vol.6 ドキドキの春

vol.6 ドキドキの春

からすちゃんとmaruikoの「むかし子どもだったあなたへ」


フリースクール「みんなのおうち」の子どもたちが教えてくれる、子どもとのくらしのヒントを、スクール代表のからすちゃんと一児のママmaruikoがお届けします。

暖かなお日さまの光のもとで、黄色い菜の花のやわらかな香りが漂うころになると、思い出す緊張感と期待感。草花の芽吹きと共に、自らの中から湧き立つ何かを感じる季節。新しいはじまりの日が近づいてますよね。
入学式。昨年はコロナ禍で、これまでのような節目の行事が行えなかった学校も多かったのではないでしょうか。私も、その影響を今さらながら感じています。その理由は、運営するフリースクールへの「新一年生」の不登校のご相談が、いつになく多かったから。何気なく、当たり前に感じていた節目の行事の大切さを、強く感じています

自分を振り返ってみると、小学校入学の日。とてもドキドキしていたことを、今でもはっきりと覚えています。こんなに胸が苦しいのに、みんなが「おめでとう」と言うのはなぜだろう?と思ったりもしました。
新調した桜色のツーピースに、白いタイツとエナメルの黒い靴を履いて、赤いランドセルを背負った幼い私。


母が初めて刺繍に挑戦した上靴入れ。これを胸にギュッと抱きしめながら、学校という未知の世界に向かいました。
実はこれ、保育園の時から使っていたもの。母は、「新1年生だから新しいものを買おう」と勧めてくれたのですが、私は「これがいい」と言ったと、大人になってから聞きました。全てが新しいものの中で、使い慣れた母のぬくもりを感じるものが、幼い私に力を貸してくれたのでしょう。

また、ドキドキするのは、子どもだけじゃないですよね。今ではわが家の伝説となっている、この話。そして、私の入学式は、わが家にとって忘れられないものになりました。


保育士だった母でさえ、「奥歯が痛いよ」と言った私のつぶやきにも、片方だけ赤くふくらんだ頬にも気づかないくらいに、緊張していたのでしょう。
この際だから、「お母さんも、ドキドキするなぁ」と親子で気持ちを共有したりするのも良いのかもしれませんね。入学式の日の夜は、お祝いのお膳を囲んで、今日という日を家族で語らうのもいいですね。
このドキドキを無事に越えられたことを、その向こうにワクワクが待っていることを、共に経験し、親子で確かめ合う時間は、子どもたちに自信という積み木を重ね、明日をまた重ねようというエネルギーになるのだと思うのです。
ドキドキの春。経験から生まれる自信が、明日のワクワクの礎となるひととき。節目の行事は、子どもたちの人生の大切な1ページとなることでしょう。

profile

芳野仁子(よしののりこ)さん

嘉麻市生まれ。子どもの本とおもちゃの専門店「からすのほんや」店主。雑誌や新聞で絵本や子育てに関するコラムを執筆するほか、子育てに関する講座の講師も務める。
小学生対象のフリースクール「みんなのおうち」、考える力を楽しく養うキッズスクール「ひみつの国語塾」を運営。「一般社団法人 家庭教育研究機構」代表理事。
からすのほんやホームページ
http://karasubook.com/


maruikoさん

イラストレーター。福岡県嘉麻市出身・在住。展覧会などで作品を発表する他、さまざまな媒体のイラストやデザインを手がける。山に囲まれた小さな住宅街の小さな家で日々暮らしている。まるやまももこ名義で音楽活動も行っている。2015年に息子が生まれ現在子育て中。
ホームページ:
https://marumomo48.wixsite.com/maruiko