福岡のフリースクール・不登校支援の現場から【篠栗町】フリースクール山ねこ
福岡県内のフリースクールなど、不登校の子どもたちの支援を行っている芳野仁子(よしののりこ)さん(愛称“のんちゃん”)が、「多様な学び」を選択する子どもたちの応援をしている、ステキなおとなに出会う「てくてく旅」!。
のんちゃんのてくてく旅 vol.4
今回は、前回お話を聞いた上村さんからご紹介いただき、「フリースクール山ねこ」を運営する、「一般社団法人どんぐりと山ねこ舎」の田中歩(あゆみ)さんに会いに行きました。
フリースクール開設のきっかけ
のんちゃん:お久しぶりです
田中さん:初めて会ったのは私の息子が小学校2年生の時でしたね。ちょうどフリースクールを開校した頃で。
のんちゃん:そうそう!懐かしいですね。
田中さん:息子は小学校1年生の2月から不登校になり、小学校2年生の始業式の日に「もう、学校には行きません」と宣言。その日のことは今でも忘れられません。でも、その言葉に驚きはありませんでした。なんとなく予感していたというか…。その後、近隣のフリースクールなどを探したのですが、当時は小学生を受け入れているところが少なくて通えるところが見つからず、1年かけて起業や経営を学んでから、フリースクールを開校したんです。
田中さん:現在、在籍児童は30名を超えています。フリースクールに対する公的な支援は少なく、続けるのは大変だけれど、5名のスタッフと一緒に運営しています。最近、男性のスタッフも加わり、良いバランスが生まれ始めているんですよ。
自然豊かな学びの場「やりたいこと」を尊重する
のんちゃん:とっても自然豊かな場所にありますね。
田中さん:フリースクールの場所を探している時に、友人の紹介で篠栗町の自然に囲まれた環境に出会い、ここで活動することを決めました。
山ねこでは、固定のカリキュラムがあるわけではなく、毎朝、子どもたち一人ひとりの「今日やりたいこと」を聞き、それを実現することを最優先としています。釣りやお菓子作りなど、大人から見たら些細な願いを一つひとつ叶えることは、子どもたちの満足感につながり、次の目標への意欲を湧きたたせます。
もっとゆとりを。時間的制約のない対話の重要性
のんちゃん:田中さんが運営する上で大切にしていることは?
田中さん:これだけ人数がいると、子どもたちの間での揉めごとは日常茶飯事。ここでは、そんな揉めごとについても、お互いにじっくりと時間をかけて話し合うようにしています。子どもたちが、自分の気持ちと向き合い、他者と対話する貴重な機会を持つことができる。これは、フリースクールならではの利点なのではないかと思います。
のんちゃん:それって実はとっても難しいことですよね。
田中さん:現在の学校教育への違和感は、自分の中にあるんじゃないかなって思います。
私が小学生の頃、担任の先生が型破りでね。大雪の日に授業を中止して、クラスのみんなで雪遊びに興じたことが今でも忘れられない、鮮烈な思い出です。すごく楽しかった!先生は、後で怒られたりしたかもしれませんけどね。
畑のとなりで竹の基地づくり
田中さん:フリースクールの活動は、そういう自分の記憶の中にある何かが繋がったような、伏線のような活動です。今の学校では、先生も子どもたちもじっくり考えるゆとりがなくて、双方が主体的に考えることができない悪循環に陥っているように感じます。学校がもっと、みんなの中に「楽しい」が生まれる場所になるといいなと思います。
必要なのに、世の中にないもの
夏休みの「どんぐりひろば」の様子
のんちゃん:田中さんはフリースクール以外の活動もされているんですよね。
田中さん:急にフリースクールをつくろうってなったわけではなくて、最初はいくつかのコミュニティをつくるところから始まりました。まず、長女と次女の育児中に、育児サークルを運営したのが始まり。
その後、母親だって、もっと学びたい、知りたいと思って、母親が子連れで学べる親子コミュニティ「バンビの木箱」を10年間運営しました。それらの活動を通して学童保育所の必要性を感じ、2017年4月に「学童保育どんぐりひろば」を開所。そして、2019年5月に「フリースクール山ねこ」を開校しました。
木のぬくもりを感じる山ねこの教室内
のんちゃん:どれもニーズに応えての行動だったのですね。
田中さん:活動を続ける中で、「必要なのに、世の中にないもの」に気付くことが多く、それなら自分たちでつくろうと考えてきたんです。これまで、子どもの成長と自分自身のニーズに合わせて、必要な居場所やコミュニティを創造し続けてきました。
こうして生まれてきたさまざまなコミュニティには続きの構想もあって、フリースクールを卒業した後の働く場所や、高齢になった時の介護などにもつながっていくのではないかと感じています。これからは、多世代が支え合う「循環」や、多世代が交流できるコミュニティについても考えていければと思っています。
インタビューの最後に、田中さんが「子どもは宝ですよ」と力強くお話されていました。そして、子どもたちの成長や、将来についてお話されているキラキラした表情が印象的でした。田中さんの瞳に映る未来は、なんだかとっても楽しそうです。ゆとりを失った現代社会を豊かにする鍵が、ここにはあるような気がしました。
次回は…
田中さんからご紹介いただいた、筑紫野市にあるフリースクール「遊び学び舎みつばちアジト」を訪ねます。「あそびながら学びを深め、自分自身を信頼して、自分の道を切り拓いていく!そんな頼もしい子どもたちの学びの場として存在していて、山ねこと通じるものがある」と田中さん。次回もお楽しみに!
団体紹介
施設情報
一般社団法人どんぐりと山ねこ舎
フリースクール山ねこ
〒811-2403 福岡県糟屋郡篠栗町萩尾490
電話番号: 092-692-6612
●公式ホームページ
https://donguritoyamanekosya.com/
のんちゃんプロフィール
profile
のんちゃん こと 芳野仁子(よしののりこ)さん
嘉麻市生まれ。「一般社団法人 家庭教育研究機構」代表理事。小中学生対象のフリースクール「みんなのおうち」を運営する傍ら、福岡県内各地のフリースクールを訪ね、支援する活動にとりくむ。
一般社団法人 家庭教育研究機構ホームページ
https://r.goope.jp/minnnanoouchi/
