最後の仕掛けにワクワク!『こよみともだち』
書店「からすのほんや」店主・からすちゃんが選ぶ、子どもと、本と(40)
忙しさに追われて、あっという間の一年がまた、過ぎようとしています。今日は、もうすぐやってくる新しい一年に向けての一冊をご紹介いたします。
扉を閉めた「こよみのいえ」が、12軒並んでいるところからお話が始まります。そんなおうちの一つに住んでいる「1がつさん」は、おせち料理を準備したけれど、独りぼっちではつまらないので、「2がつさん」の家を訪ねます。「1がつさん」と「2がつさん」は一緒に雪合戦をして遊びます。それからふたりは、友達を探しに行こうと「3がつさん」をたずねます。ふたりは「3がつさん」に白酒やひな菓子でもてなされ、いい気持ち。3人は一緒に「4がつさん」の家の扉をノックします。とんとんとん。
こうして「12がつさん」まで続いていくわけなのですが、見開きページの右下に、次の家をみんなが訪ねる様子が小さく描かれていて、次のページへの期待感が膨らみます。そして、最後には、仕掛けのページもあります。そこにはある理由で、扉が12個並んでいます。扉を開くと中には…。
ことばのリズムも心地良く、細かい描写が楽しく、最後に仕掛けのワクワク感もあって、こんなに楽しめる絵本にはなかなか出会えそうにありません。寒い季節におうちでゆっくり読みたくなる作品です。お正月のお年玉に添えてプレゼントするのも良いかもしれませんね。
今回ご紹介した本
『こよみともだち』
作:わたり むつこ
絵:ましま せつこ
福音館書店
profile
芳野仁子(よしののりこ)さん
子どもの本とおもちゃの専門店「からすのほんや」店主。雑誌や新聞で絵本や子育てに関するコラムを執筆するほか、子育てに関する講座の講師も務める。
小学生対象のフリースクール「みんなのおうち」、考える力を楽しく養うキッズスクール「ひみつの国語塾」を運営。「一般社団法人 家庭教育研究機構」代表理事。
からすのほんやホームページ
http://karasubook.com/