冷蔵庫、詰め過ぎていませんか?

冷蔵庫、詰め過ぎていませんか?

「冷蔵庫は詰め過ぎると冷却効果が落ちる」、それに反して「冷凍庫はたくさん入れても冷却効果は落ちない」という話を聞いたことがありませんか? では、実際はどうなのでしょう。再現をして温度変化を詳しく調べてみました。

冷蔵庫を調べてみました

【検査方法】
●りんご館にある家庭用冷蔵庫を使用。
●冷蔵庫を3分間開放し、その間に常温の食品を入れる。
●入れる量は冷蔵庫の50%・80%・100%で、それぞれの庫内の温度変化を3時間計測する。


【結果】

ものをたくさん入れるほど、冷却具合が鈍くなるという結果になりました(上のグラフ参照)。食品衛生法で「冷蔵」とは「10℃以下」とされています。50%入れた庫内が10℃以下になるには約25分、80%入れた庫内では約1時間20分掛かってしまいました。
100%詰め込んだ庫内では、記録した最低温度が10.5℃だったので、3時間でも冷蔵状態に達しませんでした。今回計測したのは庫内の温度なので、食品自体はさらに高い温度を保っていると考えられます。

冷蔵庫の上・中・下段で 温度差はあるの?

今回使用した冷蔵庫は、最下段にあるチルド室から冷気が出てくるタイプのものでした。冷蔵庫の上段、中段、下段を同時に計測しましたが、温度変化の傾向や記録した最低温度に大きな違いはありませんでした。そのため、下記の結果はおよそ平均値となる中段の数値を採用しています。

【庫内に80%入れたときの温度】

冷凍庫を調べてみました

【検査方法】
●りんご館にある家庭用冷凍庫を使用。
●冷凍庫内の温度がマイナス3℃になるまで開放し、その間に冷凍の食品を入れる。
●ものを入れない状態(0%)と、50%・100%まで入れた状態のそれぞれ庫内の温度変化を3時間計測する。


【結果】

食品衛生法で「冷凍」とは「マイナス15℃以下」とされています。最も早く冷凍状態に達したのは、やはりものを入れない状態(0%)で、15分ほど掛かりました。50%と100%は似たような温度変化をして、45~50分ほどでマイナス15℃に達しました。冷凍状態まで温度が下がった後に、最も温度が安定したのは、100%詰め込んだ庫内でした。

まとめ


冷蔵庫は、ものを詰め過ぎるとやはり冷却が鈍くなりました。冷蔵が必要な食品は、長時間冷蔵状態の中にないと品質が劣化し、菌が繁殖し始めるものもあります。中には急激に状態が悪くなるものもあるので、廃棄せざるを得なくなったり、最悪の場合は食中毒につながったりすることも考えられます。
冷蔵庫にはものは詰め過ぎず、余裕のある入れ方をするように心掛けて、冷気が行き渡るようにしましょう。また、常温の食品を入れるときは、冷蔵してあった食品と少し隙間を空けるなどして冷却状態を保ちやすい環境をつくりましょう。


冷凍庫は、食品を入れないと空間(空気)が増えます。空気は温度変化しやすいので庫内0%の場合は速く冷えました。一方、庫内50%と庫内100%の場合では温度変化に大差ありませんでした。
今回、追加調査として常温の食品自体が冷凍庫でどのように温度変化するかも計測しました。これも庫内50%と庫内100%の場合でほとんど差はありませんでした。冷凍庫は食品を多く入れても冷却効果は落ちないといえます。
しかし、常温の食品は庫内温度を上げてしまう恐れがあるので、冷凍庫に入れる食品の温度には注意しましょう。

施設情報

エフコープ商品検査センター「りんご館」

エフコープ商品検査センター「りんご館」

エフコープ商品検査センター「りんご館」では、生産者や取引先、エフコープで確認した商品基準や商品仕様書などの約束ごとが守られているか検査を通じて検証しています。安心して利用できる商品をお届けするために、さまざまな角度から検査を行っています。

◎商品検査センターについて、詳しくはこちらから
http://www.fcoop.or.jp/goods/ringokan/index.html