どんな備えが必要? 知っておきたい防災対策 第2話
気象予報士であり防災士でもある、RKB毎日放送の気象キャスター・龍山康朗(たつやまやすあき)さんに伺う防災対策。
第2話は、コロナ禍での防災に対する心構えや、備蓄しておきたいものについて具体的に教えていただきます。
もしも!の時に「アマビエたすけて」
龍山さん:
「まず、家を出て避難する場合のために非常用持ち出し袋の準備をしている家庭も多いと思います。その場合、荷物の重さは男性であれば15kg、女性は10kgまでの重さを目安にしてください。重すぎる持ち出し袋はかえって避難の妨げになります。また、片腕に子どもを抱える必要がある場合は5kgほどにしておいた方がいいでしょう。
では、コロナ禍という今までとは異なる状況での避難には何が必要でしょうか。実は、〝非常用持ち出し袋に加えたい8つの物〟というものがあります。これをわかりやすく“アマビエたすけて”という標語にしました。行政の方たちにヒヤリングして私が考えたものです。
避難所での準備や支援品などで不足すると予想される消毒用のアルコール、大勢が集まる場所で使いたい体温計など、普段は非常用として準備していないものでも、コロナ禍の今は必需品。ご家庭の持ち出し袋に追加して入れておくことで、最低限の感染対策になります」
在宅避難ではまず水を確保しておく
龍山さん:
「在宅避難の場合は普段から食品を備蓄しておくことが必要です。個人的には、3日分の食料を備えておけば十分だと考えています。電気やガスが止まることを想定して、カセットコンロで調理できるようなものを備蓄しておくといいですよ。
災害が迫っていると思ったらまず水の確保をしておきましょう。水害の場合でも水道管の破損や停電などによる断水の被害は意外と多く、水が不足するケースがあります。水の確保は、風呂場の浴槽に溜めるだけでもOKです。飲み水にはならなくても、顔や体を拭いたり、洗濯に使ったり、トイレを流す水にも使えます」
普段のくらしに防災を取り入れよう
龍山さん:
「在宅避難を想定して食品の備蓄が必要だとお話しましたが、あまり難しく考えず、普段食べている好きなカップ麺を非常食として多めに買っておくだけでもいいと思います。
食べ物だけでなく、例えば最近ブームになっているキャンプを利用して、普段からテントや寝袋を使ってレジャー感覚で避難のシミュレーションをしておくのもいいかもしれません。キャンプ用品は優秀な防災グッズでもありますし、家族全員が使い方に慣れておくことも大事です。子どもと一緒に自然と触れ合い、慣れ親しんでおくことで、いざという時の行動に役立つこともあるでしょう」
龍山さんの話にあるように、日常に防災を取り入れることで、いざという時に落ち着いて行動する準備ができます。
食品の備蓄に関しても、備蓄したものを定期的に消費し、食べた分だけ買い足していく「ローリングストック法」という方法があります。これは備蓄の賞味期限切れを防げ、さらには実際に食べることで調理法や味の確認にもなるので、ぜひ普段のくらしに取り入れてみましょう。
ローリングストック法についてはこちら
いかがでしたか? 災害が起きてから慌てて行動してしまうと、最悪の場合は命に関わるケースもあります。防災の基本は、非常時の想定と事前の準備です。
「もしも!」に備えて普段の生活を少し見直し、コロナ禍でも安心できる防災対策を心がけましょう。
profile
龍山康朗(たつやまやすあき)さん
RKB毎日放送 報道部 気象キャスター 専門部長(気象・防災担当)
九州大学大学院航空宇宙工学修了。1991年RKB毎日放送入社。1995年に気象予報士資格を取得し、日本初のアナウンサー気象予報士に。現在、「今日感テレビ」のお天気キャスターをはじめ、ラジオ番組や講演会などでも活躍中。
著書に「たっちんの気象転結―これであなたもお天気雑学博士!」。