ちゃんと火は通ってる?鶏肉の低温調理

ちゃんと火は通ってる?鶏肉の低温調理

低温調理はお肉を柔らかく仕上げつつ、均一に加熱できるメリットがあります。しかし、食中毒を防ぐためには、鶏肉の中心部を少なくとも75℃で1分間またはそれと同等以上の加熱をする必要があります。鶏肉をどのように低温調理すると安全か、商品検査センター「りんご館」で調べてみました。

【調査】衛生基準に合わせて低温調理の温度や条件を変え、鶏むね肉の中心温度を測定しました。

●調査概要
鶏むね肉(約300g、厚さ約35mm)をチャックシール付きの袋に入れ、中心温度を測定しました。条件は以下の通りです。


❶約63℃の湯浴で加熱する。
❷約68℃の湯浴で加熱する。
❸約63℃で湯浴し、中心温度が63℃に達した後加熱をやめる。
❹沸騰した鍋に入れて火を止め、蓋をして放置する。


●衛生基準

食肉の中心部の温度が75℃で1分間またはそれと同等以上の保持時間

63℃:30分、65℃:15分、68℃:5分、70℃:3分、75℃:1分
※厚生労働省「食肉の加熱時間に関するQ&A」を参考

調査結果

❶中心温度が63℃になるまでに65分かかり、その後30分保持した。
❷中心温度が68℃になるまでに70分かかり、その後5分保持した。
× ❸中心温度が63℃になり加熱を止めると6分後には温度が下がり始め、衛生基準に達しなかった。
❹沸騰湯で放置すると温度を一定に保つことができなかった。

●考察
63℃()と68℃()での目標温度に達するまでの加熱時間はほぼ同じでしたが、中心温度の保持時間が違うため68℃()の方が早く調理完了しました。また、63℃の目標温度に達してから加熱を止めると()、6分後に温度が下がり始め、目標温度を保持できませんでした。このため、余熱だけでは食材を十分に加熱できない可能性があることがわかりました。沸騰湯浴()も同様に温度を一定に保つのが難しく、今回は目標温度を保持できましたが、気温によっては目標温度を保持できない可能性があります。またいずれも鶏肉の見た目では衛生基準に達しているかどうかの見分けがつかないこともわかりました。

トピック!肉の厚みを変えて加熱時間を比較しました

上記調査における63℃の加熱条件で、鶏肉の重さは変えずに厚さを約半分の18mmにしたものを加熱しました。

●調査結果
目標温度の63℃への到達時間が上記調査の半分以下の25分になった。
※厚さ35㎜の鶏肉は65分かかった。

●考察
鶏肉の中心部が目標温度に達するまでの時間には、肉の重さ(大きさ)より厚さが大きく影響することがわかりました。

まとめ

細菌やウイルスの多くは加熱によって死滅するため、中心部まで十分に加熱することで食中毒を防ぐことができます。食材を均一に加熱するために、なるべく厚さを一定にし規定の時間までしっかりと加熱を続けましょう。見た目では判断ができません。低温調理においては温度と加熱時間が重要になってくるため、温度を一定に保つことができる調理器具を使用することが望ましいです。また、調理時に使用する袋は耐熱性のあるのものを使うようにしてください。

施設情報

エフコープ商品検査センター「りんご館」

エフコープ商品検査センター「りんご館」

エフコープ商品検査センター「りんご館」では、生産者や取引先、エフコープで確認した商品基準や商品仕様書などの約束ごとが守られているか検査を通じて検証しています。安心して利用できる商品をお届けするために、さまざまな角度から検査を行っています。

◎商品検査センターについて、詳しくはこちらから
https://www.fcoop.or.jp/product/product_inspection/