食品ロスを減らそう!食品庫と冷蔵庫 の収納術【食品庫・野菜室編】
日本で発生する食品ロスの約47%が家庭から発生していることをご存じですか? その原因のほとんどが賞味期限切れや食品の劣化によるもので、食品庫や冷蔵庫で起こりやすいと言われています。今回は、整理収納アドバイザーの矢武(やたけ)まりさんに、食品ロスを減らすための食品庫と冷蔵庫の収納術を教えてもらいました。1回目は「食品庫・野菜室」の収納術を紹介します。
なぜ冷蔵庫や食品庫が食品ロスにつながりやすいの?
食品庫と冷蔵庫で起こりやすい問題として、以下のような理由が挙げられます。あなたはいくつ当てはまりますか?チェックしてみてくださいね!
(理由①)食品をパンパンに詰め込んでいる
□賞味期限が切れても気付かない
□下に埋もれていたり、奥に入って見えない食品がある
□必要な食品がすぐに見つからない
□新しく購入した食品を入れるスペースがない
□新しく購入した食品を手前に入れている
□食品の出し入れがしにくい
□冷蔵庫の冷気の吹き出し口を塞いでいる
□二度買いや無駄買いをしてしまう
(理由②)食品ごとの適切な保存ができていない
□食品を劣化させてしまい、廃棄することがある (腐敗、変色、カビなど)
□野菜は下処理せずにそのまま保存している
□肉や魚はトレーに入れたまま保存している
□業務用の冷凍食品は小分けにせず保存している
収納を始める前に食品を仕分けする
収納を始める前に、食品の仕分けをすることが上手に収納するためのポイント!食品の特性に合わせた対策を行うために、まずは仕分けを行い、適切な場所に保存しましょう。中でも粉物や穀物など、ダニが好む食品は要注意!消費に時間が掛かる場合は、冷蔵室や冷凍室に保存することをおすすめします。お米は密閉容器に入れ替えて野菜室で保存すると良いですよ。今あるお家の食品を一度全部出して整理してみてくださいね。
《仕分けの手順》
1.常温、冷蔵、冷凍など、保存方法ごとに食品をまとめる
2.使う分だけ小分けにし、 密閉容器に移し替える (密閉容器、ジッパーバッグ使用)
3.密閉容器内は湿度対策を行う(食品用乾燥剤を使用)
4.消費に時間がかかる食品は冷蔵室、冷凍室に保存する
ダニや湿気、乾燥エチレンガス、酸化、カビなど、食品ロスにつながる食品の劣化の原因は食品の特性によってさまざま。野菜は余分な水分をしっかりと拭き取る、お肉は使う分だけ小分けにして密閉保存するなど、食べるタイミングや食品に合わせた対策を行ってくださいね。仕分けが終わったら収納スタート!ここでも最初に押さえておきたい2つのポイントがあります。
【収納のコツ①】見やすくまとめる
中身が見える収納ケースを活用し、賞味期限が前面、上方から見える様に縦に収納すると期限切れに気付きやすくなります。食品名が分かる様にラベルを付けるのもおすすめです。
≪収納ケースにまとめる利点≫
・奥の食品まで見やすくなるので、食品が迷子にならない
・冷蔵庫の場合、ケースごと一気に出し入れが出来るので、冷却効率が下がりにくく
鮮度を保ちやすい
・賞味期限ごとに分けたり、ラベリングするなどで消費状況が分かりやすい
【収納のコツ② 】使いやすい収納を作る
よく使う食品は、見やすい・ 使いやすい場所に保存することで、残りものを把握でき、買い過ぎ防止にもつながります。スペースに余裕をもたせるのもポイント!食品庫は8割収納、冷蔵庫は7割程度の収納が目安です(冷凍庫はぎっちり収納してもOK)。
食品庫は高温多湿を避け、ダニ対策を!
