絵本の選び方② その子の体験と結びついた絵本を

絵本の選び方② その子の体験と結びついた絵本を

絵本を選ぶときには、その子の興味・関心や生活環境に合わせたものを選ぶようにしましょう。私も、絵本を紹介する際には、お家の方に「家族構成」「最近ハマっていること」「近ごろ参加した季節の行事」などを聞いた上で、今のこの子にはコレ! という一冊を選ぶようにしています。

絵本は、ただたくさん読めばいいわけではありません。大切なのは冊数ではなく、その子自身の「体験」とセットになった絵本を読んでいるかどうか。まず現実での体験があり、その体験を絵本の中で繰り返し確認する作業を通じて、子どもの心は伸びていきます。たくさんのことを体験した上で絵本を読んできた子は、他の人を思いやれる強くしなやかな心を持った大人に成長しますよ。

「体験」は特別なイベントとは限りません。お手伝いや買い物など日常の生活体験も重要です。子どもが何か新しい体験をしたとき、何かに夢中になっているときは、絵本を与えるチャンス! ぜひ、ぴったりの一冊を探してみてくださいね。

その子の「今」に合う本をタイミングよく!

ごはんも、いつも似たようなものばかりじゃつまらないですよね。絵本だって同じ。たまには祖父母やおじ・おばなど、親以外の大人に絵本を選んでもらうのも一案です。いろんな人の視点や感覚が加わることで、子どもの世界がより広がりますよ。私は、周囲の大人に1000円ずつ渡して、「いいと思った本を買ってきて!」とお願いする方法をすすめています。

体験に結びついた絵本選びで「親触覚」も育つ!

子どもの体験・興味に合わせた本を選ぶために、子どもを観察し、見つめる…ということを続けていくと、親も成長し“親触覚”、つまり「子どもの変化に気づく力」が備わりますよ。親触覚があると子どもがもっと大きくなった後でも、その子が心に抱える「何か」にいち早く気づくことができます。

●おすすめの1冊

『からすのパンやさん』
​からすのまちのパンやさん一家のお話。からすのお家と同じく両親が共働きだった芳野さんは、同じ環境であるからすの子どもたちと寂しさを共有しながら読んでいたそう。

作・絵/かこ さとし
偕成社

教えてくれたのは

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芳野 仁子(よしの のりこ)さん

芳野 仁子(よしの のりこ)さん

子どもの本とおもちゃの専門店「からすのほんや」店主。小学生向けフリースクールやキッズスクールも運営。一般社団法人 家庭教育研究機構代表理事。