子どもの睡眠について考えよう①

子どもの睡眠について考えよう①

みなさんは日ごろどのくらい睡眠をとっていますか? 特に子どもは成長・発達の途上にあり、食事や運動と同じように睡眠はとても大事なものです。今回は筑紫女学園大学准教授の大西 良(おおにし りょう)先生に、睡眠の持つ力と、その役割についてお話を聞きました。

睡眠不調がもたらす心身への影響


成長・発達の途上にある子どもにとって睡眠不足になるとどんな影響があるのでしょうか? イライラする、疲れやすい、キレやすい、集中できないなど、睡眠が足りていない場合のストレス反応は、睡眠が十分足りている場合の2倍以上とも言われています。

また、睡眠は記憶や認知機能にも影響するとされていて、学力にも関係すると言われています。学力を高めるには勉強時間や方法に目を向けるだけでなく、適切な睡眠時間、睡眠リズムと合わせて考えることが大切です。

子どもにとって理想的な睡眠時間とは?

では、子どもにとって適切な睡眠時間はどれくらいでしょう。個人差が大きいため一概には言えませんが、理想的な睡眠時間として下図のようなデータがあります。福岡県のある市町村で睡眠時間を調査(2021年6月実施)したところ、小学生で一日平均9時間10分、中学生は7時間28分と、理想よりも下回っていることがわかりました。

アメリカ国立睡眠財団(National Sleep Foundation)2015年をもとに作成

生活のリズムを整えて質のいい睡眠を!

お子さんの健やかな成長を支えるためには、質の良い睡眠をとることが大切です。そのためには、まず生活のリズムを整えること。週末に夜ふかししたり、寝だめしたりするのではなく、平日も土日も同じリズムで就寝・起床することで、生活のリズムを整えることができます。
下記のポイントを参考に、親子で一緒に生活のリズムを整えることから始めてみませんか。

【朝】
・平日も休日も同じ時間に起きる
平日と休日の睡眠時間帯が2時間以上ずれると、体調が乱れがちになります。
・朝日を浴びて体内時計をリセットする
朝日を浴びることで体内時計がリセットされ、15時間後に眠くなるリズムが生まれます。
・決まった時間に朝食を取る
決まった時間に朝食を取ることで、1日を過ごすリズムが生まれます。


【昼】
・日中はしっかり体を動かす
適度な疲労が夜の睡眠を促します。
・昼寝をするなら15時前に
15時以降の仮眠は本睡眠を妨げる可能性が高くなることも。昼寝をするなら「15時より前に15~20分程度」が望ましいでしょう。


【夜】
・19時~7時の間に8時間以上の睡眠をとる
成長ホルモンは、就寝から90分の間に最も分泌されます。この時間帯はぐっすりと寝かせるようにしましょう。
・小さなお子さんがいる家庭では、寝る1~2時間前に部屋の照明を落とす
部屋を暗くすることで眠くなるスイッチが入ります。間接照明や調光機能付きの照明を活用しましょう。

profile

大西 良(おおにし りょう)先生

大西 良(おおにし りょう)先生

筑紫女学園大学 人間科学部 人間科学科 心理・社会福祉専攻 准教授
筑紫女学園大学 大学院 人間科学研究科 准教授

大学に勤めるかたわら、福岡県筑豊地区の小・中学校でスクールカウンセラー(非常勤)として勤務。子ども食堂や学習支援、ママカフェを大学生と共に実践しており、地域における子どもと若年ママの居場所づくりを行っている。
また、生活の質の向上や不登校の予防支援として、睡眠の正しい知識と習慣を身につけるための教育「子どもの睡眠教育(みんいく)」にも取り組んでいる。