vol.11 ため息貯金
絵本の紹介でお馴染み「からすのほんや」店主 からすちゃんと嘉麻市在住のイラストレーター maruikoちゃんの「むかし子どもだったあなたへ」
フリースクール「みんなのおうち」の子どもたちが教えてくれる、子どもとのくらしのヒントを、スクール代表のからすちゃんと一児のママmaruikoちゃんがお届けします。
不登校のお子さんが、おうちにいる状態が長くなってくると、「これから、うちの子はどうなるのだろう…」と不安になってきますよね。学校には行けるのかな?とか、勉強が追いつけなくなるんじゃないかな?など、保護者の方の不安をたくさん耳にします。
保護者の方は、本当は「学校に行ってほしい」と思う気持ちを封印して、お子さんが自ら一歩を踏み出すのを辛抱強く待っていらっしゃいます。お子さんを責めることにならないように、何も言わずに待っているのは、もどかしくて、とても苦しいですよね。
心配事や悩みがあるときに、人はため息をつくことがあります。「ため息をつくと幸せが逃げる」なんて昔は言っていましたが、現代では、ため息をつくことは、緊張した筋肉を緩めたり、深く呼吸をして酸素を取り入れ、自律神経のバランスをとるために必要なことだと言われています。
ところが、保護者の方は「子どもが悲しそうな顔をするから、なるべくため息をつかないようにしないと…」とお話しされます。お子さんが「お母さんがよくため息をつくのは自分のせいだ」と落ち込むことがあるからです。お互い思いあっているのだな。そう思うと、胸が締めつけられます。
そこで今日は、ひとつご提案。それが「ため息貯金」です。実はこの方法。笑顔のたえない大好きな知人が、夫の介護の時についつい文句を言ってしまうことを止められなくて、考えられた方法なのだとか。
実際にチャレンジしてもらったご家庭では、始めたばかりのころは、猛烈な速さで貯金できるそうです。それから、次第にため息をついたことを、「あ!今ため息ついたよ~」と家族で笑い合ったりできるようになったそうです。
ため息をついて自律神経を整え、貯金ができて、おまけに家族の時間が笑い声で明るくなるのならば、一石三鳥ですよね。「貯まったお金でおいしいものを食べたんだよ」と明るく話す子どもたち。
家庭は、親にとっても子どもにとっても、ため息をつける場所であってほしいなと思っています。
それが、どちらか一方だけなら大丈夫なのでしょうが、お互いが苦しい時には、上手くいかないこともあるかもしれません。ぜひ、いろんな工夫をしながら、もう少しだけお子さんの踏み出すタイミングを待ってあげてほしいのです。
いつか、みなさんのご家庭でも愉快な工夫が見つかったら、ぜひ私にも教えてくださいね。
profile
芳野仁子(よしののりこ)さん
嘉麻市生まれ。子どもの本とおもちゃの専門店「からすのほんや」店主。雑誌や新聞で絵本や子育てに関するコラムを執筆するほか、子育てに関する講座の講師も務める。
小学生対象のフリースクール「みんなのおうち」、考える力を楽しく養うキッズスクール「ひみつの国語塾」を運営。「一般社団法人 家庭教育研究機構」代表理事。
からすのほんやホームページ
http://karasubook.com/
maruikoさん
イラストレーター。福岡県嘉麻市出身・在住。展覧会などで作品を発表する他、さまざまな媒体のイラストやデザインを手がける。山に囲まれた小さな住宅街の小さな家で日々暮らしている。まるやまももこ名義で音楽活動も行っている。2015年に息子が生まれ現在子育て中。
ホームページ:
https://marumomo48.wixsite.com/maruiko