正しいケアで、乳幼児の虫歯を防ごう! 第1話:虫歯を防ぐために、ぜひ知っておきたいこと

正しいケアで、乳幼児の虫歯を防ごう! 第1話:虫歯を防ぐために、ぜひ知っておきたいこと

6月4日から「歯と口の健康週間」が始まります。もちろん、この日に限らず、親にとって子どもの歯のケアについては気がかりなことも多いのではないでしょうか?

そこで、福岡市内で小児歯科「ふたつき子ども歯科」の院長を務める歯科医師・二木昌人(ふたつきまさと)先生に、虫歯になりやすい乳幼児の歯にスポットをあて、親が知っておきたいことをお聞きしました。2話にわたって紹介します。

虫歯の治療より、今は予防での来院が多い


まず、親が乳幼児の歯について気をつけておきたい基本的なことを教えてください。

二木先生:
「乳幼児に限っていえば、ここ数年は虫歯の治療よりも虫歯予防について相談にいらっしゃる方がかなり多いですね。もちろん、歯並びや噛み合わせの相談もありますが、当院の場合、5人中3人は虫歯予防を希望して来院されます。中でも、歯が生えはじめた時期に、いつ頃から歯磨きを含めた予防をしたほうがいいのかといった親御さんからの質問が目立つところです」

予防のポイントは歯磨き、食べ物、フッ素


虫歯予防のポイントには、どのようなことが挙げられるのでしょうか?

二木先生:
「ポイントは3つあります。まず、家庭では歯磨きをしっかり行うこと。歯ブラシだけでは歯間の汚れが落とせないので、乳幼児にもデンタルフロス(糸ようじ)は必要ですね。

2つめは食べ物、甘いお菓子はほどほどにしましょうということです。虫歯菌の感染期間は、乳幼児の中でも、1歳後半から2歳前半くらいの約1年間の時期。これくらいの年齢の時に甘いものをたくさん食べさせてしまうと、歯がまだしっかり成長していないので、お菓子に含まれる糖分で歯が溶けてしまう可能性が高くなってしまいます。そして3つめはフッ素です」

フッ素は強力な虫歯予防の助っ人


やはりフッ素による予防は有効なんですね。

二木先生:
「日本ではフッ素の使用が欧米ほど浸透していないのが残念です。先進国では、もはやフッ素の使用は虫歯予防の大きな柱。例えばニューヨークでは、水道水に微量のフッ素(1ppm)を入れるフロリデーション(水道水の中にフッ素の化合物を添加する虫歯予防の方法)によって、乳幼児を含む子どもの虫歯の発生がかなり抑えられています。歯学関係の統計でも、フッ素入り歯磨きが普及すると、虫歯の予防率がかなり上がることが証明されているんです。

ちなみに、日本にフッ素が今ほど取り入れられていなかった“昭和”の頃は、3歳児の80%が虫歯になっていました。でも、現在では日本でもそれなりにフッ素が広がったおかげで、最近では同年齢で虫歯になる確率は15%程度※。この数字を見ても、フッ素による予防が、いかに効果的かがわかると思います。もちろんフッ素の普及が乳幼児の虫歯が減った原因の全てではありませんが、一番大きい要因だと考えられます」
※データは厚労省のものです。

歯磨きは必ず前歯を中心に


乳幼児の歯磨きで気をつける点はありますか?

二木先生:
「乳幼児の中でも、1〜2歳のお子さんの虫歯はほとんどが前歯です。奥歯はまだ生えそろっていませんので、この年代の場合、歯磨きは前歯を中心に。時間的にも短くて済むので、子どもさんの負担も少なくて効率的です。

あと、私が必ずおすすめするのが子ども用のフロス。ていねいにフロスを使って歯間もきちんと磨いておくことですね。

歯磨き粉の代わりに市販されているフッ素ジェルを使う方法もあります。1〜2歳のお子さんは自分で口をすすぐことが上手にできないので、かえってフッ素が口の中に残りやすく、その点も好都合だとも言えますね」

歯だけでなく、歯と歯の間のケアも忘れずに


では、奥歯の虫歯はいつ頃から発生するようになりますか?

二木先生:
「奥歯が生え始めるのは1歳半頃からで、乳歯が全部そろうのは3歳くらいまで。それ以降の時期は、奥歯の虫歯に気を付けた方がいいですね。あまりナーバスになりすぎる必要はありませんが、先ほどもお話ししたように、歯磨きに加えて、食べ物も甘いものはほどほどにしましょうということは保護者の方にも言っています。

予防で気を付けてほしいのはやはり、奥歯と奥歯の間ですね。最近は虫歯になる乳幼児は減ってはいますが、その中でも、やはり歯間部分の虫歯は目立つようです。

歯ブラシだけでは汚れがとれない箇所ですから、歯と歯の間はフロスでのケアが大切です」

歯科医では、奥歯の溝を埋めるシーラントによる虫歯予防も


冒頭で、最近は虫歯の治療よりも虫歯予防で来られる方が多いと聞きましたが、歯医者さんではどのような虫歯予防をしているのでしょうか?

二木先生:
「最近の乳幼児の虫歯予防には、“シーラント”という方法がよく用いられるようになりました。虫歯になりやすい永久歯の奥歯の溝に、プラスチックを埋めて溝をふさぐ方法です。保険も適用されますし、フッ素が配合されたものもあり、当院でも塗布するお子さんが増えています。

シーラントによって約80%もの虫歯が防げるというデータもあるほど有効な方法ですが、地域差もありますし、歯科医院によっては受け付けていないところもありますので、事前に確認が必要です」

次回は上手なブラッシングの方法や、良い歯科医の見分け方などを教えていただきます。

profile

二木昌人(ふたつき・まさと)さん

二木昌人(ふたつき・まさと)さん

ふたつき子ども歯科院長・歯学博士。九州大学病院小児歯科講師、ニューヨーク大学小児歯科客員講師、福岡県立糟屋新光園(肢体不自由児施設)非常勤歯科医師などを経て、ふたつき子ども歯科を開院。テレビ西日本の子育て情報番組「はぐはぐ」に出演中。

・ふたつき子ども歯科
 http://www3.coara.or.jp/~futam/