室内でも危険 熱中症に気をつけよう!

室内でも危険 熱中症に気をつけよう!

暑くなってくると増えてくる熱中症。子どもや高齢者などは特に注意が必要です。マスク着用時に気をつけたいことを含め、熱中症の予防について聞きました。

室内でも起こる熱中症

夏の屋外で激しいスポーツや労働をしているときだけでなく、室内でじっとしていても熱中症になることがあります。私たちの体は、体温が上がると汗をかいて体温を下げようとしますが、気温や湿度が高いと熱をうまく逃がすことができないからです。

実は、熱中症の発生場所は住居が最も多く、屋内で死亡したケースの多くはエアコンを使用していなかったというデータが環境省の報告にもあります。熱中症になりやすいのは次のような人たちです。自分で注意するだけでなく、周囲の人にも気を配りましょう。

熱中症になりやすい人とは?

●妊婦
妊娠中は基礎体温が上昇し、新陳代謝がよくなるため熱中症になるリスクが高くなります。つわりなどで水分補給ができない時期も要注意です。

●子ども
子どもは体温調節機能が未熟。特に乳幼児は、自分で体調を伝えたり、水分をとることができないため、注意が必要です。

●ダイエット中の人
減量すると体力が衰え、体に必要な栄養素も不足するためリスクが高くなります。

●肥満気味の人
皮下脂肪が多いと体の中の熱を逃がしにくくなるため、熱中症になりやすくなります。

●持病のある人
心臓病、腎臓病、高血圧、糖尿病などの持病があるとリスクが高くなります。日頃から持病の管理をし、体調が悪くなったら早めに医療機関へ。

●高齢者
高齢になると暑さやのどの渇きに気づきにくく、体の水分量も少ないので脱水状態になりやすくなります。

熱中症を予防するために

熱中症にならないためには予防が大切。体に熱がこもらないようにすること、脱水状態にならないようにすることを心がけましょう。

【マスク着用時に注意すること】
常にマスクをつけていると、のどの渇きに気づきにくく、水分補給がおろそかになりがち。屋外で人と十分距離がとれる場合はマスクを外して休憩しましょう。また、のどが渇いていなくても、こまめに水分補給することが大切です。

【食事ではこんなことを心掛けて】
水分は食事からもとることができます。とまとなど、水分をたっぷり含んだ食材はもちろん、塩分が含まれている味噌汁を食べることも熱中症対策になります。また、夏バテしていると熱中症のリスクが高まるので、日頃からタンパク質やビタミンを摂り、朝ごはんもしっかり食べましょう。

【“マイルール”で水分補給!】
こまめに水分を補給するためには、起床時、食事、休憩時間、入浴の前後、就寝前など、節目節目で水分をとる“マイルール”を決めておくとよいでしょう。

運動や外出の際にはマイボトルなどを携帯し、すぐに水分補給できるようにしてください。たくさん汗をかいたときは、スポーツドリンクや塩分を含む飴などで塩分補給も忘れずに。

【「暑さ指数」や「熱中症警戒アラート」をチェック!】
室温28℃、湿度70%を超えるとかなり危険な状態です。エアコンは早めにつけて、この基準を超えないようにしましょう。また、熱中症予防を目的に「暑さ指数」が環境省熱中症予防情報サイトで発表されています。

指数28以上で厳重警戒、31以上で危険となり、高齢者は安静状態でも発症する危険性が大きくなります。「熱中症警戒アラート」は前日夕方17時、当日朝5時の1日2回発表されますので、日頃からチェックするようにしましょう。 

●こちらもチェック!
環境省熱中症予防情報サイト
https://www.wbgt.env.go.jp/

熱中症に関する情報サイト。「暑さ指数」や「熱中症警戒アラート」が確認でき、熱中症になったときの応急処置の解説もあります。

「暑熱順化(しょねつじゅんか)」※ を知ってますか?

体が暑さに慣れることを「暑熱順化」といいます。体温調節機能は常に一定ではないため、暑熱順化がうまくいっていないと熱中症を起こしやすくなります。体を暑さに慣らすためには、週に数日、20〜30分のウォーキングや、湯船にしっかりつかるなどして、汗をかくことが大切です。

また、暑熱順化ができるようになっても3日中断すると元に戻ってしまうといわれています。無理のない範囲で発汗を促す行動を継続しましょう。
※暑熱順化には個人差があります。上記を行っても、必ず暑熱順化できるわけではありません。

教えてくれたのは

profile

寺尾 未知(てらお みち)先生

寺尾 未知(てらお みち)先生

1989年、産業医科大学卒業。
一般財団法人西日本産業衛生会
北九州産業衛生診療所所属。
エフコープの産業医を務める。