常温で保存できる食品をストックしておく「食品庫」。劣化を防ぐには、ダニ対策が欠かせません。開封後の食品を輪ゴムやクリップで留めたり、ビニール袋に入れたりしてもダニの侵入は防げないと言われています。ダニは高温多湿の環境を好むため、湿度対策を行い、コンロの下などの収納スペースに保管するのはなるべく避けてくださいね
●ダニが好みやすい食品の一例
・粉物…小麦粉、お好み焼き粉、パン粉、きな粉、ホットケーキミックス、粉ミルクなど
・旨味成分が含まれる物…昆布、みそ、乾燥しいたけ、煮干しなど
・穀物類…コーンフレーク、グラノーラなど
・種子類…ナッツなど
・その他…砂糖、プロテイン、唐辛子、タマネギなど
食品庫の保存の手順
写真は引き出しタイプの食品庫の一例です
《食品庫の保存の手順》
1. 収納ケースを使って食品をまとめる
「同じ種類の食品」「一緒に使う食品」 「よく使う食品」 「賞味期限別」 「フリースペース」などに分けて保存する
※「フリースペース」には開封後の食品や消費期限の近い食品を保存
2. 食品は立てて並べる ※期限が近い食品は手前に並べる
3. 賞味期限が前面、上面から見える様に工夫する
4. 収納ケースは中身が見える物を使う(透明や半透明)
5. 収納ケースには食品名が分かる様にラベルを付ける
💡ポイント
食品庫内の目の止まりやすい場所にフリースペースを作ることで、開封後・賞味期限が近いものが分かりやすくなります。また、購入した商品を一時置きする場所としても活用できますよ。
縦型の食品庫の場合は、上段は見えにくく使いづらいため、 食品を忘れがちに!中段によく使う食品、下段に時々使う食品を保存しましょう。取っ手の付いた収納ケースを使って食品をまとめると、取り出しやすくなるので使い勝手がよくなりますよ。
野菜を使い切ることで食品ロス削減へ!
続いては野菜室の収納術を紹介します。少し古いデータにはなりますが、2014年度の農林水産省「食品ロス統計調査」によると、家庭から出る食品ロスの上位を「野菜」が占めています。その原因は、品質の劣化を始め、食べられる部分まで捨ててしまったり、食べ残してしまったりということが挙げられます。
野菜の食品ロスを減らすためには、鮮度を保つための対策と保存を行い、スペースに余裕をもって収納することが大切。野菜の大きさや形・買い物の量が違っても、いつでも対応できるように細かく仕切らずに収納するのがポイントです。
《野菜室に保存する前の下準備》
□野菜室の野菜を全部出して、葉物類、きのこ類など種類別に分ける
□余分な水分をしっかりと拭き取る
□ビニール袋や鮮度保持袋を使い、密閉保存することで、劣化の原因につながるエチレンガス対策を行う
保存する前の下処理や乾燥対策は野菜によって方法が異なるため、以下の記事を参考にしてみてくださいね
「おやさい知恵袋」
野菜室の保存の手順
1.野菜室内にフリースペースを作る
まず使いかけ、鮮度の落ちたもの、日持ちがしないものなど、優先順位の高い野菜を置く「フリースペース」を作りましょう。購入した 野菜の一時置きなどにも利用できます。また、高さがないものやつぶれやすいもの、小さな野菜などを保存する「その他のスペース」を作っておくのも便利です。
2.大きくてかさばる野菜、立てて保存する野菜は下段に
大きな野菜や、立てて保存する野菜の場合、収納ケースや紙袋、 ブックスタンド、ペットボトル、突っ張り棒などのアイテムを活用するのがおすすめ!ダニが好みやすい土付きの野菜は紙袋などに入れるなどして、野菜室内を清潔に保ちながら保存してくださいね。
食品ロスを減らすための3つのポイントと食品庫・野菜室の収納術はいかがでしたか?普段の食品庫の状態をチェックしてぜひ参考にしてみてくださいね。次回は冷凍庫・冷蔵庫の収納術を紹介します。
教えてくれたのは
矢武(やたけ)まりさん
くらし学習サポーター※の整理収納アドバイザー。子どもの片付け学習から終活の準備まで年代に応じた整理・収納術の学習会講師を数多く担当。
※エフコープ組合員理事などの推薦を受けた専門分野に詳しい組合員。組合員どうしの学習会などに有料で講師依頼することができます。