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次へつながるちいさな勇気『つみき』
書店「からすのほんや」店主・からすちゃんが選ぶ、子どもと、本と(24)
子どもがちいさな手で積み木を重ねている様子を見ていると、その遊び方は大人の反応で随分違っていると感じることがあります。
例えば、いつも拍手付きで「上手ね~」と褒められている子は、積み木を積んだ後に、目線を大人に向けます。また、大人が積んでいるのを見て真似して自分も積み木を積んだり、大人の積んだものをガシャンと倒して笑ったりします。
この絵本は、そんな子どもたちの大好きな積み木あそびのひとこまが描かれた作品です。積み木を、ひとつ、ふたつと積み上げ、ついには10個を積み上げます。そこへテントウムシが飛んできて、積み上げた積み木の一番上にとまりました。すると、積み木はゆらゆらと揺れ始め、ついには…。
この絵本が、子どもたちから何度も「読んで!」とせがまれる理由は、最後のページがあるからだと思います。
どんな偉人の伝記を読んでも、成功だけを積み上げていく人はいませんよね。生きていく中で、一度も失敗しない人なんていないと思います。失敗の先にその業績が重なっていく。深読みかもしれないけれど、子どもたちもトライアンドエラーを繰り返しながら、何かを見つけているのかもしれないなぁと思うのです。子どもたちの「遊び」は、大人の思う「暇つぶし」ではなく、もはや「学び」そのものなのではないかと、一緒に遊ぶ中で感じることが多々あります。
子どもたちに、次へつながるちいさな勇気と、大人たちに、子どもの失敗を寛容に受け止める力を与えてくれる、この赤ちゃん絵本。ぜひ一度、手に取ってみてください。
今回ご紹介した本
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『つみき』
文:中川ひろたか
絵:平田利之
金の星社
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芳野仁子(よしののりこ)さん
子どもの本とおもちゃの専門店「からすのほんや」店主。雑誌や新聞で絵本や子育てに関するコラムを執筆するほか、子育てに関する講座の講師も務める。
小学生対象のフリースクール「みんなのおうち」、考える力を楽しく養うキッズスクール「ひみつの国語塾」を運営。「一般社団法人 家庭教育研究機構」代表理事。
からすのほんやホームページ
http://karasubook.com/