子どもと一緒にドキドキ♪『おうさまがかえってくる100びょうまえ!』
書店「からすのほんや」店主・からすちゃんが選ぶ、子どもと、本と②
子どもの頃、「甘いものは虫歯になるから…」と心配症だった母。でも、母がいないときにこっそり、祖母が生姜の砂糖漬けや甘納豆を食べさせてくれていました。お菓子の包みをテーブルに存分に広げ、リラックスして夕方のテレビ番組を見ていたら、外で自転車を止める音がする。“母が予定より早く仕事から帰ってきちゃった!” 大慌てでお菓子の袋を引き出しにしまって隠していたことを覚えています。
みなさんも、少なからずこういう経験ってありますよね。ちょっと悪いことをしたり、驚かせたりしようと画策しているときに、バレてはいけない相手が帰ってくる。その相手が部屋に入ってきてからも、しばらくは心臓の音が相手に聞こえちゃうんじゃないかと思うほどドキドキしちゃいます。
そんなドキドキを感じられるのが、今回紹介する『おうさまがかえってくる100びょうまえ!』です。王さまのお出掛け中に、楽しそうなものがたくさんある王さまの部屋で遊ぶ家来たち。すると、急に王さまが帰ってきてしまいます。部屋の中はしっちゃかめっちゃか。だけど、王さまが部屋に入ってくるまで100秒しかありません。家来たちは、それはそれは大慌てで部屋を片付けます。果たして、家来たちは100秒の間に無事に片付けられるのか…。
途中から絵と数字だけでスピーディーに展開していくので、気軽に読みやすい絵本です。お子さんと一緒に1から100までの秒数を数えながら、家来たちの奮闘ぶりをとくとご覧あれ!
この絵本を読み聞かせすると、子どもたちは絵をよく見ていて、小さな変化に気づきながら家来たちと一緒にドキドキしてくれます。大勢での読み聞かせも良いですが、この作品のように、おうちでお子さんやお孫さんと一緒に、“ドキドキ”を共有できる時間もまた、幸せですよね。
今回ご紹介した本
『おうさまがかえってくる100びょうまえ!』
柏原佳世子 作
えほんの杜
profile
芳野仁子(よしののりこ)さん
子どもの本とおもちゃの専門店「からすのほんや」店主。雑誌や新聞で絵本や子育てに関するコラムを執筆するほか、子育てに関する講座の講師も務める。
小学生対象のフリースクール「みんなのおうち」、考える力を楽しく養うキッズスクール「ひみつの国語塾」を運営。「一般社団法人 家庭教育研究機構」代表理事。
からすのほんやホームページ
http://karasubook.com/