子どもの睡眠について考えよう②
食事や運動と同じように睡眠はとても大切なこと。睡眠不足が続くことで不登校につながるケースも少なくありません。では、生活習慣を整えるためにはどうしたらよいのでしょうか。筑紫女学園大学准教授の大西 良(おおにし りょう)先生にお話を聞きました。
「睡眠日誌」で睡眠パターンを見える化しよう
スマートフォンやポータブルゲーム機の普及とともに、睡眠不足の子どもが急速に増えています。ある中学校でアンケートを行ったところ、約8割の生徒が「寝る前にゲームやSNSをする」と答えました。さらに、2人に1人が「標準より睡眠時間が足りていない」と回答。「睡眠時間が足りている」と答えた生徒と比べて、イライラや無気力感、不安感などが2倍以上になるという結果が出ました。
このようなスマートフォンやゲームへの依存による睡眠不足を原因とする不登校の子どもが、年々増えています。寝る前にスマートフォンを扱うと、画面から発せられるブルーライトが脳内ホルモンに影響を与え、体内時計が乱れがちに。その結果、朝、起きられずに遅刻が増え、不登校につながるケースも少なくありません。
そこで私が推奨しているのが、「睡眠日誌」を付けて自分の睡眠パターンを知り、生活習慣を改善することです。特に小学生のお子さんがいる方は、ぜひ一緒に付けてみてください。
「睡眠日誌」を付けてみよう
1. 就寝時刻と起床時刻の間を塗りつぶす
2. 1週間続けて記入する
1週間続けることで、自分の睡眠パターンが見えてきます。
★「睡眠日誌」は下記からからダウンロードできます!
「睡眠日誌」から見えてくるさまざまな睡眠パターン
1. 夜更かしパターン
SNSやゲームで夜更かししていませんか? 夜更かしは睡眠不足の大敵。「寝る2時間前」までにはやめましょう!
2. 不規則睡眠パターン
睡眠時間のばらつきは体内時計を乱します。「決まった時間に寝る」など、規則正しい生活を送るようにしましょう。
3. 休日寝だめパターン
休日の起きる時間が平日より1時間半以上遅いと、夜、眠りにくくなります。休日も、できるだけ平日と同じ時間に起きるようにしましょう。
4. 短時間睡眠パターン
短時間睡眠が続くと、体調不良やイライラ・無気力感の原因に。体調の維持に必要な睡眠時間を確保するように心掛けましょう。
profile
大西 良(おおにし りょう)先生
筑紫女学園大学 人間科学部 人間科学科 心理・社会福祉専攻 准教授
筑紫女学園大学 大学院 人間科学研究科 准教授
大学に勤めるかたわら、福岡県筑豊地区の小・中学校でスクールカウンセラー(非常勤)として勤務。子ども食堂や学習支援、ママカフェを大学生と共に実践しており、地域における子どもと若年ママの居場所づくりを行っている。
また、生活の質の向上や不登校の予防支援として、睡眠の正しい知識と習慣を身につけるための教育「子どもの睡眠教育(みんいく)」にも取り組んでいる。