【福岡市西区】子どもたちの遊びと学びのスペース「生の松原 子どもスコーレ」
特集(第1話・第2話)で紹介した「生の松原子どもスコーレ」は、海辺に佇む子どものための家。福岡市西区にある古民家を改装した一軒家は、まさにアーティスティックでカラフルな“子どもの国”のような空間です。家庭でも学校でもない、子どもたちのためのもうひとつの居場所。そんな“子どもスコーレ”には、大人もワクワクするような素敵な空間が広がっていました。
おもちゃ箱のような楽しいスペース
色とりどりの画材や図画工作のための材料、ユニークな遊び道具、たくさんの絵本…部屋そのものがおもちゃ箱のようににぎやかな「子どもスコーレ」の室内。子どもたちやスタッフが手掛けたたくさんの作品があちこちに飾られたメインルームは、そこにいるだけでも楽しくなるような、明るくて温かい空気に包まれています。
絵本や児童書を集めた読書ブースも
メインルームの一部は、絵本のイベントや出版などを手掛ける山下さんらスタッフが選んだ絵本や児童書などの読書ブース。子ども用のかわいらしいテーブルや椅子が配置され、好きな本を自由に手に取ることができます。
奥の小部屋には、おもちゃやモノづくりの道具がぎっしり詰まった引き出しがいくつも。子どもたちはここで、自分の好きなように道具を使って遊びます。
2階の和室にも“宝の山”が
子どもに意外と人気なのが、この2階の和室。決して広くはないスペースにスタンバイされている割り箸や輪ゴム、飲み物のカップ、はぎれ…子どもたちにとってこれらはきっと、想像力を目いっぱい膨らませることができる宝の山ということなのでしょう。ワークショップで何かを作るときには、2階に上がって自分の世界に浸り、1人で黙々と作業する子もいるそうです。
子どもが思いっきり楽しめるワークショップ
大いに盛り上がった「海の家」ならぬ「森の家」づくり。
「子どもスコーレ」を主宰する山下麻里さんは毎月2回、土曜日の午後にここでワークショップを開催しています。
山下さん:
「ワークショップでは『遊びと学び』をテーマに、スタッフが考えたいろいろなプログラムを行っています。
例えば、以前すごく盛り上がったのは『海の家づくり』。ダンボールや工作の道具を持って、みんなで『海の家をつくろう!』とスコーレから出かけました。ところが目の前の砂浜に出てみるとかなりの強風。急きょ松林の中に移動して制作したので、結局は『森の家』になってしまいましたけれど(笑)。でも、作った小屋は子どもたちにとっては秘密基地みたいな感覚だったのでしょう。キャーキャー騒いだり中でおやつを食べたりと、かなりテンションが上がってました。帰りは松林の道を小屋が歩いて移動するという、なかなか面白い光景でした」
この日のワークショップは「へんてこ漢字を作ろう」
ちなみに、取材に伺ったこの日のスコーレでは、「へんてこ漢字辞典を作ろう」というワークショップが開かれていました。
紙に自分の書いた名前の漢字を、部首や偏(へん)などに解体してバラバラにハサミで切り、それらを組み合わせてオリジナルの漢字を作るというもの。例えば、「宀」の下に「虫」と書けば、“家の中にいる虫”ということで「ゴキブリ」。「大」の下に「口」を書けば「あくび」。こんなふうに、子どもたちが独自の発想で楽しむことこそ、スコーレのワークショップの醍醐味です。
「子どもたちはスコーレの日が待ち遠しいようです」
2人の子どもを連れて子どもスコーレに参加していた田代香里(たしろかおり)さんにお話をお聞きしました。
田代さん:
「5年前から姉妹で参加していますが、毎回、この日がとても待ち遠しいようです。誰からもダメと言われることはないし、間違いを指摘されることもありません。私自身もとても楽しませてもらっていますし、勉強になることも多々あります。子どもスコーレのおかげで、子どもたちはどんなことも自分で積極的に考える力が身についたようです」
子どもたちにたくさんのワクワクを感じてほしい
山下さん:
「絵を描くにしろ工作をするにしろ、ものづくりというのはとてもワクワクする行為です。子どもの頃、1枚の画用紙を前に、色鉛筆を手に『さぁ何を描こうか』と心を躍らせた経験はきっと誰にでもあるでしょう。
子どもスコーレでは、『こんなふうに描こうかな』『あんなふうに作ってみようかな』というものづくりのワクワク感や高揚感を、子どもたちにできるだけたくさん感じてほしい。それがきっと、彼らの大きな心の成長につながると思うのです」
「生の松原子どもスコーレ」は夢や冒険がいっぱいの、無限の魅力にあふれた場所。これからもたくさんのワクワクを用意して、子どもたちを待っています。
施設情報
「生の松原 子どもスコーレ」
福岡市西区生の松原1-20-20
<開館>
●自由に利用できる開放日/月2回
入場料300円で自由に工作などが楽しめます。
●ワークショップ/月2回 14:00〜16:00
ワークショップ参加費は子ども1人につき1回1,500円(要予約)
※ワークショップをきょうだいや親子で参加する場合は1人につきプラス500円。
★毎月のスケジュールはFacebookで確認してください。https://www.facebook.com/ninanino.workshop