トコさんの、「子育ては、ほったらかしでいこう!」 第2話
コラムニストとして、またタレントとしても活躍中のトコさんが、2人の息子を育てる際に実践していた“ほったらかし育児”。トコさんならではの、そのユニークな子育ては書籍にもなり、ご自身の講演会でも好評を博しています。
第1話では、トコさんがどんなふうにほったらかし育児に目覚め、実践してきたかについてお話をお聞きしました。第2話では、離婚を経て、2人の息子を立派に育て上げた今だからこそ言える、トコさん流の「子育ての極意」についてご紹介します。
「しょせん自分の子」と、明るく諦める
トコさん:
「よく『子どもが言うことを聞かない』『成績が伸びない』などの相談を受けることがあります。もちろん私も、子育て中はそういうことで悩んだ時期もありましたよ。でも今、そんな悩みを持つお母さんには『しょせん自分の子どもなんだから(笑)。そんなにいい子であるわけがないと開き直りなさい』ってアドバイスするんです。だってそう思いませんか? あなたが子どもの頃って、あなたが子どもに叱るほど、あなたは親の言うことをちゃんと聞いてお利口さんにしていましたか?(笑)」
「できない」こともひとつの個性
トコさん:
「多くの親は『子どもの個性を大切にしたい』と思いながらも、一方で他の子と自分の子が同じでないことにどうしても不安を覚えてしまうんですよね。
『うちの子は他の子のように運動ができない』とか『絵が上手に描けない』とか、常に周りの子どもとわが子を比べて一喜一憂してしまう。でも、運動ができないのも絵が描けないのも、その子の個性なんだから。それを不安に思う必要はまったくありませんよ。
だからこそ、その子の個性を認めてそれを大切にしたいと思うなら、『他の子にひけをとらないように』と苦手なことを克服させようとするより、その子の得意なこと、好きなことを一生懸命やらせることがゼッタイに大事です!」
子どもは親がいないところで成長する
トコさん:
「子どもが学校から帰る時間には、必ず家にいなければと考えている親がいますよね。でも、本当にそうかな?
小学校低学年ならいざ知らず、ある程度の年齢になった子どもが、学校から帰ってきた時に家に親がいないことがそんなに寂しいと思うでしょうか? むしろ親の目の届かないところで、のびのび楽しんでいたりするんじゃないでしょうか。
自分が子どもの頃のことを思い出してみても、親の目が届かないところで友達と遊んだり、ちょっと冒険してみたりと、親がいないからこそワクワクした経験が少なからずあるはず。幼い頃のそういう体験こそ、子どもの心をすごく成長させてくれるものなんです」
子どもが親を必要としないように育てる
トコさん:
「子どもの数が少ないだけに、子どもに過剰に手をかけてしまいがちな最近の子育ては、『子どもを成長させている』のではなく、『大きな子どもをつくっている』状況に陥っている気がしてなりません。
子育てって、子どもを“大人”に育てていく作業。よく『うちの子は手がかかってばかりで』と、半ばうれしそうに言う親もいますが、それは子どもが成長していなかったり、親が子離れできていなかったりの証拠ではないかと思います。
親の役目って、子どもが親を必要としなくなるようにわが子を育てることなんです」
「子ども第一」ではなく「自分第一」で
トコさん:
「子どもが自分で、ある程度身の回りのことができるようになったら、それ以降の子育てに、子どもを最優先する必要はナシ!あくまで自分第一主義で、子どもはその次でいい。ほったらかし育児をしている間、私もずっとそうでした。子どもが行きたいところではなく、自分が行きたいところに子どもを連れて行ったし、自分が見たいものを子どもに見せていましたね。
私は演劇が好きで、よく次男を連れて行っていたんですが、彼にとっては難しい大人の演劇も、幼いながらにとても楽しそうに観ていました。今、劇団を主宰している彼の原点には、その頃の体験もあったのかもしれません。
子どものためにと苦労してあれこれやっても、そんなのは単なる親の愛情の押し売りだし、子どもはそんなこと覚えちゃいませんから(笑)。
でも、これは間違いなく言えることですが、子どもにとって一番幸せなのは、親がいつも笑顔で、ハッピーにしていること。それに、お母さんが幸せだと、子どもにもやさしく接することができますよね」
子どもが成人した後の人生の方が長い
お子さんたちが大人になった今も、とても仲が良いご家族。
一緒に旅行も楽しむのだそうです。
トコさん:
「私たちには、子どもが成人するまでの母親としての人生と、子どもが巣立った後の一人の人間としての人生があります。これが、私がよく言う“人生二毛作”(笑)。
女性の平均寿命が80歳を大きく超えた今、子どもが成人した後の私たちの人生は、子育ての期間と同じくらいか、もしくはそれ以上に長いかもしれません。
だったら、子どもが巣立った後の人生をどう楽しむかを子育て中からちゃんと考えておくべきじゃないかな。
趣味でも勉強でも遊びでもいい。それまでできなかったことをとことん楽しめる人生設計を今のうちにぜひ、考えておいてほしいと思います。子どもが巣立った途端に心が空っぽになってしまう、そんな人生じゃつまらないじゃないですか!ねっ(笑)。
それに、親子の付き合いだって、子どもが20歳を過ぎてからの方がきっと長い。それなら、幼い頃から親に押さえつけられて育った子どもとの関係より、自分が望むことを親が応援する中で、自ら切り拓いた将来をイキイキ歩んでいる子どもとの方が、きっと素晴らしい親子関係が築けるに違いありません」
子育てはポジティブに、まずは自分が楽しみながら。トコさんのそんなお話に、いっぱい元気をもらった今回のインタビュー。みなさんに、トコさんのパワーが少しでも伝わればうれしいです!
profile
トコさん
コラムニスト、タレント。福岡県出身。結婚後16年の専業主婦を経てコラムニストに。現在はコメンテーターとして「アサデス。」(九州朝日放送)、「めんたいワイド」(福岡放送)などにレギュラー出演中。著書に『ぶっちゃけ風水デイズ』(梓書院)、『トコ流ほったらかし育児術』(メイツ出版)など多数。近著に『おひとりサマンサ ふわーっと楽しく生きてます』(西日本新聞社)。
ブログ:トコログ
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