秋がぎゅうぎゅうに詰まった小さな宝箱『いまはあき』

秋がぎゅうぎゅうに詰まった小さな宝箱『いまはあき』

書店「からすのほんや」店主・からすちゃんが選ぶ、子どもと、本と(49)


先日、丸い缶に入ったお菓子をいただきました。いろいろな種類の小さなお菓子がぎっしりと詰まっていて、まるで宝箱のよう。年がいもなくワクワクしてしまいました。今日ご紹介するこの絵本も、そんなワクワク感が味わえると思いますよ。
手のひらを広げたくらいの、小ぶりなサイズで、表紙いっぱいの赤いカエデに、目と心を一瞬で奪われてしまいます。中には、子どもたちが味わう秋のいろいろな場面が描かれています。赤や黄色、茶色に紅葉した葉が、風に舞いながら次々に落ちてくる。子どもたちが落ち葉のじゅうたんの上でスキップすれば、カサカサと軽い音が広がります。落ち葉を集めて山をつくり、もぐって隠れるのもまた楽しい。秋には雨も降るけれど、そんな中お散歩するのもまた良し。実りの秋の収穫や、冬の準備を始める渡り鳥。そして、忘れちゃいけない、あの行事も。秋がぎゅうぎゅうに詰まった小さな宝箱のような作品です。
大人は、情報の多くを視覚でとらえがちですが、子どもたちが周りの事象をとらえる時、幼ければ幼いほどに五感を使っているように感じます。そして、その幼い頃の感覚を、大事に抱えながら、成長していくのではないでしょうか?夏が長くなったような昨今ですが、大人のみなさんもぜひ、この絵本を片手に、自分の中にある幼心にくすぐられるような秋を、お子さんと一緒に満喫してみてください。

今回ご紹介した本

『いまはあき』
作:ロイス・レンスキー
訳:さくま ゆみこ
あすなろ書房

profile

芳野仁子(よしののりこ)さん

芳野仁子(よしののりこ)さん

子どもの本とおもちゃの専門店「からすのほんや」店主。雑誌や新聞で絵本や子育てに関するコラムを執筆するほか、子育てに関する講座の講師も務める。
小学生対象のフリースクール「みんなのおうち」、考える力を楽しく養うキッズスクール「ひみつの国語塾」を運営。「一般社団法人 家庭教育研究機構」代表理事。
からすのほんやホームページ
http://karasubook.com/

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