーで幼児教育にたずさわった後、輝くママと子どものために“超子育てアドバイザー”として各地で講演活動やコンサルティング、研修などを行う。情報番組のコメンテーターとしても活躍し、現在はTNCテレビ西日本「ももち浜ストア」に出演中。昨年10月に「超ママ力 女性が輝く子育ての魔法」(リボンシップ)を上梓。一児の母。
ブログ:「超ママ力」中山淳子のパタパタ日記
https://ameblo.jp/825928/