思わず歌いたくなる、ゆかいな絵本『バンバンバンバンバンソウコウ』

思わず歌いたくなる、ゆかいな絵本『バンバンバンバンバンソウコウ』

書店「からすのほんや」店主・からすちゃんが選ぶ、子どもと、本と(33)


わが家の前の道路は、小学生の通学路。しかもカーブしているところで歩道が広くなっているせいか、毎朝、子どもたちのいろいろなドラマが繰り広げられます。
子どもたちの声が聞こえ始めると、コーヒーを片手に、「朝だなぁ。」と穏やかな気持ちで一日が始まる私。朝寝坊の夫は、子どもたちの声が目覚まし代わり。「今日も元気やなぁ。」と起きてきます。近頃、オリジナルソングらしきものを、気持ちよく歌いながら登校している男の子がいます。ご機嫌な朝ですね。

そんな彼に、曲をつけてほしくなる絵本。「バンバン バンバン バンソウコウ」「ころんだときには バンソウコウ」「ぶつけたときには バンソウコウ」「かまれたときにも バンソウコウ」と、言葉がリズムよく続いていきます。
絵がまた愉快で、いろいろな子どもたちが、ペタペタとバンソウコウを貼っている様子が描かれています。本来なら痛くて泣いちゃうような時にお世話になるものですが、バンソウコウを貼ることで、元気が湧いてくるような、時には自慢げにさえ見える、明るい子どもたちの表情。ケガをするほど遊んだり、何かに関心を寄せたりして、夢中でチャレンジする子どもたちへのエールのようにも感じました。
バンソウコウを貼ってもらう時の、誰かに甘えたいような気持ちを思い出したりもしました。ちょっとだけ甘えて、また外の世界へ飛び出して行く。すこしずつ大人になっていく子どもたちの「勇気の素」は、もしかしたらバンソウコウなのかもしれませんね。
いつか、通学途中の子どもたちが転んだ時のために、玄関にバンソウコウを用意しておこうかな。

今回ご紹介した本

『バンバンバンバンバンソウコウ』
作:いとう ひろし
ポプラ社

profile

芳野仁子(よしののりこ)さん

芳野仁子(よしののりこ)さん

子どもの本とおもちゃの専門店「からすのほんや」店主。雑誌や新聞で絵本や子育てに関するコラムを執筆するほか、子育てに関する講座の講師も務める。
小学生対象のフリースクール「みんなのおうち」、考える力を楽しく養うキッズスクール「ひみつの国語塾」を運営。「一般社団法人 家庭教育研究機構」代表理事。
からすのほんやホームページ
http://karasubook.com/

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