「食育」ってどうしたらいい? 第2話:出汁で育てる味覚

「食育」ってどうしたらいい? 第2話:出汁で育てる味覚

「食」についての知識は、ぜひ子どもに教えておきたいことの一つです。食育指導士で料理教室なども開催している福岡市の北川(きたがわ)みどりさんに、「食育」についてお話を伺うこのシリーズ。第1話では、食育の基本について伺いました。第2話となる今回は、出汁を使った食育のお話をご紹介します。

出汁が味覚を育てます


北川さん:
「魚や昆布などからとれる出汁に多く含まれる『旨味』は、塩気や甘みと違ってわかりやすい味覚ではありません。出汁はいわば味の『引き立て役』です。地味な存在かもしれませんが、みそ汁をはじめ、出汁をとらないとおいしく仕上がらない料理はたくさんありますよね。実は、この出汁が子どもたちの味覚を育てるためにとても役に立ってくれます。

出汁は、食材が持つ本来の味を引き立ててくれるので、子どもたちは食材自体の味やおいしさを知ることができます。そのため、『旬の野菜は味がしっかりしている』といった食材の良し悪しがわかる力も育ちます。この力は将来、自分の健康を考えて、きちんとした食べ物を選べるようになるためにとても重要です。
まずは親子で出汁を体感しましょう。今回は、子どもと一緒に楽しみながら出汁をとる方法を2つ紹介します。時間に余裕があるときに、ぜひ試してみてくださいね」

食べ比べをしてみましょう!


北川さん:
「出汁の力を感じてもらうために、出汁が入ったみそ汁と入っていないみそ汁を食べ比べてみましょう。用意するものは上記の<みそ汁A>と<みそ汁B>。
子どもたちはきっと〈みそ汁A〉に物足りなさを感じて、出汁の旨味に気付くと思いますよ」

一晩置くだけの簡単出汁


北川さん:
「『出汁をとるのは面倒だ』という方も多いと思いますが、簡単にとる方法があります。例えば、麦茶などを作るポットに水と煮干しを入れて、冷蔵庫で一晩置いておくだけ。それだけで煮干しの出汁がとれます。煮干しだけでなく、昆布や椎茸でも同様です。
親子で『明日これでおみそ汁を作ろうね』と一緒に準備すれば、子どもも好奇心を持って、出汁をとる体験ができると思います」

どちらも自宅で簡単にできそうな方法ですね。食育の一環として、ぜひ出汁についてお子さんと話をしてみてください。

第1話もぜひご覧ください。

profile

北川(きがたわ)みどりさん

北川(きがたわ)みどりさん

食育指導士、みそソムリエ、調理師、食生活管理士。子ども料理教室「Happa(はっぱ)」を主宰。食育指導士として県内の小学校から大学まで、幅広い層に向けた料理教室を開講。大学生の息子を持つ。
・Cooking Room Happa
 https://happaroom.jimdo.com