本の中に眠っている、不思議な生き物探し『ねむりどり』

本の中に眠っている、不思議な生き物探し『ねむりどり』

書店「からすのほんや」店主・からすちゃんが選ぶ、子どもと、本と⑲


絵本を読み合う時間は、夜に限らずいつだって良いものですが、お腹いっぱい夕食を食べて、お風呂に入ってリラックスしたベッドタイムの絵本の読み合いは、格別ですよね。今日は、そんな時に楽しんでいただきたい絵本をご紹介しますね。

このお話は、「この本の中に眠っている、不思議な生き物を探しに行きましょう」という提案から始まります。

次のページから、いくつかの注意書きがあります。まず、ページはそっとめくって、小さな声で読むように。服装も、パジャマに裸足で。持ち物は最小限に。足音を立てずに出発です。

途中、大きな羽を見つけたり、大きな卵を発見したりするかもしれません。そんな時の対処法も記されています。この絵本は、夢の世界への冒険指南書なのです。たどり着いた「ねむりどり」の背中で、目を閉じた主人公と相棒のネコ(のぬいぐるみ)が、その柔らかな羽に包まれている様子は、この上なく気持ちよさそうで、真似したくなっちゃいます。

さらに読み進めていくと、「ねむりどり」が連れて行ってくれる夢の世界の奥へ奥へと吸い込まれていくような感覚が味わえる、素敵な作品です。

イザベル・シムレール氏の邦訳された絵本は、どの作品も絵が細密で、自然界のさまざまなものが圧倒的な美しさで表現されています。その美しさに読み手の想像力が加わることで、まだ味わったことのない、絵本の世界のもっと奥へ連れて行ってもらえそうで、ついついくり返し読んでしまう作品ばかりです。

みなさんは、「ねむりどり」と一緒にどんな世界を旅するのでしょうね。いつか、私にもみなさんの旅の話を聞かせてくださいね。

今回ご紹介した本

『ねむりどり』
作:イザベル・シムレール
訳:河野万里子
フレーベル館

profile

芳野仁子(よしののりこ)さん

芳野仁子(よしののりこ)さん

子どもの本とおもちゃの専門店「からすのほんや」店主。雑誌や新聞で絵本や子育てに関するコラムを執筆するほか、子育てに関する講座の講師も務める。
小学生対象のフリースクール「みんなのおうち」、考える力を楽しく養うキッズスクール「ひみつの国語塾」を運営。「一般社団法人 家庭教育研究機構」代表理事。
からすのほんやホームページ
http://karasubook.com/

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