
【プレゼント企画あり】発見の連続!『やさいの おなか』
書店「からすのほんや」店主・からすちゃんが選ぶ、子どもと、本と(55)
高校受験を前にした、中学3年生への作文指導を行っている夏休み。最近は、面接や作文などが重視される入試も多くなってきました。今回は、その授業の始まりに読む絵本をご紹介したいと思います。
赤ちゃん絵本でしょ?って思われるかもしれないのですが、中学生だって楽しいのです。
野菜を切った断面のシルエットが描いてあるページがあって、「これなあに」と言葉が添えてあります。次のページをめくると、答えの野菜が描いてあり、11種が次々に登場します。
赤ちゃんはよく、タケノコのシルエットに反応しています。なぜかはいまだにわかりませんが…。繰り返しのリズムが心地良いのかな?ちいさな子どもたちが大好きな絵本です。
中学生はどうでしょう?レンコンやタケノコはさすがにわかりやすいので、中学生は自信ありげにすぐに答えますが、サツマイモやキュウリ、ニンジンでは、みんなすぐには答えが浮かばないようです。「ん~っ?」と考えます。
この絵本は、何かを捉えようとするという行動のはじまりにピッタリ。
授業や宿題、部活に塾にゲームと、忙しい最近の中学生は、ゆっくりと何かを考える時間が少ないように感じます。ましてや、自分のことを考えてみる時間なんて、取ることができないくらい、忙しい様子です。それに、この絵本のように、普段から目にしていて当たり前にあるものを、角度や視点を変えて捉えてみる機会も、きっとそう多くはないと思います。
だからなのか、この絵本を読むと中学生は前のめりで聞いてくれることがほとんどです。
一冊の絵本が、自己理解の入り口の扉になっている。その扉が開く瞬間を、今年も目にすることができました。あらためて、絵本ってすごいなと、うれしくなった夏休みでした。
今回ご紹介した本

『やさいの おなか』
作・絵:きうち かつ
福音館書店
★★今回ご紹介した本をプレゼントします★★
今回ご紹介した『やさいの おなか』を抽選で3名様にプレゼントします!
ご希望の方は下記応募フォームをクリック! たくさんのご応募お待ちしています。
応募締め切り:2025年8月31日(日)23:59
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芳野仁子(よしののりこ)さん
子どもの本とおもちゃの専門店「からすのほんや」店主。雑誌や新聞で絵本や子育てに関するコラムを執筆するほか、子育てに関する講座の講師も務める。
小学生対象のフリースクール「みんなのおうち」、考える力を楽しく養うキッズスクール「ひみつの国語塾」を運営。「一般社団法人 家庭教育研究機構」代表理事。
からすのほんやホームページ
http://karasubook.com/