福岡市の隅っこで姉妹を育ててます!! Vol.36

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元刑事の知恵に目からウロコ!子どもの防犯

先日、「福岡県安全・安心まちづくりアドバイザー」の宮田健二さんに「子どもの防犯」についてのお話を伺う機会がありました。

宮田さんは元・福岡県警の刑事。女性・子ども・高齢者といった犯罪弱者をターゲットとする事件の手口や対策について、豊富な知識をお持ちです。

素人には思いもよらない視点から多くの有益な情報をいただきましたが、今回は、その中でも一番ヒザを打った話について、紹介させてください。


小学生や小学生の子どもを持つ保護者を対象とした防犯講座を開催する時に、宮田さんが必ず伝えていることがあるそうです。それは…

宮田さん「何かおかしいと思ったら、ランドセルを捨てて逃げてと教えておいてください。それも道の真ん中に!


ええっ、ランドセルを、捨てるですって!?

宮田さん「はい。いざ犯罪者と遭遇した時、重いランドセルを背負ったままでは子どもはうまく走れず、容易に捕まってしまいます」

た、確かに! ランドセル、重いですもん。


宮田さん「しかし、荷物がなければ子どもの足は案外速いものです。ランドセルを下ろす動作による時間のロスを考慮しても、犯人が追跡を諦める距離まで到達できる可能性が高まります」

なるほど! 私はこれまで子どもに「変な人がいても相手にしちゃだめ。人のいるところに逃げてね」と注意するばかりで、ランドセルのことなんて、考えたこともありませんでした。

「“ランドセルを捨てて”とあらかじめ教えておかないと、いざという時に自分で“ランドセルを捨てて逃げよう”と判断できる子って、まず、いないんですよ」と付け加える宮田さんに、そりゃそうだよね、と深くうなずく私。


小学生にとって、ランドセルって特別なものですよね。
低学年ほどそう。

入学してから毎日一緒にいる、大好きなランドセル。中には勉強の道具が入っていて、先生にも「大切に扱いましょうね」と言われている。

むしろ、ランドセルを怖い人に取られたらいけない! 怒られる! 守らなきゃ! って思ってしまいそうです。

道の真ん中に捨てるなんて発想にたどり着けるとは思えません。

ん? 待てよ。“道の真ん中”に? なぜ?


宮田さん「道の真ん中にランドセルがあるのは、明らかにおかしいですよね。目立つので周囲の注意を引き、“ここで何かあったのかも!”と異変に気づいてもらいやすくなります。

記名された教科書や文具が入っていて、何小学校の誰のものかもすぐ分かるので、速やかに学校に連絡が行き、警察もいち早く動くことができます」

言われてみれば、その通りです!
万一の事件や事故の際には、ランドセルはとても大きな手がかりになります。

宮田さん「ランドセルといえば、誘拐に利用する手口もあるんですよ。“ランドセルに蜂が入ったよ、貸して、取ってあげる!”と偽って、まずランドセルを取り上げてしまうんです。もちろん、子どもはパニックになりますよね。ランドセルを車に乗せられて、“あなたも早く乗って、逃げよう”と急かされれば、子どもは、言われるがままに乗ってしまいます」

宮田さん「だからやはり、ランドセルは取られてもいいんだ、逃げていいんだ、という知識を与えておくことは大切なんです」

帰宅後すぐに、小学生の次女・テイ子のランドセルを背負ってみましたが
やはり、尋常ではない重さです。
背負ったままで、速く走れるわけがありませんよね…


また予想外だったのが、中学生の長女・ぴーの通学リュックが、ランドセル以上に重かったこと。ナイロン製でも、教科書がたくさん入っていると、重いものですね…!

ランドセルやリュックのほかにも毎日水筒があるし、大きな給食エプロンを持っている日もある。小学生も中学生も、本当に通学、大変だあ。

子どもたちには、宮田さんからの話とともに、「ランドセルは大切だし、ランドセルを大切にするあなたたちも素敵。でも、ランドセルは捨ててもいいし取られてもいいよ。一番大切なのはあなたたちだから」と、伝えました。

「“何かおかしい”という予感が外れていても、勘違いでも大丈夫。誰も怒ったり笑ったりしないから」とも。

一度話しておくことで、二人の記憶に残ればいいなと願いながら。

小学生のお子さんがいるご家庭は、ランドセルと防犯のお話、一度家族で話してみることをオススメします!

宮田さんからコメントが届きました!

宮田さん「今回のお話を読まれて、“学校からはランドセルに防犯ブザーを付けるよう指導されているけれど、置いて逃げる可能性を考えたら、防犯ブザーはランドセルに付けてはいけないのかな?”と疑問を持たれた保護者の方もいらっしゃるかもしれませんね。

基本的に、防犯ブザーは、ランドセルに付けるよりもポケットに入れるなどして肌身離さず持っておく方がいいと、私は考えています。しかし、通学路の地理的環境、お子さんの性格、学校からの指導方法などはそれぞれですので、子ども全員に当てはまる“1つの正解”はありません。

例えば、人通りが極端に少ないエリアで身につけた防犯ベルを鳴らしながら逃げてしまうと、犯人に自分の居場所を知らせることになり逆に危険性が高まる場合も考えられます。

地域における子どもの見守り活動や学校における通学路対策などを参考にしながら、その子にとってはどうするのが最適かを家族で話し合って“わが家の防犯ベルの持ち方“を決めることをオススメします。

防犯ブザーをランドセルに付けたい場合は、防犯ブザーはランドセルの金具に固定した上で、ヒモを服のどこかに付けておくのも一案です。すると、ランドセルを放置すると同時に音が鳴り響くので、周囲の人に異常を知らせ、犯人(不審者)に対する威嚇にもなりますよ」

宮田健二さん


「子どもと防犯」については、エフコープ機関誌『ふれあい』8月号(2022年8月1日(月)発行)でも紹介しています!宮田さんも登場しているので、ぜひあわせてご覧ください。


profile

福岡市の隅っこで暮らす「おかあちん/私」と「おとうちん」、素直でまっすぐな長女「ぴーちゃん」、独特の世界観で世の中を突き進む次女「テイ子」、4人家族のささやかな日常。おかあちんは広報誌などのライターとして活動する傍ら、時々コミックエッセイも制作。温泉ソムリエ認定あり。

インスタグラム・ツイッターでイラスト日記配信中。
【instagram】 https://www.instagram.com/nickey_nic/
【Twitter】https://twitter.com/nickey_FUK

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