子宮に届くメッセージ『ぼく、うまれるよ!』
書店「からすのほんや」店主・からすちゃんが選ぶ、子どもと、本と ①
子どもとの日々のくらし、穏やかな時間ばかりではないですよね。
自分が疲れているときや急いでいるときに限って、ぐずったり、きょうだい喧嘩が始まったり…。ついつい大きな声で叱ってしまって、夜、子どもの寝顔を見つめながら「あぁ、今日もまた怒っちゃったな…」と自己嫌悪に陥ってしまう。
誰しも、優しいママでいたい。でも、現実はそうとばかりにはいかない。
苦しかったり、悲しかったり、むなしかったり、傷ついたり。
そんな気持ちになったときに手にしていただきたいのが、今回ご紹介する「ぼく、うまれるよ!」です。
この絵本は、受精から出産までのストーリーを描いたもの。
出産のとき、ママのホルモンと、子どもがへその緒を通して送るホルモンが、陣痛を起こすのだそう。まるで、子どもの「生まれたい」「生きたい」という意思を、お母さんが応援するように。出産は、親子が初めてハーモニーを奏でる瞬間。その素晴らしい瞬間を、デザイナーであり造本作家でもある駒形克己さんがさまざまな仕掛け技法を駆使して、とても美しい絵本に仕上げています。
そして最後のページに込められた、赤ちゃんからのメッセージ。それがどのようなメッセージなのかは、ここでは内緒にします。読んでみてのお楽しみ。
ただ、そのメッセージは、一生懸命頑張っているママを子宮から支えてくれるようなひとこと。生まれたばかりのわが子の、その生命の存在以上のものを、何も望んでいなかった頃の自分を思い出す瞬間です。
あなたの大切なお子さんはきっと、他の誰でもないあなたとのハーモニーを、これからも一緒に奏でていきたいと願っているはずですよ。
今回ご紹介した本
『ぼく、うまれるよ!』
著者:駒形克己
出版社:ONE STROKE
profile
芳野仁子(よしののりこ)さん
子どもの本とおもちゃの専門店「からすのほんや」店主。雑誌や新聞で絵本や子育てに関するコラムを執筆するほか、子育てに関する講座の講師も務める。
小学生対象のフリースクール「みんなのおうち」、考える力を楽しく養うキッズスクール「ひみつの国語塾」を運営。「一般社団法人 家庭教育研究機構」代表理事。
からすのほんやホームページ
http://karasubook.com/