そっと支えてくれる、50年以上愛されている『育児の百科』
1967年以来、著者であり小児科医の松田道雄さんが、絶えず国内外の最新の医学書に目を通して改訂を続けたのが、『育児の百科』です。通算発行部数160万部を誇る、育児書のバイブルとも言える1冊。
著者の死後20年以上が過ぎて今もなお愛されている理由。それは、著者が「育児は大変な仕事だから子どもを持つ女性の負担を少しでも減らしたい」という気持ちで、開業医としての現場の経験や、お母さんたちの声をもとに書いているということ。
そして、読者から“わからない”と言われた部分はわかりやすく訂正するなど、30年以上にわたった、読者とのやり取りが反映された、まさに“お母さんたちとの共同作品”だからではないでしょうか。
今や日本だけでなく、中国、タイ、韓国語にも訳されている同書。時代は変わってもお母さんたちの育児の支えとなり、色あせない思いが受け継がれています。
一見、堅苦しそうに感じるかもしれませんが、妊娠前から5カ月までの上巻、5カ月から1歳6カ月までの中巻、1歳6カ月から6歳までの下巻のそれぞれに、その時期の子どもの特徴や育て方、環境などが丁寧にわかりやすく書かれています。
上巻では、乳児体操がイラスト付きで紹介されていたり、中巻では、10~11カ月頃の赤ちゃんの食事の例を、ごはんを食べる子、おかゆが好きな子、母乳がよく出る母を持つ子と、ケースごとに紹介。下巻では、6歳までの年齢別の夜の寝かし付けなどのほか、「学校へ行く子ども」の章では塾や受験、親の心構えなども書かれています。
「一度に全部よむにおよばない。1カ月になったら1カ月のところを、1歳になったら1歳のところをよめばよい」「母親に異常にみえることも、子どもの個性のあらわれであることがおおい」など、数多くの子どもを見てきた著者ならではのアドバイスに、読者から「気負わなくていい、安心感があります」「子育てはそんなもの、大丈夫だよという気持ちになれる」という声も。
「片方ばかりむいてねる」(上巻収録)や「まんじゅうはいつからやれるか」(中巻収録)など、本の後ろには逆引きできるように見出しが書かれているので、そこからお子さんの気になることを検索できるのも便利です。
核家族になって頼る人が身近にいない人も増えてきている今、子育てで困ったときや立ち止まったときに、町医者の経験豊富な先生がそっと教えてくれるような、頼りになる1冊です。何代にもわたって愛読されるのもうなずけます。
上・中・下1巻ごとの購入もできますが、説明が数巻にまたがっている場合もあるので、セットで手元に持つことをおすすめします。子育て中のママはもちろん、妊娠している方への贈り物にいかがですか。
今回ご紹介した本
定本 育児の百科 全3冊セット(文庫版)
※上、中、下の1冊のみ購入可能
著者:松田道雄
出版社:岩波書店
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