vol.17 おばちゃん、ちょっといい?

vol.17 おばちゃん、ちょっといい?

絵本の紹介でお馴染み「からすのほんや」店主 からすちゃんと嘉麻市在住のイラストレーター maruikoちゃんの「むかし子どもだったあなたへ」


フリースクール「みんなのおうち」の子どもたちが教えてくれる、子どもとのくらしのヒントを、スクール代表のからすちゃんと一児のママmaruikoちゃんがお届けします。

犬の散歩をしていると、近所の子に「おばちゃん、ちょっとおうちに行ってもいい?」と声をかけられることがあります。ですからわが家では、子どもたちが来た時のために、ジュースやおやつを常備しています。
子どもたちは、お友だちとのこと、成績のこと、部活のこと、家族のことなど、いろいろな悩みを近所のおばさんに話すことで、自分で何かしらの答えを見つけ、いろんな山を乗り越えていきます。

このように、子どもたちが成長する過程においては、親でも家族でも先生でもない誰かに話を聞いてもらうことで、目の前にあるさまざまな問題を自ら解決していく時期があるように思います。
一方で、フリースクールに来ている子どもたちの中には、そういう大人との出会いや繋がりが少ない子どもも多くいます。ですから、スタッフのことは、あえて「先生」ではなく、〇〇ちゃん、〇〇さんと呼んでもらうようにしています。
そうやってお互いの信頼が深まってくると、近所の子どもたちのように「ちょっと、いいですか?」と話をしてくれるようになります。子どもたちが誰にも話したことのなかった苦しい胸の内をさらけ出せるのは、案外そういう「近所のおじさん、おばさん」のような立ち位置の大人だったりするのです。
ご近所とのお付き合いも希薄になりがちな昨今ですが、まずは大人どうしが挨拶を交わしたり、ゴミ出しの時に天気の話をするなど、お互いを知り合うことから始めてみましょう。
子どもたちは、そういう大人の姿を見て、話しかけても大丈夫な人なのか判断しているように思うのです。

わが子がご近所さんに相談に乗ってもらうこともあるかもしれないし、ご近所さんのお子さんに相談されることもあるかもしれません。
「地域」という社会が、子どもたちの育ちの一翼を担うことができれば、子どもたちの心は、もっと軽やかになるのかもしれませんね。

profile

芳野仁子(よしののりこ)さん

嘉麻市生まれ。子どもの本とおもちゃの専門店「からすのほんや」店主。雑誌や新聞で絵本や子育てに関するコラムを執筆するほか、子育てに関する講座の講師も務める。
小学生対象のフリースクール「みんなのおうち」、考える力を楽しく養うキッズスクール「ひみつの国語塾」を運営。「一般社団法人 家庭教育研究機構」代表理事。
からすのほんやホームページ
http://karasubook.com/


maruikoさん

イラストレーター。福岡県嘉麻市出身・在住。展覧会などで作品を発表する他、さまざまな媒体のイラストやデザインを手がける。山に囲まれた小さな住宅街の小さな家で日々暮らしている。まるやまももこ名義で音楽活動も行っている。2015年に息子が生まれ現在子育て中。
ホームページ:
https://marumomo48.wixsite.com/maruiko

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