リズムで楽しく！はじめて学ぶひらがなの絵本『ひらがなよんで！』

わたしは、子どもたちと何かに取り組んだ後には、その経験を振り返る時間をいつも大切にしています。経験を次に活かしたり、良かったことや興味深かったことについて考える。子どもたちが自ら、一日をていねいに締めくくる時間は、とても豊かです。その中でも「興味深かったこと」、つまり「へ～！なるほど！」と感じ入ったことから、次なる展開につながったり、もっと深く掘り下げていく姿は、学びそのものだなと思います。

春になると、「ひらがな」や「カタカナ」の本の贈り物を探しにお見えになる方が多いのですが、そんなみなさんに最近お勧めしているのがこの作品です。
めくりしかけの絵本で、子どもたちのハードな扱いをものともしない丈夫な作りの、手のひらサイズのボードブック。五十音順にひらがなが並んでいて、ひと文字ごとに扉がつき、それを開くと続きの言葉と絵が描いてあります。

例えば「う」は、牛を正面から見た絵に「うしの」と表記があり、扉をめくると、牛の後ろ姿の横に「うしろ」と書いてあります。「うしのうしろ」となるわけです。「に」は「にっこり」と表記があり、海で遊ぶ女の子の絵が描かれています。扉をめくると「にんぎょ」の絵が。「にっこりにんぎょ」となるわけです。「や」は「やま（山）で」と書いてあります。続きは何だと思いますか？

おとなのわたしでも、扉の内側への期待感でワクワクするのですから、子どもたちは尚更です。息つく間もなく、小さなその手で次々と扉を開き、一気に最後まで読み進み、楽しんでいる姿を見ていると、考えさせられます。おとなはついつい「文字を覚えること」に力が入りがちですが、「文字を楽しむこと」も大切にしたいなって思うのです。

『ひらがなよんで！』
作：きのした けい
絵：mona
コクヨ株式会社