熱中症予防 8カ条

熱中症予防 8カ条

6月に入り、暑さが日に日に増してくる今日この頃。熱中症が心配になる方も多いのではないでしょうか?
特に今年は新型コロナウイルスの影響でマスクを着用することも多く、より熱中症に罹るリスクが高まっています。では、実際にどのような対策をすれば防げるのでしょうか。
今回はエフコープの産業看護師を務める青木珠代さん(一般社団法人・九州社会医学研究所)に、その予防法をお聞きました。

熱中症の原因と対策

「熱中症」とは、気温が高いところにいたり、その中で運動したりした結果、体温の調整機能がうまく働かなくなり、体内に熱がこもって全身にさまざまな不調が表れた状態のことを言います。

熱中症で考えられる主な要因は「環境」「体」「行動」の3つ。「環境」は気温や湿度など、その日の天候や自分が居る場所の状態。「体」は激しい運動や暑さに慣れていないなど肉体的な状況。「行動」は長時間の屋外作業や水分補給ができていない状況などを指します。

重要なのはこうした要因を意識すること。睡眠不足などは間接的に熱中症に影響するので、日ごろから体調管理や体づくりを行い、天候に合わせた暑さ対策を意識的に行いましょう。特に、子どもや高齢者には周囲の気遣いが必要です。

【体づくりで気を付けたいポイント】
□  朝食をきちんと取る
□  十分な睡眠を取る
□  暑さに慣れる
□  深酒をしない

熱中症にならないための8カ条

その1. 水分をこまめに補給しよう
熱中症予防で欠かせないのが水分補給です。成人が1日に必要な水分摂取量の目安は1.5~2ℓ。「喉が渇いた」と感じる頃には、すでに脱水状態になっているため、起床時や外出前、運動中とその前後、入浴前後、就寝前など、こまめに摂取しましょう。

子どもは一度に飲める量が少ないので、大人が声を掛けて意識的に飲ませるようにしましょう。また、子ども自身に水分補給の習慣をつけさせることも熱中症対策になります。

高齢になると、喉の渇きに気付きにくくなります。家族が時間を決めて水分を摂らせるなど、配慮しましょう。


その2. 塩分もほどよく補給しよう

暑い場所でのお仕事や運動などで大量の汗をかくときには、体内に必要な塩分も放出されてしまいます。水分とあわせて塩飴などでほどよく塩分を補給しましょう。


その3. 飲み物は利尿作用の少ないもの(ノンカフェイン)を

ノンカフェインの麦茶やそば茶などがおすすめ。また、スポーツドリンクや体への吸収が早い経口補水液も有効です。緑茶や紅茶、コーヒーなどは利尿作用があるので、飲んだ以上に尿として排泄されてしまいます。


その4. 暑さ指数を知ろう

熱中症は、気温だけでなく湿度や風の有無などが要因に。熱中症予防のための「暑さ指数※1」を確認して予防しましょう。特に運動する日は要チェック。暑さ指数が22℃を超えると危険だとされています。
※1環境省の熱中症予防サイトで確認できます。


その5. 車内の温度変化に注意しよう

真夏の昼間に車のエアコンを切ってしまうと、車内温度は急激に上昇します。サンシェードなどで日よけ対策をしていても、1時間後には車内は45℃に!※2。短時間でも絶対に子どもを乗せたままにしないようにしましょう!
※2 JAFホームページ「ユーザーテスト」2012年8月車内温度測定データより


その6. 地面との距離に注目しよう

太陽の熱や気温の上昇で地面が放熱するため、地表に近いほど気温が高くなります。体が小さな子どもたちは、大人よりも高温の環境にいるので、特に注意が必要です。

ベビーカーも地面との距離が近くなるので、幼児は大人よりも高温の環境下にさらされます。外出する際は、そのことを認識しておきましょう。


その7. お風呂での熱中症に気を付けよう!

日中の気温が高い日に、熱いお風呂に入るとさらに発汗し、脱水が進んで危険です。お湯をぬるめにしたり、入浴の前と後にコップ1杯の水分補給をしたりするように心掛けましょう。

高齢者は体内の水分量が低下しているので、熱がたまりやすくなります。一番風呂を好む方も多いと思いますが、まだ外が暑い時に高温のお風呂に入ると熱中症になってしまう可能性が高いので、注意が必要です。


その8. 室温の管理をしよう

熱帯夜が原因で熱中症が起こりやすくなっています。また、暑くて寝付けず、寝不足になるのも熱中症の間接的な原因に。エアコンを上手に活用して室温調整をするようにしましょう。エアコンの風が苦手な方は、扇風機を使って空気を循環させるなどして、室温が上がらないように対応を。

高齢者はエアコンを嫌う傾向にあります。そのため、エアコンを使わずに室温が上昇して室内で熱中症になることも珍しくはありません。エアコンを利用して室内を適温(28度)にすることを心掛けてください。

もしも熱中症になっている人がいたら

涼しいところに移動させて、洋服の襟元やベルトを緩めます。すぐに水分補給をさせて、太い血管が集まっている首・脇・足の付け根を、濡れタオルなどで冷やしてあげましょう。屋外では自動販売機で買える、冷たい缶・ペットボトル飲料を当ててあげるのも効果的です。

呼び掛けても反応がない、水分を自分で摂れないときは、すぐに救急車を。水分補給は経口補水液が最適です。常備しておくといいでしょう。

日頃のちょっとした生活習慣に気をつけてさえいれば、熱中症は大幅に防ぐことができます。家族で元気な夏を楽しむためにもぜひ、しっかりとした熱中症予防を!

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青木珠代(あおき・たまよ)さん

青木珠代(あおき・たまよ)さん

看護師。一般社団法人九州社会医学研究所勤務。30年以上、エフコープの産業看護師を務める。