楽しい発見がいっぱい!夏休みの外遊び 第1話

楽しい発見がいっぱい!夏休みの外遊び 第1話

いよいよ夏休み! 子どもたちにとっては、勉強はもちろんですが、自然とのふれあいなど、いろいろな経験ができる貴重な時間です。そこで今回は、「筑豊の自然を楽しむ会」の岸本×太(きしもとばった)さんとパートナーの成本麻衣子(なるもとまいこ)さんに、自然と思いっきり触れ合う、外遊びのおもしろさや楽しみ方のポイントを2回にわたって伺いました。

五感を使ってカラダで楽しむ


植物や虫など、いろいろな自然と触れ合う外遊びには、近所の野山など整地されていないところがおすすめだ、と岸本さんは話します。

岸本さん:
「緑が多い公園などでもいいんですが、整地されていない場所はより自然に近い環境なので、それだけ目や耳などから入ってくる情報がいっぱいあるし、子どもたちも楽しいはずです。特に小学生くらいまでの子どもにとっては、そのような場所で遊んだ経験から学ぶことも多く、危険を回避する術などサバイバル的な強さも身につくと思いますよ」

大切なのは、知識を身につけるより興味を持つこと


岸本さん:
「ただ歩くだけでいいんです。“あれは何、これは何”と、植物やそこにすむ虫に興味を持つことが大事です。具体的な名前はわからなくても、自然の中にはそういった発見がたくさんあるんだ、ということを親が教えてあげるといいと思いますよ。とにかく五感をいっぱいに使って楽しむのが外遊びのおもしろさ。そんな経験は大人になってからも、ずっと覚えているものですから」

舗装されていない道を歩くことの楽しさを実感しよう


さらに岸本さんは、山道やあぜ道など、舗装されていない道を歩いてみることが大切だとも。

岸本さん:
「整地されていない場所には、舗装されていない、歩きにくいところが多くあります。そういう場所では、足の裏やカラダ全体のバランスを上手に使わないとうまく歩くことができません。でも、その方が体力もつくし、だんぜん楽しい。もちろん子どもたちにとっても、自然に得る情報が増えるので、飽きがこないと思います。注意力も研ぎ澄まされ、情操にもとてもいい影響を受けるはずです。そばに崖や川などがある場合は、親御さんが注意して見守る必要はありますが、そうでない場合、子どもたちに過度に手を貸さなくてもいいでしょう。少しの傷や痛みの経験は外遊びの勲章です」

ケガに注意して、いくつかの道具も忘れずに


外遊びを楽しむ際の注意点や準備しておきたい道具についてお聞きしました。

成本さん:
「植物の中にはハゼノキなど触るとかぶれてしまうものがあります。どこにでも生えているススキも、触り方によっては手が切れたりして皮膚が傷ついてしまうので注意しましょう。そのようなケガを防ぐためにも、なるべく軍手を着用した方がいいですね。また、マダニなどにかまれることもありますから、虫除けはもちろん、長ズボンや長袖の衣類、靴下も長めのものがおすすめです」

岸本さん:
「準備しておくといい道具は、虫とり網、とった植物や虫などを入れるポリ袋、はさみ、ピンセット、記録用のノートとペンなど。雨具や飲料水も忘れずに準備しておきましょう。ちなみに、私は歩く際に邪魔になったり、手足を傷つける恐れのある草を刈ったりするために、ナタやノコギリなども欠かさず持っていますが、これらは危険ですから、歩いている間は子どもには絶対持たせないように。必要な場合は親御さんがしっかり管理してください」

行動する際は子どもがやりたいことを優先して


慣れない野山での遊びは、親としては何かと心配かもしれませんが、基本的に子どもがやりたいことをやらせるのが一番。岸本さんも成本さんもそう言います。

成本さん:
「子どもたちは遊びを見つけるのが上手。だから、親が『これをしてはダメ』と言ったり、無理やり観察をさせたりするのはやめておきましょう。楽しい思い出が一つでも二つでもできた方が、子どもたちのためにもなりますよ。『ただしんどいだけだった』ということにならないように、親が気持ちを盛り上げてあげるようにしてください。

夏休みには、地域の子ども会や自治体などでも自然観察会を開催することも多く、そのような催しなら植物や虫の名前などもきちんと教えてくれますから、積極的に参加するのもいいと思います」

いかがでしたか。外遊びはいろいろな刺激を、子どもたちに与えてくれるようですね。次回は外遊びの具体的な楽しみ方について岸本さんと成本さんから教えていただきます。

profile


岸本×太(きしもとばった)さん(写真左)
本名・岸本博和(きしもとひろかず)。自然観察会「蟲愛會(むしめづるかい)」主宰、「筑豊の自然を楽しむ会(ちくぜんらく)」代表。大阪府出身、京都大学農学部卒業。20数年前に福岡に移住後、予備校や塾で教鞭をとりながら、愛してやまない自然の世界を子どもたちに広めるべくさまざまな活動を開始。自然観察会とワークショップを行う自然体験プログラムを実施、里山再生なども手がけている。著書に『高校生物とっておき勉強法(ブルーバックス)』(講談社)がある。飯塚市在住。

成本麻衣子(なるもとまいこ)さん(写真右)
「蟲愛會(むしめづるかい)」主宰、「筑豊の自然を楽しむ会」事務局兼企画担当。大阪府出身、大阪大学外国語学部卒業。認定ワークショップデザイナー。岸本さんと共に福岡に移住後、保育園に務め、子どもたちにむしや自然とのふれあいの楽しさを伝える活動を行う。現在、飯塚市の自然体験プログラムの運営、企画に携わり、自然体験を中心としたワークショップの開発を行う。