vol.24 それは些細なことなのか?
絵本の紹介でお馴染み「からすのほんや」店主 からすちゃんと、嘉麻市在住のイラストレーター maruikoちゃんの「むかし子どもだったあなたへ」
フリースクール「みんなのおうち」の子どもたちが教えてくれる、子どもとのくらしのヒントを、スクール代表のからすちゃんと一児のママmaruikoちゃんがお届けします。
新年度や新学期が始まる時、不登校の子どもたちは、気を付けるべきことがあります。それは、学校で配られる教材が、すべて手元に揃っているかどうか、です。
私が運営するフリースクールでは、5月になっても新学年の教科書をもらえていなかったり、6月の期末テストが終わったのに、テスト範囲のワークブックを渡されていなかったことに気づいた子もいました。これは、毎日学校に通っていない子どもたちには、よくある話です。夏休みの宿題に至っては、終業式の日に学校に行っていたにもかかわらず、3分の2の子どもたちが、宿題の一部をもらえていない状況。多忙な学校の先生は「あの子は、あの日に学校を休んでいたから、●●を渡せていないな」と覚えておくなんてことは、難しいことだと思います。
「勉強や宿題のことは、子どもが自分でやればいいじゃないか」と思う保護者もいらっしゃるかもしれません。でもなかなか学校に通えず、学習の遅れを感じている子にとっては、「宿題やワークをもらっていません」と学校に告げるのは、大きな負担です。また、夏休みの学習計画を立てようと思っても、「どうしたらいいのだろう…」と思っているうちに、どんどん時間が過ぎていってしまいます。
私のフリースクールでは、夏休みが始まっても、学校から届けられた宿題が封筒に入ったままになっている家庭が7割を超えていました。
そこで私は、夏休みに入って行う家庭訪問のときに、「学校の宿題は全部揃っているかな?」と一緒に確認し、不足があった場合は学校に連絡します。宿題が全部手元に揃った子どもたちは、学習計画を立てて、後日、私に見せてくれます。目標には「宿題を全部終わらせる」と書いてあることが多いんですよ。その言葉の向こうには、「2学期は…」という少し先の未来への思いがつながっているように感じます。新年度が始まった時の、教科書やワークの受け取りも同じです。「この学年では、これまでよりもがんばりたい」と思っていることでしょう。
学習に必要なものが全部揃っていること。それは、大人にとっては些細な ことかもしれません。けれど子どもにとっては、パズルのピースを全部埋められたような確かさを感じる、大事なことなのではないでしょうか?
【おまけ】教科書&ワーク おそろいですか?シート
★ 小学生用
★ 中学生用
profile
芳野仁子(よしののりこ)さん
嘉麻市生まれ。子どもの本とおもちゃの専門店「からすのほんや」店主。雑誌や新聞で絵本や子育てに関するコラムを執筆するほか、子育てに関する講座の講師も務める。
小学生対象のフリースクール「みんなのおうち」、考える力を楽しく養うキッズスクール「ひみつの国語塾」を運営。「一般社団法人 家庭教育研究機構」代表理事。
からすのほんやホームページ
http://karasubook.com/
maruikoさん
イラストレーター。福岡県嘉麻市出身・在住。展覧会などで作品を発表する他、さまざまな媒体のイラストやデザインを手がける。山に囲まれた小さな住宅街の小さな家で日々暮らしている。まるやまももこ名義で音楽活動も行っている。2015年に息子が生まれ現在子育て中。
ホームページ:
https://marumomo48.wixsite.com/maruiko