福岡市の隅っこで姉妹を育ててます!! Vol.34
記憶に残る懇談会
通学路で、大きなランドセルを背負った小学一年生を見かけるたび、「わが子たちにもあんな時があったな」と、懐かしさのあまり涙が出そうになる私です(どんだけ涙腺緩いのか)。
特に思い出深いのは、長女・ぴーの小学校入学当時のこと。私にとっても全てが初めての体験だったこと、仲のいい子たちと同じクラスになれなかったなどから、心配が尽きませんでした。
しかしそんな親の心配をよそに、本人は毎日楽しく学校に通えていたんですよね。「担任の先生が面白くて、大好き。クラスのみんなも面白い」って。ホッとすると同時に、「どんなふうに面白い先生なんだろう。話してみたいな」と興味が湧きました。
そうして迎えた、初めての懇談会でのことです。
予定表にあった通り、保護者による自己紹介タイムが始まりました。
こうした会での自己紹介というと、子どもの性格や、子どもについての心配ごと、きょうだいがいる場合はその学年など「子どものこと」を話すのが通例。なので私も、「うちの子は体を動かすのが好きで」などと話そうかとあらかじめ考えていました。
ですが、
担任の先生は「直接顔を合わせる機会が少ないので、今日はぜひ、保護者のみなさんご自身についての話が聞きたいです。子どもたちの心配事については個別でしっかり伺うので、この場ではご自身の好きなこと、得意なことについて、教えてください!」
と前置きをした上で、自ら、先生という立場とは関係のない個人的な趣味の話を盛り込んだ自己紹介を始めました。
わぁ、面白い!
「○○さんの親」でなく「一人の人間」としての自分に興味を持ってくれる学校の先生なんて、あまりいないのでは。
はじめは戸惑う雰囲気もあったものの、始まってみると…
出るわ出るわ、面白自己紹介の数々! 一人ひとりの話に聞き入ってしまいました。子育てで忙しいなか、ちゃんと自分の世界を持っている姿って、とってもステキですね。「この人いいな。後でもっと詳しく話を聞いてみたい!」と、何度思ったことか。
一方、自分の番が近づくにつれ、焦燥感が募ってきました。
なんせ私には、世間に胸を張って公開できる趣味や特技が何もない!
旅行や温泉は大好きではありますが、そんなの、大多数の人に当てはまるから、パンチに欠ける。
キャラケーキ作りやジョギングなどもやりますが、趣味と言えるほどのめり込んではいないし。それに「元ケーキ職人」「福岡マラソン完走」といった華々しいエピソードのあとには、なかなか言いづらいものがあります。
急に、「一人の人間としての自分」を語る材料が何もないという事実に気付かされてしまいました。私って、なんて薄っぺらい人間なんだ…
結局、真っ白になって「趣味は特にないんです。強いて言えば、ダイエットがてら、朝、近所を走ってます。見かけたら声かけてください」といった内容でお茶を濁した記憶があります。
ああ、せっかく盛り上がっていたのに、「趣味は特にない」なんて。言うべきではなかったな。
私にも、仕事や子どものこと以外で語れる「何か」が欲しい…!
この思いが一つのきっかけとなり、
後日、温泉ソムリエの認定取得を果たしました!
ずっとボンヤリと抱いていた「温泉好きライターとして、いつかきちんと温泉の勉強をしたいな」という夢に対し、一歩踏み出せた形です。先生に背中を押してもらえたようなものですね。
ちなみにその後、今日に至るまで、懇談会で「あなたの好きなことは?」なんて聞かれることは一度もありませんでした。やっぱりぴーが言った通り、面白い先生だったんだなぁ。
面白く、人間味ダダ漏れの優しい先生と過ごしたぴーの1年間が、とっても楽しく思い出深いものになったことは、言うまでもありません!
profile
福岡市の隅っこで暮らす「おかあちん/私」と「おとうちん」、素直でまっすぐな長女「ぴーちゃん」、独特の世界観で世の中を突き進む次女「テイ子」、4人家族のささやかな日常。おかあちんは広報誌などのライターとして活動する傍ら、時々コミックエッセイも制作。温泉ソムリエ認定あり。
インスタグラム・ツイッターで毎日イラスト日記配信中。
【instagram】 https://www.instagram.com/nickey_nic/
【Twitter】https://twitter.com/nickey_FUK