見落としがちな 災害の備え

見落としがちな 災害の備え

9月は防災月間です。エフコープの機関誌『ふれあい』6月号で実施したアンケートでは、災害への備えについて「している」と回答した人が約60%でした。その中でも持ち出し品の準備や食品の備蓄をしていると回答した人は約60%と多かったのですが、避難場所や安否確認の方法まで決めているという人は30%にも満たない結果でした。そこで今回は、防災士で自身も被災した経験を持つしほママさんに、見落としがちな災害の備えについて聞きました。

【備え1】 スマートフォンの充電が切れそう!

◎バッテリーを長持ちさせるために、まずやっておくこと
まず消費電力を少なくするために、低電力モードに切り替えましょう。消費電力を抑えることができます。また、Wi-Fi(ワイファイ)設定を切ることもポイント(Wi-Fi電波を探すのに電力を使うため)。絶対連絡を取りたい相手には携帯電話のテキストメールを送りましょう。消費電力が少なく、「無事」を知らせるだけならテキストメールで十分です。また、日ごろから外出の際にモバイルバッテリーを携帯しておくことも重要です。

安否確認には「災害用伝言ダイヤル171」の利用を。番号は「家族がそばに1(い)7(な)1(い)」で覚えましょう。

ココも大事!
伝言ダイヤルに録音するメッセージのコツは「あ、い、た、い」と覚えて。

」…あなたの名前は?
」…いまどこにいる?
(だ)」…だれといる?
」…いたいところは?

【備え2】 スマートフォンの充電が切れた

◎公衆電話を使おう
スマートフォンが使えないときに頼りになるのが、公衆電話。携帯電話の普及で公衆電話のかけ方を知らない人もいるので、家族で使い方を確認しておきましょう。また、身近な場所の公衆電話の位置を把握することも大事。近くの公衆電話が災害で使えなくなることも想定し、2カ所以上確認しておきましょう。テレホンカードはコンビニエンスストアで販売されています。いざというときのために1枚持っておくと安心ですね。

公衆電話の使い方
受話器を取る
②10円玉またはテレホンカードを入れる
③電話番号を押す

ココも大事!
通学、通勤路の公衆電話の場所もチェックし、外出する際は、手書きのメモを家に残すなどの習慣をつけるようにしましょう。アナログですが、もしものときに役立ちますよ。

【備え3】アナログがモノをいう!

◎家族の集合場所を決めておこう
スマートフォンの充電が切れた、停電して電話も通じない、ニュースも見られない! そんなときのために、普段から意識しておきたいのが、アナログでのコミュニケーションです。災害が起きたときを想定して、家族で「離れ離れになっているときの集合場所」「ご近所さんとの助け合い」を念頭に入れておくことが大切です。

ココも大事!
「互近助(ごきんじょ)」付き合いは大事

災害を乗り切るためには、日ごろのコミュニケーションが重要です。私が実際に被災して感じたのは、困ったときだけ「助けて」とは言いにくいということ。ふだんからご近所さんとの人間関係を大事にしておきましょう。この「互近助」づきあいで熊本地震のときは力をもらえました。

【備え3】災害時に使えるお金の話

◎なるべく少額紙幣で、五百円玉は要注意
災害時であっても日々の買い物は必要です。停電するとATMは使えなくなり、店舗もレジが使えないため電子決済もできなくなります。現金、特に少額紙幣や小銭を用意しておくと使えるところも多く安心です。また、新500円硬貨に、対応していない自動販売機もあるので、要注意。公衆電話で使える10円玉を子どもたちに持たせておくと、さらに安心です。

ココも大事!
東日本大震災のとき、被災した店内には入れず店頭販売で買い物をしました。100〜300円で1人3つまで。おつりが出ず、持っていた小銭が役立ちました。

ココもチェック!

車中泊・車中移動を考えるなら、ガソリンをふだんから半分になったら満タンにする、などの習慣をつけておくとよいですよ。

「これは知っておきたい!」情報サイトはこちら

災害に備えて1度確認しておきましょう

●福岡県管理河川の洪水浸水想定区域図
https://www.pref.fukuoka.lg.jp/contents/sinsui-soutei.html
福岡県の主要河川の洪水浸水想定が確認できます

●福岡県 防災メールまもるくん
http://www.bousaimobile.pref.fukuoka.lg.jp
登録すると福岡県の防災情報がメールで送られてきます

教えてくれたのは

profile

防災士  しほママ

防災士 しほママ

柳原 志保(やなぎはら しほ)さん
宮城県多賀城市生まれ。熊本県和水町在住。2011年東日本大震災で避難所生活を経験、移住先で熊本地震、令和2年7月豪雨も経験。3つの大災害からの教訓をもとに講演やアドバイザー活動を行っている。

●ホームページはこちら
http://soboku.org/bousai/