どうすればうまくいく? 子育てママの社会復帰 第1話
家事や子育てで慌ただしい日々の中、ふと頭をよぎる「もう一度働きたい」という思い。とはいえ、果たして自分はきちんと社会復帰できるのか。かつてのキャリアが生かせるのか。能力に合った仕事が見つかるのか。そんな不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。
家族との関係や限られた時間でのやりくりなど、ママの再就職にはいくつかのハードルがあるのも事実。だからこそ、それらの悩みや不安を解決するための方法を探りたい…。というわけで今回は、育児中のママの社会復帰に必要なあれこれについて、女性の再就職をサポートするNPO法人「ママワーク研究所」の理事で、“超子育てアドバイザー”の中山淳子(なかやまじゅんこ)さんにインタビューします。
不妊治療ののちに授かった子ども
中山さんは25歳で幼児教育の仕事を始め、35歳で結婚した後も、いわゆるキャリアウーマンとして第一線で活躍していました。
中山さん:
「その仕事は、私にとってまさに“天職”。管理職として全国を飛び回って営業や運営に関わり、とても充実した日々を送っていました。ですから、いつか結婚して子どもができても、しばらく育休をとったら再び現役に復帰するというライフプランを自分の中でしっかり描いていたんです。ところが、結婚して2年近く経っても子どもができず、医師に相談したところ、私の加齢が原因ということが判明。その後しばらく働きながら不妊治療を続けたもののうまくいかず、1年間の妊活休暇を経て、40歳でようやく子どもを授かることができました」
働くママ、働きたいママそれぞれの悩み
息子の航希(こうき)くんと一緒に。航希くんが4歳の頃。
中山さんはその後、仕事に復帰するため、子どもが10カ月になった頃から保育園を利用することに。
中山さん:
「保育園で知り合ったたくさんのママ友と接する中で気付いたことがあります。それは、みなさん限られた時間の中で仕事をこなし、同時に家事や育児に追われて大きなストレスを抱えていること。そういう状況ですから、話をしていてもその内容といえば夫や仕事のグチがほとんど。挙げ句の果てに、仕事をやめざるを得ない方も大勢いらっしゃいました。
一方で、私が仕事で関わるママの中には、専業主婦で子育てをしている方も多く、いつかは働きたいと思いながらも、その一歩が踏み出せずに悩んでいたり、不安を抱えていたりという状況の方が少なくありません。
つまり、働いているママにも、働きたいと願っているママにも、それぞれの立場でのストレスがあり、不安があるわけです」
子どもと向き合おうと会社を退職
そんなふうに、周囲の母親の状況を目の当たりにしながらも、ご自身は充実した日々を送っていた中山さんでしたが…。
中山さん:
「当時、私は子育てのために時短勤務をしていたのですが、息子が2歳半になった時、会社の規定もあって『子どもが3歳になったら管理職に復帰し、通常勤務に戻ってほしい』と言われたんですね。これにはとても悩みました。もちろん、大好きな仕事ではありましたが、ようやく子どもができた今、以前と同じように全国を駆け回るような働き方をしていていいのか。子どもとしっかり向き合う時間を確保するべきではないのか。そう考えて、会社員としての自分に一旦、ピリオドを打つ決断をしたんです」
ママをサポートするNPO法人を開設
ママワーク研究所のみなさん。
ママたちをしっかりサポートする、パワフルなメンバーです。
そうは言いながらも社会と何らかの形で関わりたいと考えていた中山さんは、仲間と共にNPOを設立することにしました。
中山さん:
「保育園のママ友や仕事で出会ったママたちが、育児と仕事の両立で悩んでいたり、社会復帰のために葛藤したりする姿が、私の中でずっとわだかまりになっていました。だったら長い間、幼児教育に関わってきた自分の経験を生かして、そういうママの力になれないかな、と。
その頃、たまたま同じような考えを持つ仲間と出会うことができ、NPO法人『ママワーク研究所』をその方々と共に立ち上げました」
再就職に立ちはだかる4つの壁
行政や企業と連携しながら、地域の公民館などを利用してママの仕事と子育ての両立をサポートする活動を幅広く展開している「ママワーク研究所」。子育てをしながら仕事を始める上で、ママが抱える問題点について、中山さんはこう話します。
中山さん:
「子育て中のママが仕事を始めるにあたって、そのハードルとなる壁は主に以下の4つではないでしょうか。
1.仕事をしながら子どもと向き合っていけるのか。
2.自分が働くことに対して夫が理解を示してくれるのか。
3.家事、育児、仕事とそれぞれの時間のやりくりができるのか。
4.今の自分に仕事の能力やスキルがあるのか。
ママという立場にある女性なら当然、抱える不安や悩みですが、仕事を得るためにはまず、これらの問題を解決することです」
仕事復帰に向けた壁をどう乗り越えていけばいいのか。その具体的な方法について、中山さんのお話は2話に続きます。
profile
中山淳子(なかやまじゅんこ)さん
NPO法人ママワーク研究所理事、Domani代表、コメンテーター。20年にわたって七田チャイルドアカデミーで幼児教育にたずさわった後、輝くママと子どものために“超子育てアドバイザー”として各地で講演活動やコンサルティング、研修などを行う。情報番組のコメンテーターとしても活躍し、現在はTNCテレビ西日本「ももち浜ストア」に出演中。昨年10月に「超ママ力 女性が輝く子育ての魔法」(リボンシップ)を上梓。一児の母。
ブログ:「超ママ力」中山淳子のパタパタ日記
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