vol.2 食べ物の好き嫌いって、あるよね

vol.2 食べ物の好き嫌いって、あるよね

からすちゃんとmaruikoの「むかし子どもだったあなたへ」


フリースクール「みんなのおうち」代表のからすちゃんと、一児のママmaruikoによる連載コラム「むかし子どもだったあなたへ」。大人になるにつれ、どこかに置き忘れてきてしまった子どもの頃の気持ちを、もう一度思い出してみませんか? 日ごろ子どもたちとふれあう中で感じている、ちょっとした子育てのヒントをお届けします。

スクールに来る子の半数くらい(いや、それ以上かな?)は、食べ物の好き嫌いがかなりあります。子どもたちって物言いがストレートなので、手厳しい言葉を浴びせてきます。「これ嫌い」「おいしくない」「いらない」なんて言われると、作った方としては、とても悲しくなりますよね。大人だって人間だもん。当然です。そして、子どもが食べられるものだけ作っていると、メニューが少なくなってくる。そういうママの声を、よく耳にします。

食卓は、おうちによって違うものですよね。「食べ物の好き嫌いは、人の好き嫌いも生む」と言われて育った私。ところが、夫の母は「嫌いなものは食べなくていいのよ。好きなものを食べなさぁい」という大らかな食卓。どちらが正しいかはわかりませんが、とにかく夫の実家での食事は楽しくて、食べることが大好きになりました。
ですから、スクールで食事の時に大切にしているのは、「みんなで楽しく食べること」。「食べ物を粗末にするのは良くないけれど、食べたくなかったら量を減らして、それでも食べられない時は、残していいんだよ」ってことにしています。

例えば、何か嫌いな食べ物が出てきたとします。そのときに、「これまずい。」って言ったら、それをおいしいと思って食べている人は楽しい気持ちではなくなるし、作った人も悲しくなります。これがわかるようになると「これまずい。」とは言葉にしないで、「ちょっと無理かなぁ」と言って、そっと残すようになってきます。
もうひとつ大切にしているのは、食べたことのないものに一度はチャレンジしてみること。同じ素材でも、調理方法を変えた時には子どもに声を掛けます。例えば、生野菜が苦手な子に「『キャベツの塩もみ』にしてみたけど、どうかな?」というふうに。そうやって、「おいしい」と思えるメニューを増やしていきます。食べられないものを見つけるのではなく、食べられるものを見つけて増やしていく。食べることが「できない」ではなく、食べることが「できる」が増えれば、食事はもっと楽しくなるはずです。

 そして最後は、「いただきます」と「ごちそうさま」のご挨拶。スクールには畑があって、農作業も行っているからか、心のこもった挨拶が聞こえてきます。

食事中に交わす楽しい会話と笑顔。たまには政治の話なんかも出てくる、スクールのランチルーム。食べることは、生きること。そんな時間が楽しくなるのは、子どもたちだけでなく、“育ち”の周りにいる大人の私たちの喜びでもあるのです。

2カ月前には昼食をほとんど残していたあの子が、春菊のサラダも食べて、今日は完食。子どもたちの食べる姿が、何とも愛おしい毎日です。


profile

芳野仁子(よしののりこ)さん

嘉麻市生まれ。子どもの本とおもちゃの専門店「からすのほんや」店主。雑誌や新聞で絵本や子育てに関するコラムを執筆するほか、子育てに関する講座の講師も務める。
小学生対象のフリースクール「みんなのおうち」、考える力を楽しく養うキッズスクール「ひみつの国語塾」を運営。「一般社団法人 家庭教育研究機構」代表理事。
からすのほんやホームページ
http://karasubook.com/


maruikoさん

イラストレーター。福岡県嘉麻市出身・在住。展覧会などで作品を発表する他、さまざまな媒体のイラストやデザインを手がける。山に囲まれた小さな住宅街の小さな家で日々暮らしている。まるやまももこ名義で音楽活動も行っている。2015年に息子が生まれ現在子育て中。
ホームページ:
https://marumomo48.wixsite.com/maruiko